1泊1500円、漂った孤独 ビデオ店放火の犠牲者 | おじぃちゃんの事件簿

1泊1500円、漂った孤独 ビデオ店放火の犠牲者

大阪の個室ビデオ店の放火事件の犠牲者は、男性15人にのぼった。

3日までに身元が判明したのは20代から60代までの12人。

未明の大都会の片隅。


1晩1500円の「宿」。

なぜ、彼らはひとり時を過ごしていたのか。



●●さん(40)の住所は、京セラドームに近い大阪市西区のワンルームマンション5階だった。


その部屋には人が住んでいる気配がない。


部屋の契約者は女性名で、入居者名簿にも●●さんの名は見当たらない。


だが、同じ階の30代の女性は、●●さんと同じ年ごろの男性が暮らしていたことを知っていた。


その男性は数年前から、女性と一緒に暮らしていた。

朝出勤する女性を、男性は玄関先で見送っていた。


いつもTシャツにジーンズ姿。

『女の人が生活を支えていたのかな』

と思っていた。


部屋からは話し声もテレビや掃除機の音もしない。


『息を潜めて生きているのか』

と思った。


時々けんかする声が聞こえてきたが、数カ月前から女性の姿を見かけなくなっていた。


隣の部屋の60代の女性は、火災の前日の夕方、男性が部屋から荷物を運び出している姿を見かけた。


『引っ越すの?』

と尋ねると


『長いことお世話になりました』


と笑顔で外階段を下りていった。


その半日後の1日未明、個室ビデオ店が猛煙に包まれ、●●さんの遺体が見つかった。



府警が明らかにした住所は、犠牲者の所持品の記載からたどったものも少なくない。


実際はそこに住んでいない人もいる。


■■さん(31)の住所は堺市西区のワンルームマンションの一室。


しかし、そこに暮らすのは、■■さんと面識のないという70代の男性だった。


7月に引っ越してきたという。


マンションの隣の家の住人は


『マンションの人は自治会に入ってないし、出入りも頻繁だから覚えてないね』


と言った。


マンションを管理する不動産会社も、■■さんのことを知らなかった。


契約書類にも見当たらないという。


ただ、7年前にマンション入り口に張り出されていた入居者一覧のコピーが残っていた。

そこに『■■』の名前があった。


これを見つけた不動産会社の社員は


『住んでいたんでしょうね…いつまでいたのか、どこに移ったのかはわか
わかりません』


と不思議そうに話した。


重軽傷者も10人いる。


その中にも、家族と連絡が途絶えていた人がいる。



40代の男性は病院へ搬送された際、一酸化炭素中毒で心肺停止状態だった。


心拍は再開したが、いまも危険な状態が続いている。


火災の夜、近畿地方の山間部にある男性の実家に、連絡を受けた親族が集まっていた。


親族の話し合いは約1時間半続いた。


時折、女性の興奮したような大きな声が漏れ聞こえた。



親族が帰った後、重体の男性の父親(78)がぽつりとこぼした。






『長男は事情があって大阪に出た後連絡がなく、どんな仕事をして、どこに住んでいたかわからない。気が動転しています』