遅刻気味でね、電車に飛び乗った。ちょっと飛んだよね、あたし。華麗な飛び乗りだった。ちょっと、ンガッって挟まってた気もするけど。
慌てて乗ったもんだから、乗り換えに不便な車両で乗客はあたし一人。いや~快適~とベンチシートの端にちょこんと座った。ここらへんが角を愛する証。
すると隣車両から絡み合うようにカップルが移動してきた。
男 うわっ、貸し切りじゃね?
女 ほんとだ~♡
いやいやいや。
あたしいますよ?表現的に可愛いから『ちょこんと』なんて使っちゃいましたけど、見た目的には結構存在感あるほう。
そんな存在感も絡み合う男女の前では空気も同然。
女 ドコ座るぅ?
男 こんだけあると迷うよな~
どこでもいいよ。きっとどこに座っても、あなた達の周りにはお花が咲くことでしょうよ。。。
まさかのあたしの直ぐ隣。
ちょっと彼女の髪とかあたしの肩にかかってる。
なんで、あえてのここチョイス。
あたしは背景のお花かしら。頭のてっぺんからチューリップとか咲かしちゃってたかしら。
……もう好きにすればいい。でも頭のお花は摘まないでね。
座ると同時にイチャイチャ開始。
フュージョンかな?フュージョンしちゃうのかな?ってくらいのイチャつきっぷり。
間違いなく彼氏はトランクスね。んで、名字はホンダ。そこは譲れない。
あたしはただひたすらに寝たふり。もうベンチシートの手すり乗り越える勢いで寝たふりした。
女 ダメだよぉ こんなトコじゃ♡
男 大丈夫だって!誰もいねーし
いますよ~割と近場に知らない人座ってますよ~
男 ここだけなら問題ないっしょ
女 そこなら平気だよ♡
うんとね…その彼女とあたしが同じ生命体であるならば、そこには乳という三本の指には入るであろう秘密の花園があるわけですよ。
だめでしょ。平気だよ♡ではないでしょ。大和撫子たるもの守りなさいよ。そこは。
乙女の恥じらいどこいったー
古き良き日本男児どこいったー
ただね。この子達は現代日本が抱える少子高齢化問題に貢献できる可能性を秘めてる。少なくとも今は少子高齢化に貢献できる可能性のないあたしには何も言う資格はないわけですよ。
そんな国の策略に折れ、あたしはただもうひたすらに寝たふりをするしかない。手すりから頭を乗り出しながらね。
すると、次の駅で乗ってきたおばちゃんが迷いもせず言った。あたしの後方から電車に足を踏み入れた瞬間に即言った。
あんた達何をしてるの?ここ電車の中よ
かっこいい
おばちゃん、マジでかっけーよ。尊敬しちゃうよ。もう、あたしの師匠だよ。
手すりから乗り出したあたしの頭には完全に師匠の手荷物が乗っかってますけどね。ここは荷台じゃないんだけどなーなんで置いちゃったかなー
もう現役引退した師匠にすら空気扱いされちゃった。いや、もはや無機質なものになりつつある今日この頃です。