少し前に、Twitterで話題になっていた「運命よ、其処を退け」
という漫画を読みました。
(ネットで検索すれば無料で読めます。)
結論からすると、まあ怖い。
凄く怖い。
怖すぎて、正直気分が悪くなりました。
一方的に好意を持たれることの怖さ。
話の通じない人の思考回路。
これが上手に表現されているので、過去にストーカーや一方的に好意を向けられた経験の無い人でもわかりやすいと思います。
ただ、過去にこういう経験のある人が読んだら気分が悪くなると思います。私はかなり気分が悪くなり、寝込んだほどです。
作品が悪いと言いたいのではなく、漫画でここまで気分が悪くなるほどの怖さを表現できる作者さんの才能に脱帽しました。それだけリアルに描かれています。
アイドルにファンが付き纏って…みたいな誰にでもわかりやすいものではなく、SNSで絵を褒めただけなのに相手に付き纏われた、しかも同性愛者ではない同性同士という、今までなかなか漫画で描かれてこなかったテーマです。
この漫画の主人公、澪は家族や恋人からも趣味を理解されず、好きなアニメのイラストを描いてSNSに載せているものの誰からも反応をもらえないことで悩んでいました。
そんな時、すずさんという方から澪のSNSにメッセージが届きます。また、イラストの雰囲気から趣味も合うだろうということで通話に誘われました。
初めて自分の描いたイラストを褒めて貰えて嬉しい澪は、通話中の声を録音(しかもすずさんに無断で)して何度もすずさんからの褒め言葉を聴くほどに。
思い切ってすずさんに会いたいということを伝えると、すずさんは過去にSNSでトラブルがあったため会うのは難しいと話します。
まともな人ならここで相手の意見を尊重して会うのを諦めますが、澪はすずさんを苦しめるヤツが悪い、すずさんを助けてあげないと!と暴走し、すずさんのツイートから自宅を特定して会いに行ってしまいます。
澪が何故ここまですずさんに依存してしまったのかというと、周りに自分の趣味を理解してもらえる人がいなかった、というのが大きいのかなと思います。
一見身の回りで本当に起こってるのか?と思うかもしれませんが、実際にこういうことってあるんですよ。
というか、むしろ趣味やファン友達同士などで仲良くなる関係って依存しやすいんです。
好きなアイドルやアニメがきっかけで仲良くなる
↓
他の趣味も合う
↓
家庭事情や境遇なども似ている
といった、共通点が多いと相手が自分の運命の人かのような錯覚に陥りやすいんです。
わかりやすい例を挙げると、K-POPが好きだけど親が韓国に対して偏見を持っていて趣味を理解されない、といった場合だと、同じくK-POPが好きで周りに理解されない人と依存関係になりやすい。
私自身、今までそういった人たちから一方的に好意を向けられたり、勝手に運命共同体だと思い込まれたり、私が思い通りにならないと勝手に怒られたり被害者ヅラされたりしたのでもうそういうの懲り懲りなんですよ。
また、ストーカーの人って、自分がやってることをストーカーだなんて少しも思ってない人も多いです。
少し前ですが、関ジャニの大倉くんが稽古場にまでつきまとう人がいると会員制ブログで告白しました。彼は過去にもつきまといの被害に遭っていることを告白しましたが、何故今でも被害が止まないのかというと、大倉くんが迷惑しているストーカーが自分のことだと少しも思っていないからなのです。
むしろ、
「大倉くんが苦しめられて可哀想!」
「私がストーカーから大倉くんを助けてあげるんだ!」
と思い込んで逆にエスカレートしてしまう場合も。
(昨年亡くなられた某俳優さんのファンも、同じ理由で暴走しているのかな?と思います)
自分のことを少年漫画の主人公や少女漫画のヒロインだと思い込んでいるので、自分が相手を救わなければ…!という謎のヒーロー願望があるんですよね。
はっきり断っても、拒絶しても、澪のように
「私のためにわざわざ試練を与えてくれたんだ…!」
のように都合良く解釈するので、ある意味「無敵」。
マリオでいうところの、スターを取ってる状態と同じだと思っています。
スターを取ると、クリボーなどの敵を跳ね除けて猛スピードでゴールに向かっていきますよね。
ストーカーにとって、まともな意見を言ってくれる人や自分を止めようとしてくれる人はクリボー…敵でしかないんですよ。
なので、まともに話そうとしても話が通じませんし、自分にとって都合の良いこと以外信じません。
この漫画でも、澪の話の通じなさがよく描かれていてとても怖かったです。
ストーカーとか付き纏いとか一方的な好意、依存って経験したことの無い人からは理解されにくいし、1人で悩む人が多い内容だと思うので、この漫画をきっかけにこういったトラブルもあるんだよ、というのを知る人が少しでも増えて欲しいなと思います。