•  ミクロ環境分析

  • 本書では、ミクロ環境を、企業が属する業界の環境において、直接関わってくる、顧客、競合のマーケティング分析の基本「3C+市場」をベースに、5フォース分析の脅威となる要因を取り入れまとめました。

  • その内容を図2-2のミクロ環境の枠内にも示しています。

  • 5フォース分析とは、業界内の競争状態を5つの要因から分析するものです(図2-2-2)。

  • 5つの要因とは、売り手の交渉力、買い手の交渉力、同業の競合他社との敵対、新規参入企業の脅威、代替品の脅威、です。

  • 買い手に顧客だけではなくエンドユーザまで含め、競合に同業他社、新規参入者、異業種の代替品、を含めました。供給業者などの売り手と、流通チャンネル業者を追加し、企業を取り巻く環境に直接影響を与える主な要因を網羅しました。

図2-2-2

 

 

日本経営士協会の知的資産研究会に参画して活動しています。

このたび研究会主催で以下のセミナーを開催

 

ポストコロナを見据えて事業の新しい方向性を

模索されている経営者には必見のセミナーです!

 

東京五輪の熱戦、連日猛暑で、「熱い、暑い」夏休みを

過ごされている方も多いかと思います。

一方、コロナ禍自粛でもあり身の回りを振り返る良い機会でもあります。

涼しい部屋で冷静に考えて見るのも大切かと思います。

 

さて、今回の投稿はセミナーのご紹介です。

✅自社の価値を冷静に客観的に棚卸して、

✅ポストコロナでの新しい方向性を見つけたいと考えている

熱い社長にはおススメの経営支援手法としてそのような経営者、

中小企業を支援されている団体

✅商工会議所、金融機関、団体様等の方を対象にしたセミナーになっています。

 

セミナーお申込み  [締め切り 8月14日(土)]

 

◆開催日時:令和3821日(13301500

◆内容:

大きく経済が変化する中、自社が既にお持ちの見えざる資産(お宝)を活用して、

築き上げられた大切な事業を確実に未来に繋げることが大切です。

「新知的資産経営」は、皆様の多様なニーズに対応でき、成果に結びつく、

 新たな知的資産経営です。

<特徴>

先ずは経営者の思い・将来のありたい姿をあらためて描きます。

つぎに自社の見えざる資産(お宝)をお客様、従業員、サプライヤーなどのご意見、

自社の歴史、プロセス等の切り口から、独自の深い手法により洗い出します。

そして机上論ではない、事業に貢献する成果を提供します。

◆講師:   経営士・知的資産経営認定士 山崎 智之                 

◆開催方法: オンライン開催(ZOOM)(別途参加者される方へご案内します)

◆参加費: 2000円(弊協会会員は無料)

◆申込方法: 以下のURL(日本経営士協会首都圏支部HP・お問い合せ・

        セミナーお問い合わせ用フォーム)よりお願いします。

   https://jmca-syutoken.com/seminarinfo/shin-chiteki20210821/

◆申込締切:  8月14日(土)

◆主催:日本経営士協会首都圏支部知的資産経営研究会

※当協会の知的資産経営研究会は、経済産業省の知的資産経営の支援窓口です。

経済産業省 知的資産経営ポータル

https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/

 

 

  • 外部環境分析

  • 仮説を基に環境分析を行います。図2-2に環境分析の全体図を示します。
    環境分析は自社を取り巻く外部環境と自社内部の環境の2つを対象とします。
    外部環境はマクロ環境とミクロ環境にわけて分析します。
    テレビやインターネットなど毎日見聞きするニュースや情報を図2-2の枠組みの中で整理して使いこなしてゆけば分析能力が高まり、戦略仮説を念頭に置きながらバランスのとれた最適なマーケティング思考を養うことができますので是非お勧めします。

 
  •  外部環境分析
    市場のニーズや課題を把握し、自社を取り巻く環境の内、捉えるべき機会と回避すべき脅威を分析します。

  •  マクロ環境分析
    マクロ環境を分析する手法としてPEST分析があります。
    下表に示すそれぞれの要因について、自社のプラス要因になるもの、マイナス要因になるものに分けて評価をして行きます。
    マクロ環境分析は間接的に企業に影響を与える要因であり、日頃からニュースなどアンテナを立てて大きく影響を受けそうな動向には注目しておきます。
    しかし、次に説明するミクロ環境の方が直接経営に影響を与えますのでミクロ環境を重視します。
     

PEST要因

要因例

Political

(政治的要因)

法規制、税制、政治制度、政権、貿易自由化、通商政策、環境規制等の変化

Economical

(経済的要因)

為替、物価、GDP、金利、株価、景気、失業率、雇用環境、等の動向

Social

(社会的要因)

人口動態、流行、環境意識、価値観、労働人口、中間所得層、女性の社会進出、少子高齢化等の動向

Technological

(技術的要因)

新技術、特許、インターネット、AI、IOT、EV等の普及、短納期/少量多品種対応の強まり

 
  • マーケティング戦略

  •  ビジョン・経営理念の明確化と仮説の設定
    マーケティングの戦略は経営戦略と統合化し市場環境に対応させていく企業レベルの活動ですので、企業のビジョンの実現の方向と整合性をとるべきです。
    企業のビジョンは経営理念とそれに基づく経営目標、経営方針で表され、自社の将来のあるべき姿を明確化しますが、あるべき姿は顧客の視点から設定することが大切です。
    マーケティング戦略を考える場合、売上規模の拡大は命題ですが、ビジョンに沿った方向で考えるように注意する必要があります。
    いたずらに規模だけを追ってしまい経営理念からかけ離れてしまうようなマーケティング戦略では持続的な成長はどこかで破綻してしまいます。
    ビジョンや経営理念は日々の業務では意識されませんが、マーケティング戦略はビジョンを実現するためのものであり、別々にはあり得ません。

  •  あるべき姿を実現するための仮説を設定する
    環境分析に入る前に、まずはあるべき姿を実現するための考えられる最善の仮説をマーケティングの基本形「3C+市場」を基に設定します。考えられる最善の仮説を設定することによって、次のステップで行う環境分析での自社の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)をとなる対象を適正化し絞り込むことが出来ます。

 

 

 

 

  • マーケティング戦略、戦術、実行の全体フロー
    マーケティングの基本的なステップと流れを図に示します。

  • 自社の事業や製品および対象分野によってマーケティングの内容は変わりますが、これが基本形です。
    このフローに沿ってマーケティングの戦略を策定し具体的な活動まで落とし込んでゆきます。
     
  •  戦略と戦術に分けて考える
    大きくマーケティング戦略と戦術に分かれます。戦略は企業ビジョンを実現していくための方向性と事業ドメインを決める事です。いきなり戦術であるマーケティングミックスの4Pに入る前に、まずは成功するための戦略シナリオに裏付けられた事業ドメインを決めることが大切です。
  •  マーケティングの基本は「3C+市場」
    マーケティングの基本は「3C+市場」を常に念頭に置き考えます。
    3Cとは自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)です。
    企業が生存する環境である市場にどのような顧客がいるのか、そしてそこにはどのような競合がいるのかを念頭に置いて自社の戦略を立ててゆきます。常に競合を意識しておくことが大切です。最初は存在しなくても、必ず競合は現れてきます。そしてこの「3C+市場」の環境は常に変化しています。
  • 戦略の起点はビジョン
    戦略は経営理念にもとづく経営目標が起点になります。抽象的すぎる場合は、あるべき姿や目指すべき姿を具体化、明確化します。その場合、顧客の視点に立ってどのようなことに貢献するのかを考えます。
    色々なマーケティング戦略理論が世に出ていますが、環境が変わり陳腐化しているものもあります。切り口(成長、差別化、競争優位、非競争)などの戦略の目的に合わせて戦略理論を活用し、多方面の観点より思考をストレッチして戦略案を出して行きます。
     
  • n戦略の具体化は、R-STP、の順番で行う
    戦略ドメインの設定で決めた3要因をもとに、その市場のリサーチ(Research)、市場細分化(Segmentation)、標的市場の設定(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の順で戦略を具体化して行きます。それぞれのアルファベットの頭文字を取ってR-STPと呼んでいます。このR-STPのフレームワークはマーケティングではよく使いますので覚えておいてください。
     
  •  戦術の4Pは戦略以上に重要
    戦略を実行するための戦術が4Pのマーケティングミックスです。4Pとは製品(Product)、Price(価格)、Place(チャンネル)、Promotion(広告宣伝)のことです。優れた戦略でも実行できる4Pの戦術、手段がなければ絵に描いた餅です。
    特にモノづくりに注力してきた製造業が新しい分野や海外に進出して販売が思うように上がらない場合、原因は製品ではなくて他にあるかもしれません。特に流通チャンネルや広告宣伝が疎かになっているか気を付けてください。
  • 戦略の計画、実行、統制
    マーケティング戦略と戦術である4Pが決まるとそれを踏まえて需要予測と売上目標(KGI)を立て、進捗、達成度合いをモニタリングして早めに対策を打てるように定量的な評価指標(KPI)設定してPDCA管理のサイクルを回して行きます。
    このKGIと連動する適切なKPIを設定することがポイントです。

 

  •  これまでのモノづくりだけでは通用しなくなった日本の製造業
    これまで、日本の企業、特に製造業は技術開発とモノづくりに注力し、1980年代までは既存顧客相手に品質向上とコストダウンによって良いものを安く作ればうまくいっていたこともあり、マーケティングは特に必要ありませんでした。
    しかし、国内市場が飽和し競争が激化、消費者ニーズが多様化してくると、折角製品を開発しても売り上げに結び付かないケースが増え、技術的に優位性があったとしても顧客が期待する価値に合わなければ買わなくなりました。
    又、流通チャンネルを軽視する傾向があり、流通チャンネルがパワーを持ってくるとこれまでの技術開発偏重のモノづくりだけでは立ち行かなくなりました。
    顧客を理解し顧客にとっての価値は何かを見つけ、他社とは違う自社独自の方法で実現することが求められています。つまり、誰に何をどのようにして自社の製品やサービスを提供するのかを明確にし、買って貰える商品づくり、販売の仕組みを構築して行くことが必要です。
     
  • 押し寄せる変革の波
    企業を取り巻く市場環境は刻々と変化しており、先ほどあげた課題に呼応するように変革の波が押し寄せています。
    いくつか例をあげると、化石燃料から風力水力、太陽光などへのエネルギー革命、電動化や自動運転化によって進む車革命、IoTとロボットの普及による工場革命、バイオテクノロジーによる医療革命、ビッグデータと人工知能による社会革命、IT高度化による物流革命など社会の隅々まで変革の波が押し寄せ相互に影響しあい、世界規模で社会が大きく変わろうとしています。
     
  •  成長に欠かせない両輪、イノベーションとマーケティング
    経営の父と呼ばれるP.F.ドラッガーは企業の成長に欠かせないのは「イノベーション」と「マーケティング」だと指摘しました。
    このような大きな環境変化は脅威ではありますが、自社の成長機会にもなります。しかし、内向きの姿勢では事業機会を見つけることはできません。市場や顧客の方を向いて変化の先を読み自社の事業機会に変えて行くという積極的な姿勢が求められます。
    そのためには、イノベーションをこれまでの技術開発やモノづくりだけの狭い範囲ではなく、顧客にとっての価値を実現するためのどのような対応をすればよいのかを大きな範囲で考える事です。そしてもう一つ重要なことは、売り込むのではなく顧客に買って貰えるようにする為のマーケティング力を付けていくことです。
    企業はイノベーションとマーケティングの両輪を回して成長して行きます。片方だけではだめです。
    これまで日本の企業はイノベーションには注力してきましたが、マーケティングは疎かにしてきました。
    国内市場が縮小していく中、海外展開はこれまで以上に重要な成長戦略となります。
    しかし、異国の市場でマーケティングに長けた海外企業と競争していくにはマーケティングをしっかりと経営の中心に据え取り組んでいく必要があります。

1.1     企業を取り巻く市場環境

企業を取り巻く市場環境は大きく変化しており、主に以下のようなものがあります。

①  消費者ニーズの多様化、高度化

市場の成熟化やライフスタイルの個性化により消費者のニーズはますます多様化、高度化し、インターネットやSNSの普及で消費行動も変化しており、このような消費者への対応が課題になっています。

②  グローバル化の進展

インターネットの普及や国際物流の発達、貿易自由化、新興国や途上国の経済発展などにより国境を越えてヒト、モノ、カネ、情報が速いスピードで行き来するようになり、企業は国内だけではなく海外企業との競争の激化、M&Aなどの連携、海外展開への対応が課題になっています。

③  ディジタルトランフォーメーション(DX)の本格化

ディジタル化とはひと言でいえば、あらゆるデータをコンピュータで処理できる情報にすることです。

音声やカメラの画像、テキスト等の言語データを一旦ディジタル化すれば情報をコンピュータで複製、加工、記憶等ができそれを人間が認識理解できるようにすることで活用範囲が一気に広がります。

人同士でだけではなく、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTという概念ができ、モノが持つ大量のデータをAIとよばれる高度な人間に近い認識処理手法で分析して推論や予測しロボットや自動化といったことに応用されようとしています。

このようにディジタル化の技術革新でこれまで解決できなかった課題や新しい価値を創造して事業を変革していくことがディジタルトランスフォーメーション(DX)です。

コロナ禍で日本のDXの遅れが顕在化しましたが、これから本格化していくことでしょう。

 

④  SDGs意識の高まり

SDGsとは「持続可能な開発目標」と呼ばれ、2015年に国連サミットで採択されました。そこで、地球規模の課題の解決に向けて、世界のあらゆる国、企業、人が2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットが示されました。

企業は利益を追求するだけではなく、地球環境に配慮しながら事業活動をするよう社会的責任(CSR)を強く求められるようになります。

そのため、限りある地球資源を意識し、CO2削減による地球温暖化対策、持続可能な循環型社会の実現に向け、リサイクルシステム、物流システム、廃棄物処理システムの構築、省エネ、安全安心、自然、健康志向に対応した資源の調達や製品、店舗づくりが課題になっています。

企業の戦略も、これまでの製品の一時的なヒットや薄利によるシェア獲得、規模に依る拡大戦略ではなくしっかりとした理念や価値観に基づく持続戦略に変えていく事が必要になるでしょう。

⑤  社会の変化

日本は2008年をピークに人口減少社会に入り少子高齢化の進展雇用の流動化、働きすぎに対する是正、非正規雇用の増加、女性の社会進出などの社会変化が起きています。

特に生産年齢人口の減少はGDPを下げ日本経済への影響が懸念されています。その一方で世界人口は増え続け、6割強を占めるアジアの人口増加は顕著であり、今後は海外の人材、労働力確保への対応も課題になると考えられます。

 

 

 

はじめに

2020年新型コロナの感染拡大で引き起こされた環境の変化は、人々の生活、働き方、社会、そして意識を大きく変えています。

例えば、人の行動を大きく変えました。場所や時間の制限が少なくて済む、ネット購入、オンライン会議、リモートワーク、リモート学習などが加速しディジタル技術の活用が広がりました。一方で人の移動が伴う飲食や宿泊、公共交通の需要は激減しました。

又、いのちを守る医療、衛生的な生活環境、自粛にみられるように個人の倫理を企業の経済活動よりも優先しなければいけないという意識の変化も出てきています。

このような変化は完全に元のように戻らない変容であり、変容した新常態がどのような世界かはまだはっきりと見えていませんが、グローバル規模で水面下では既存の枠組みが崩れ、大きく転換していることは確かです。

新型コロナ禍よりも前から地球温暖化、ディジタル化、グローバル化、日本では少子高齢化等は確実に進んでいた所に今回のコロナ禍で一層、それらの影響が顕在化し、事業の継続が喫緊の課題になっています。

持続可能な企業活動は、持続可能な地球の資源・環境や地域社会の上に成り立っています。

そして、その企業活動を支えているのは人間である社員であり、持続可能な働き方ができて社員として仕事を続けることができます。

変化が早く、不確実で、複雑で想定していなかったことが次々と起こる状況をVUCAと呼びます。

このようなVUCAの時代を企業が生き抜いていくためには自社の強みを知って自ら顧客を創っていく力、すなわちマーケティング力が必要です。

チャンスは変化があるところにしかありません。

従ってポストコロナ時代にまず必要なことはニーズの変化を捉え自社の強みを活かしてターゲットを定め、新しく市場、顧客を開拓し、新規案件を創出し続けるマーケティングの重要性をしっかりと認識し、磨き上げ、売上に成果にむすびつけるマーケティングの実践力です。

 

マーケティングは新製品開発、販売促進、広告宣伝、市場調査等の狭い範囲の活動や機能ではありません。

開発・製造・販売・財務・人事等の全社の機能を統合し顧客のニーズや課題に応えていく中核活動であり、顧客視点の経営そのものがマーケティングといえます。

従って、トップからボトムまでの全社員が「マーケティング思考」を習得し、市場・顧客対応力を高めてゆくことが求められています。

 

このブログではB2Bマーケティングについて連載で投稿してゆきます。

 

法人相手のメーカー、販売会社、代理店、設計開発、製品企画、販売促進支援、営業、事業戦略、経営企画、新規事業開拓などに携わっている担当者、マネージャ、経営者、社長まで幅広い読者を想定しています。

顧客を抜きにしたビジネスはありえまん。

ビジネスパーソンにとってマーケティングの知識及び応用力を仕事に活かせる機会はこれまで以上に増えてきます。

又、ポストコロナでの売り上げ拡大、収益アップに向けて販路開拓、新規分野への展開、事業・業種の転換、事業再編をお考えの企業経営者にとってマーケティングの体系的な理解は経営戦略、経営計画には欠かせません。

これからはマーケティングなしの成り行き任せの企業経営はあり得ません。

マーケティングは成長していくための未来志向の活動であり、若手経営者がこれからの20年後、30年後のご自身の人生づくり、企業づくり、社会づくり、そして国づくりに本拙著がその一助になれば著者にとってはこれ以上嬉しいことはありません。