こんにちは。


実は私、

  • あなたのお役に立ちますよ。
  • あなたのために○○します!

という感覚が苦手です。そして、こういうことを言っているうちは、恐らく本当の意味で人様のお役には立てないでしょうし、幸せではないと思います。


こういうことを言っている人を見ると、こっそりこう突っ込みを入れています。


「アンタ何様?エラそうに!」「ウザい!」「恩着せがましい」「あなたのために、じゃなくて、自分のためにやってるんでしょ!」


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まず、「あなたのお役に立ちます」という言葉の裏に、「この人は困っているはずだ」という先入観があります。これは正直、あきれてものも言えないです。


私はくせ毛なのですが、以前、美容院でこう言われました。


「くせ毛で大変ですね。縮毛矯正しないとまっすぐにはなりませんね。」


うーん、私別にくせ毛で困っているわけではありません。こういうことを言われると「アンタに私の何がわかるのよ!」と思ってしまいます。多分この人は「サラサラストレートが一番美しい」「人類みなサラサラストレートを目指している」と思い込んでいるのでしょう。しかも、その自覚がない。このお店には二度と行きません。



そして、何とも言えない「上から目線感」があると思います。助けてあげている感が満ち溢れています。でも本当は逆です。


人のために何かをさせていただけるということは、とてもありがたく、幸せなことです。そして、何かをさせていただくためには、自分の目の前にお困りの方が存在していなければなりません。だから、役に立っている方がエライのではなくて、困っている方(=役に立たせてあげている方)の方がエライのです。


※厳密に言うと人類みな平等で、どちらがエライということではありません。役に立ちたいと思っている方=生徒/お困りの方=先生、と考えていただけるとわかりやすいかと思います。


托鉢(たくはつ)をしているお坊さんは、別にお金がなくて困っているわけでは決してありません。私たちに寄付をさせてあげるために、わざわざ困ったふりをして、遠路はるばる私たちの前に来てくださっているのです。だから、寄付をした人は喜んで「ありがとうございます」と言わなければなりません。托鉢をしている方に寄付をすることを、財産を喜んで人に差し出させていただくという意味から、喜捨(きしゃ)と言います。


ちなみに托鉢をするお坊さんはお金持ちの人のところへは行かず、生活に困っていそうなところにわざと行きます。なぜか?はぜひこちらをご覧ください。

喜捨はした人が「ありがとう」



また、例えばものすごくお困りの方がいても、その方の内側の輝きが失われたわけではなく、一時的に曇っているだけだということも忘れてはならないと思います。


詳しくはこちらをご覧ください。

幸せ&キレイって何?

ホームレスの人にも、震災でつらい思いをされている方にも、プライドがあります。これは絶対に尊重されるべきものです。


被災地に100億円寄付した孫正義さんも、きっと「寄付をさせていただいてありがたい」と思っていらっしゃるのではないかと思います。そして、被災者の方々をというか、全ての人を心から大切に思っているのだと思います。



またさらに、「あなたのために○○します!」などと言ってしまうと、この「自分自身のための学び」を「他人事(ひとごと)」にしてしまうことになります。なんておこがましい!


人様のお役に立たせていただくのは、相手のためではありません。あくまでも自分のための修行です。自分のためにやっていることが、もし人様のお役にたてたら、こんなにありがたいことはない、というものです。


あなたのために…という表現は偽善そのものです。


そして、こういうことをやっているうちに、自分が本当は何をしたかったのかがわからなくなります。人のために良さそうだからといって、自分らしくないことをやったら、やられた方はたまったものではありません。やられた方にしてみれば、自分の人生を犠牲にして何かをしてもらっても、重たいと思うだけで、ありがたいとは思えません。


だから、本気で人様のお役にたちたいと願っているなら、こう言ってほしいものです。

  • もしお困りでしたら遠慮なくお申し出ください。
  • お役にたてて光栄です。
  • 私の目の前にいてくださって、ありがとうございます。感謝します。
  • 私が好きでやっていることですから。お気遣いなく。
  • 私の学びや経験を分かち合えたら幸せです。

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どうして、私はこういう話を妊産婦さんやママ&パパ向けのブログに書いているのでしょうか?


それは、ママ&パパにこのことを考えてほしいからです。例えば、こんな風に思っていませんか?

  • 妊娠中(授乳中)だから、赤ちゃんのために栄養のあるものを食べなくては!

  • 赤ちゃんのために母乳をあげなくては!

  • この子のために○○してあげている。

  • この子は私がいなければ困るだろう。

妊娠、出産を経て、輝きが増す人がいる一方で、逆の人もいるのは、こういう「おこがましさ」も関係しているのではないかと思います。こんなことを言っていると、あっという間にご自分の中にある輝きが隠れてしまうと思います。そして、自分らしさをなくしていきます。自分らしさをなくしたママに育てられた子どもは、はたして幸せでしょうか?


ママのキレイと幸せのために、そして子どもや社会全体の幸せのためにも、こう考えてみてはいかがでしょう?

  • 妊娠中(授乳中)だから、赤ちゃんのために栄養のあるものを食べなくては!
    →自分のために栄養のあるものをいただく。


  • 赤ちゃんのために母乳をあげなくては!
    →自分が母親としての幸せを味わうために母乳をあげる。


  • この子のために○○してあげている。
    →自分のために、子どものお世話をさせていただいている。


  • この子は私がいなければ困るだろう。
    →この子がいなければ困るのは自分。自分がここにいたいからいる。

そして、この結果として「赤ちゃん(子ども)も幸せだったらいいなぁ」というところを目指してほしいと思います。


ママにしてみれば、赤ちゃん(子ども)という自分より立場が弱い、未熟な存在が自分の前にあらわれることで、自分が偉くなったような気になるから、「赤ちゃんのために」という気持ちが出てくるのだと思います。


でも赤ちゃん(子ども)の名誉のために言いますが、たとえお腹の中にいようと、どんなに小さかろうと、どんなに夜泣きをしようと、赤ちゃんは立派な一人の人間です。尊敬して感謝の気持ちを持って、一人前の人間として扱うべきだと思います。


赤ちゃんが「お世話をしろ」と言っているからお世話をしているのではなくて、赤ちゃんのそばにいさせていただけることが幸せで、赤ちゃんのお世話を自分がしたいからやる、のです。


だから、「赤ちゃんが目の前にいてくれるだけでありがとう」です。もし夜泣きをしたら、「さらなる学びの場を与えてくれて、なんてありがたいんでしょう!」です。


でも、なかなかそうは思えない。だからこそ、学びなのです。簡単に解ける問題は、そもそも「問題」ではありません。


私も自分の妊娠、出産、子育て(本当は親育て)を通して、先生である子どもたちからこの大切なことを教わりました。


だから、別に私がブログでこういうことを書かなくても、それぞれが自分の生活の中でこういった学びを得ていくのだと思います。また、学びを得ようと得まいと、ご本人の自由だと思います。


でも、私が学んできたことが、誰かのお役にたてたら嬉しいなぁとやっぱり思うので、おせっかいを承知で書かせていただきました。私の人の役に立ちたいという欲望は、とどまるところを知りません(笑