《川口事件》焼身自殺の父の借金から転落した「子煩悩」 | おじぃちゃんの事件簿

《川口事件》焼身自殺の父の借金から転落した「子煩悩」

埼玉県川口市柳崎のアパートで会社員、渡辺沙織さん=当時(26)=が殺害された事件で、川口署捜査本部は、同じアパートの別の女性に対する強盗強姦(ごうかん)容疑で逮捕した川口市源左衛門新田、自称配管工、清田龍也容疑者(39)が関与したとみて捜査している。


1人暮らしの女性宅に押し入り“鬼畜”の犯行を重ねたとみられる清田容疑者。


障害がある子供の世話をし、仕事も熱心だったが、親族から背負った借金を契機に…。


坂道を転がり落ちていった姿が、関係者の証言によって浮かび上がってくる。



●後ろ手に縛り、首を絞め、顔はボコボコ…

渡辺さんは会社帰りの10月30日午後7時ごろにスーパーで買い物をし、帰宅した直後に襲われ、手で首を圧迫されて殺害された疑いが強い。


犯人は渡辺さんからキャッシュカードを奪った上で、渡辺さんの服を使って顔を隠すなどの「変装」をし、スーパーの現金自動預払機(ATM)で金をおろそうとしたが失敗した。


遺体は、部屋にあったとみられる渡辺さんのカーディガンで両手を後ろ手で縛られた上で、首にストッキングが巻かれており、顔は「何発かわからないほどボコボコに」(捜査幹部)殴られていた。


捜査関係者は「頭のいい犯人。

周到に準備し、徹底して痕跡を残さないようにしている」と、その非道ぶりに怒りを隠さない。



清田容疑者は、これより3カ月前の7月26日深夜から未明にかけ、渡辺さんと同じアパートの女性方に侵入。


いきなりシャツのようなものをかぶせ、後ろ手に縛って動けなくしてカードを奪い、暗証番号を言うよう脅した上で現金約100万円を引き出したなどとして、強盗強姦などの容疑で逮捕された。


手口は渡辺さんの事件とほぼ同じだ。




●子煩悩で穏やかなパパの1面が…


「新潟に行って、子供たちに雪を見せてくるんだ」

昨年11月まで約9年半にわたって勤務していた運送会社で、清田容疑者は数年前、同僚たちに家族旅行の計画を楽しそうに語っていた。


元同僚(47)は

「障害を持った息子をプールに連れて行った話もしていた。子煩悩な男だった」

と話す。


清田容疑者は福岡県生まれ。

熊本県内の高校を中退後、元妻の妊娠、結婚を機に約20年前に埼玉県内に引越した。

蕨市や西川口市のパチンコ店にホール係などとして数年間勤務した後、土建会社などで働いてきた。

運送会社での仕事は熱心だった。

長距離運転を多くこなし、元同僚たちが待遇に不満を持っているときには、代表して社長に直談判していたという。

後輩には荷物の積み方、縛り方などを丁寧に指導しており、「真面目で責任感が強かった」(元同僚)。


仕事終わりにスナックに飲みに行っても、自分から積極的に女性に話しかけることはなく、ほかの人の会話を聞きながら笑顔を見せ、おとなしく酒を飲むタイプだったといい、「強盗強姦魔」とはイメージがまったく結び付かない。



●120万円の借用書、ヤミ金、保険料滞納400万円以上…


だが昨年夏ごろから、清田容疑者には多額の借金の影がちらつくようになり、様子が一変した。


借金の理由については


「父親が借金を抱えたまま焼身自殺した。残りを返済しなければいけない」

と周囲に説明していた、という。


運送会社に消費者金融からの電話が頻繁にかかってくるようになり、給料の前借りを繰り返した。


やつれて顔色は悪くなり、数週間で事故を2回起こした。


運送会社を退社する昨年11月の直前には、給料に関する愚痴を言うようになった。



「長距離運転をやっているのに、給料はたったこれだけか。会社を変えようかな」


最後は、長い付き合いだった元同僚たちに別れのあいさつをすることもなく、会社に来なくなった。

運送会社の元同僚(40)は

「仕事熱心で、性格的にこういう犯罪をやるようなタイプじゃない。借金でどうにもならなくなると、人間って何でもやるようになっちゃうのかな…。本当におそろしい」

と、天を仰いだ。


捜査本部は、120万円の借用書が見つかっている消費者金融以外にも、複数のヤミ金融などに借金があったとみている。