映画「男と女」をレンタルで見たのは、まだ結婚もしていない若いころで、たぶんあまりピンとこなかったのだろうと思います。だからよく覚えていません。それぞれに幼い子供を一人ずつ抱えた、いまで言うところのシングルマザーとシングルファーザーの恋愛という設定自体が、当時の私にはリアリティーを持って見られなかったのだろうと思います。
先日、録画していたのを見て、思いました。何だこんなに若い二人だったのか、いやいや十分過ぎるほどありでしょ、全然不自然なことじゃないじゃない、なにしろ定年後の自分でさえ、ときめく心だけは大切にしておきたい、と思っているくらいなのだから、などなどと、あれやこれや来し方などにも思いを馳せながら見ました。
ホテルのレストラン
映画ならではのセリフと映像
ここがいいのです
その後、へぇ? そうなっちゃうんですかぁ、、それはいくら何でもあなた、、、、それはないんじゃないんですか、、、というシーンが映し出されるのですが、ここで流れるのが、タイトルに挙げた【Plus fort que nous 愛は私たちより強く】です。
この曲はもっと前の、二人が初めてそれぞれの子供を連れて帆船(漁船?)に乗り、風に吹かれ波に揺られながら親密さをより深めていくシーンや、犬を連れた老人のシルエットが印象的かつ表象的な海辺で語り合うシーン、そしてその後の、雨の降る中、モンマルトルのアパートまで車で送ってゆくシーンなどでも流れます。
細かいことを言いますと、帆船が静かに滑り出すように、港の桟橋を離れてゆく絶妙のタイミングで、この曲が流れ始めます。長年聴き続け思い入れのあるメロディーだけに、映像の美しさとも相まって、そうかここで出てくるのか、と強く胸を打たれます。帆船が港に着く間際の、二人の手の表情も哀しくも美しい。
字幕では、男と愛犬、となっていますが、たぶん老人。歩き方で。
「男と女」のテーマ曲があまりにも有名すぎるために、この曲はその陰に隠れてそれほどポピュラーではないのかも知れません。でも、とても重要なシーンで使われています。
Plus fort que nous、直訳すれば、私たちより強い、ということのようです。邦題は、【愛は私たちより強く】。これがなかなか覚えられませんでした。【愛は私たちより強く】??? 一体何のことなのか、その意味するところがよく分からなかったからです。
ジャズスタンダード【How deep is the ocean 愛は海よりも深く】、これならば容易に分かります。でも、【愛は私たちより強く】???
今回ブログを書くにあたって調べました。そうすると、邦題が変わっていました。
【あらがえないもの】
これで、ストンと胸に落ちました。
【あらがえないもの】 たしかに。
愛は私たちの理性を易々と乗り越える強い力を持っていますものね。なるほどなるほどと。
もう20年ほど前になるでしょうか、そのころ買ったイヴァン・リンスのラブソングスというCDで、この Plus fort que nous を知りました。サウンドトラックではなく、このバージョンが私にとってはベストです。数あるロマンチックソングの中でも特に好きなロマンチックソングのひとつで、今でも折々に聴いています。
Plus fort que nous // Ivan Lins & Wanda Sá
「ギャルソン。 部屋を!」
この言葉が本当の気持ちを呼び覚ますのです
この言葉に二人は呼び戻されるのです
ここからはもう完全な蛇足です
せっかくのムードをブチ壊してしまいそうで
ならば書かなきゃいいのにということなのでしょうが
もしどの役か好きな役をやらせてあげると言われたなら断然このギャルソンがいいです
チョイ役のように見えて実はけっこう難しい役どころではないのかなと
この映画の隠し味のような存在だと思うのですね
ギャルソンに目を付けてしまった自分
ちょっと笑えるギャルソン
なかなかのものです
現実にもしこんな注文出された日にはそりゃあギャルソンもたまらんよなあと同情してしまうのです
いくら彼女にその気があったとしても彼女だってやっぱりたまらんでしょう
でもフランス人はそうでもないのかなあ
平気なんでしょうか
長い人生ですから成りゆきというかホテルのバーでそんな昔もあったような気もしますよ
でもそれは言うまでもなく形だけではあっても気づかれないようにするのが
やはり男性側のエチケットというものだと思うのですね
例えば何かで席を外しているときにだとか
ギャルソンを呼んでいいのかなあ
こう大っぴらに注文されては
その気でいる彼女だって
デリカシーの無さに
あきれ果てて
愛
ジ・エンド
だと思うのですね
少なくとも大和撫子の場合には
フランス女性はホントこれでいいのでしょうか