個室ビデオ店火災『何やこれは!』煙避け脱出!! 従業員誘導無し!!
1日未明、大阪・ミナミの繁華街にある個室ビデオ店で起こった火災は、死者15人、負傷者10人を数える大惨事となった。
「何やこれは」
狭い通路が入り組む店内には煙が充満し、逃げ出す客らの大声が響いた。
すすで真っ黒になった犠牲者たちは、店内の奥に集中していた。
都会に林立する個室型店舗。
その死角がまた、浮き彫りになった。
兵庫県伊丹市の会社員男性(37)は、「キャッツなんば店」の入り口から8番目の試写室でテレビを見ていた。
2~3平方メートルの小さい個室にソファやDVDデッキなどがある。
32室のうち、この日は26室が客で埋まっていた。
午前3時前、男性は木が焦げるようなにおいに気づいた。
慌てて扉を開けると、通路は真っ暗で、白煙が男性の背丈まで立ちこめていた。
「うわぁ、何やこれは」
男性の怒鳴り声が聞こえた。
大きく息を吸い込んで個室を飛び出し、出口までの十数秒、右手で鼻と口を押さえて一気に走った。
背後で2、3人が逃げ出そうとしている気配がした。
『店員の誘導はなかった』
外に出ると、火災報知機がけたたましく鳴り出した。
辺りは黒煙で呼吸もしづらい。
客と店員が怒鳴り合っていた。
「荷物がまだ中にある」
「人の命かかってるのに、何言うとんのや!」
その間、何人もが消防隊のストレッチャーに乗せられ、救急車で搬送されていった。
会社員の男性は
「少しでも遅れたら、煙を吸って死んでいたかも」
と青ざめた。
入り口から4番目の部屋にいた男性は出火当時、ビデオを見ていたところ、天井から煙が下りてくるのに気づいた。
直後、室内は電気が切れ真っ暗になった。
煙が充満する通路を、はいながら外に出た。
「自分が最後の生存者ではないか?」
と話した。
大阪市消防局には午前2時59分、店側から119番通報が入った。
「火事です。建物の中です。中に人がいます」
消防車40台が出動。
現場に到着した隊員が救助に向かおうとしたが、熱気がすさまじく、最初はビルに入れなかった。
ビルの中は濃い煙で50センチ先も見えない状態だった。
同消防局によると、犠牲者のほとんどは一酸化炭素中毒とみられるという。
キャッツの別の店舗で以前に働いていた男性によると、なんば店の通路は2人が余裕をもってすれ違えないほど狭い。
ジュースなどの段ボール箱が大人の肩の高さまで積み上げられ、さらに狭くなっている場所もあるという。
店の常連客の堺市の露天商の男性(47)はこの日、たまたま近くの別のビデオ店に行っていた。
「あの店の個室のカギは内側からもかけられ、中で寝入ってしまうと火事でも気づかないだろう」
約1週間前にこの店を利用した大阪府八尾市の飲食店店員(22)は
「非常口は見たことがない。自分が火事に遭ったとしても逃げ切れなかったのでは」
と話した。
深夜から朝まで低料金で宿泊できる個室ビデオ店は終電を逃したサラリーマンや、若者たちが繁華街の「宿代わり」に使用することも多く、連日のにぎわいをみせている。
1日未明の火災で亡くなった人の多くも就寝中だった可能性が出ている。
大阪市消防局によると、同市内の個室ビデオ店は約50店。
火災があった「キャッツ」とは別の店舗の従業員によると、個室ビデオ店はここ数年でキタやミナミの繁華街で急増。
スーツ姿のサラリーマンが日中や夕方に利用するほか、深夜になると酒に酔ったサラリーマンや若者たちが数多く来店するという。
別のビデオ店の従業員も
「不況になるにつれて、寝泊まりが目的の人が増えてきたと思う。宿泊中心の常連客も多い。深夜になると満室になって、入室を断ることもある」
と話す。
大阪府警によると、火災で死亡した15人の身元確認作業は難航している。
運転免許証が確認されたのは半数以下で、定まった住居を持たずにネットカフェや個室ビデオ店などを転々としていた人も多いとみている。
遺体の多くが個室内で見つかっていることから、寝込んでいるうちに火災に見舞われた可能性もあるという。
キャッツのホームページによると「キャッツなんば店」の利用料金は1時間で500円。
午後11時から翌午前10時まで利用できるナイトコースは1500円となっていた。
ホームページは
『長い時間のナイトコースで朝まで』
とPR。
『完全個室だからネットカフェよりゆっくり寝れちゃいます』
と、快適に泊まれることを売り物にしていた。
同店にはシャワー室も備えられており、毛布やタオルの貸し出しもあった。
カップラーメンなどの軽食も販売されていたという。
宿泊者に便利なこうしたサービスの充実を図っていたのはキャッツだけではなく、業界で一般的な傾向となっている。
大阪市によると、こうした業態ではあったが、はっきり宿泊施設であることを打ち出してはおらず、貸し出している毛布も『ひざかけ』とみなされて寝具などの貸し出しには当たらないため、旅館業法の届け出義務の対象にはならないという。
大阪府警によると、商品の7~8割を成人向けビデオやDVDが占める個室ビデオ店は風俗営業法に基づく届け出が必要となる。
だが、府内で届け出ているのは大阪市内の3店だけ。
届け出ると営業時間は深夜0時までになり、ホテル代わりに利用する客を引き込むことが難しくなるため、店側が届け出を敬遠している可能性もある。
「何やこれは」
狭い通路が入り組む店内には煙が充満し、逃げ出す客らの大声が響いた。
すすで真っ黒になった犠牲者たちは、店内の奥に集中していた。
都会に林立する個室型店舗。
その死角がまた、浮き彫りになった。
兵庫県伊丹市の会社員男性(37)は、「キャッツなんば店」の入り口から8番目の試写室でテレビを見ていた。
2~3平方メートルの小さい個室にソファやDVDデッキなどがある。
32室のうち、この日は26室が客で埋まっていた。
午前3時前、男性は木が焦げるようなにおいに気づいた。
慌てて扉を開けると、通路は真っ暗で、白煙が男性の背丈まで立ちこめていた。
「うわぁ、何やこれは」
男性の怒鳴り声が聞こえた。
大きく息を吸い込んで個室を飛び出し、出口までの十数秒、右手で鼻と口を押さえて一気に走った。
背後で2、3人が逃げ出そうとしている気配がした。
『店員の誘導はなかった』
外に出ると、火災報知機がけたたましく鳴り出した。
辺りは黒煙で呼吸もしづらい。
客と店員が怒鳴り合っていた。
「荷物がまだ中にある」
「人の命かかってるのに、何言うとんのや!」
その間、何人もが消防隊のストレッチャーに乗せられ、救急車で搬送されていった。
会社員の男性は
「少しでも遅れたら、煙を吸って死んでいたかも」
と青ざめた。
入り口から4番目の部屋にいた男性は出火当時、ビデオを見ていたところ、天井から煙が下りてくるのに気づいた。
直後、室内は電気が切れ真っ暗になった。
煙が充満する通路を、はいながら外に出た。
「自分が最後の生存者ではないか?」
と話した。
大阪市消防局には午前2時59分、店側から119番通報が入った。
「火事です。建物の中です。中に人がいます」
消防車40台が出動。
現場に到着した隊員が救助に向かおうとしたが、熱気がすさまじく、最初はビルに入れなかった。
ビルの中は濃い煙で50センチ先も見えない状態だった。
同消防局によると、犠牲者のほとんどは一酸化炭素中毒とみられるという。
キャッツの別の店舗で以前に働いていた男性によると、なんば店の通路は2人が余裕をもってすれ違えないほど狭い。
ジュースなどの段ボール箱が大人の肩の高さまで積み上げられ、さらに狭くなっている場所もあるという。
店の常連客の堺市の露天商の男性(47)はこの日、たまたま近くの別のビデオ店に行っていた。
「あの店の個室のカギは内側からもかけられ、中で寝入ってしまうと火事でも気づかないだろう」
約1週間前にこの店を利用した大阪府八尾市の飲食店店員(22)は
「非常口は見たことがない。自分が火事に遭ったとしても逃げ切れなかったのでは」
と話した。
深夜から朝まで低料金で宿泊できる個室ビデオ店は終電を逃したサラリーマンや、若者たちが繁華街の「宿代わり」に使用することも多く、連日のにぎわいをみせている。
1日未明の火災で亡くなった人の多くも就寝中だった可能性が出ている。
大阪市消防局によると、同市内の個室ビデオ店は約50店。
火災があった「キャッツ」とは別の店舗の従業員によると、個室ビデオ店はここ数年でキタやミナミの繁華街で急増。
スーツ姿のサラリーマンが日中や夕方に利用するほか、深夜になると酒に酔ったサラリーマンや若者たちが数多く来店するという。
別のビデオ店の従業員も
「不況になるにつれて、寝泊まりが目的の人が増えてきたと思う。宿泊中心の常連客も多い。深夜になると満室になって、入室を断ることもある」
と話す。
大阪府警によると、火災で死亡した15人の身元確認作業は難航している。
運転免許証が確認されたのは半数以下で、定まった住居を持たずにネットカフェや個室ビデオ店などを転々としていた人も多いとみている。
遺体の多くが個室内で見つかっていることから、寝込んでいるうちに火災に見舞われた可能性もあるという。
キャッツのホームページによると「キャッツなんば店」の利用料金は1時間で500円。
午後11時から翌午前10時まで利用できるナイトコースは1500円となっていた。
ホームページは
『長い時間のナイトコースで朝まで』
とPR。
『完全個室だからネットカフェよりゆっくり寝れちゃいます』
と、快適に泊まれることを売り物にしていた。
同店にはシャワー室も備えられており、毛布やタオルの貸し出しもあった。
カップラーメンなどの軽食も販売されていたという。
宿泊者に便利なこうしたサービスの充実を図っていたのはキャッツだけではなく、業界で一般的な傾向となっている。
大阪市によると、こうした業態ではあったが、はっきり宿泊施設であることを打ち出してはおらず、貸し出している毛布も『ひざかけ』とみなされて寝具などの貸し出しには当たらないため、旅館業法の届け出義務の対象にはならないという。
大阪府警によると、商品の7~8割を成人向けビデオやDVDが占める個室ビデオ店は風俗営業法に基づく届け出が必要となる。
だが、府内で届け出ているのは大阪市内の3店だけ。
届け出ると営業時間は深夜0時までになり、ホテル代わりに利用する客を引き込むことが難しくなるため、店側が届け出を敬遠している可能性もある。