『お袋のために、世の中に恩返しする』再起の誓い、借金で行き詰まる…ビデオ店放火 | おじぃちゃんの事件簿

『お袋のために、世の中に恩返しする』再起の誓い、借金で行き詰まる…ビデオ店放火

『お袋のために、世の中に恩返しする』――。


15人が死亡した大阪・難波の個室ビデオ店放火事件で、殺人と現住建造物等放火容疑などで逮捕された小川和弘容疑者(46)は…


『事件1カ月前、知人に再起を誓っていた…』



大手家電メーカー勤務の安定した生活から一転、借金に追われ、転居を繰り返す日々に。


自己嫌悪と希望との間で揺れた心のうちを明かしていた。

    ◇
 『これから仲良くしてくれますか?』


今年6月、精神に不調を抱える人たちが通う大阪府東大阪市の『支援施設』を訪れるようになった小川容疑者は、初対面の男性に話しかけた。


『先に言っておきますが、僕、話が長いんです』


そう言って、この男性にたびたび身の上話を聞かせた。



大手家電メーカーに勤めていたころ、大阪府門真市の一戸建てで家族と暮らしていた。


その後は離婚、退職、同居の母の死去……。


自宅は06年9月に手放し、長続きした職はなく、ギャンブルなどで多額の借金をし、転居を繰り返した。



この男性は小川容疑者とほぼ同い年だったが、小川容疑者はいつも敬語で話しかけた。



『母親の遺産を酒やギャンブルで使い果たした』


『母親のお墓もまともに立ててあげられなかった』


と悔い




『死にたい…ぜいたく癖が抜けない』


と時には涙を見せながら嘆いたという。



施設に通い始めたころ、小川容疑者は生活保護を受給し始めていた。


『生活保護の範囲内で暮らせるだろうか』

『本当なら絶対にもらいたくない』


不安の一方で『自尊心』ものぞかせた。


酒が入ると


『起業してふた花、み花咲かして……。これで終わる人間と違うんや!!』



と強がった。



事件1カ月前--。


しばらく会っていなかったこの男性に小川容疑者が電話してきた。



『生きがいを見つけたんや。今、手話を習っている。手話を覚えて世の中の役に立ちたい』


打って変わったように元気な声だった。



『お袋のためにも、必ず社会復帰する』


そう誓ったという。



だが、言葉とは逆に経済的には追い詰められていた。


別の知人には『おしゃれ』とほめられていた服を売りながら生活している、と漏らした。






『1万円貸してください』



9月中旬、10年間以上会っていなかった同府寝屋川市の知人宅の玄関先で土下座する小川容疑者の姿があった。



大阪府警によると小川容疑者はその2週間後の9月末、自宅マンションを出た。


所持金はなく、自宅にも現金は残されていなかった。



小川容疑者は10月1日午前1時半ごろ、数日前に大阪・ミナミで知り合った占師の男性と一緒に大阪市浪速区の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」に入った。



1500円の利用料は男性に立て替えてもらい


『明日支給される生活保護費で返す』


と約束した。



その1時間あまり後、個室に入り、男性から預かった『キャリーケース』に火を放った…。