「まだ見ぬ書き手」から。
参考文献
まだ見ぬ書き手へ
一九九四年七月一日 第一刷発行
著者 丸山健二
発行者 天羽直之
発行所 朝日新聞社
印刷所 大日本印刷
製本所 青柳製本
『 最後にひとつ言っておきたいことがあります。
私が思うにわが国の文学では、古典も含めて、真に遺産と呼べるほど凄い作品は皆無です。そんなばかなと思う人は大勢いるでしょうが、格調の高さ、ボリューム、哲学性、美、完成度、パワー、大胆さ、オリジナリティ、気品、そして目くるめく圧倒的な感動といった条件をすべて兼ねそなえた作品となると、いくら探してみてもないのです。要するに、絵画の世界におけるあの「日月山水図屏風」に匹敵するような突き抜けた文学作品が未だにないということです。
「日月山水図屏風」の作者不詳ということに、わが国の芸術が抱える問題のすべてがかくされているように思えてなりません。また、作者不詳というところに、芸術家としての本来在るべき姿のすべてがこめられているような気がしてならないのです。』
ご拝読、ありがとうございました。
日暮絵里香