⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️は最高評価です。

読み進みたいのだけれども、とても一息に読み通すことは出来なかった。
 

これまでの人生を振り返り重ね合わせてしまう。濃淡の違いこそあれ、それなりの年齢であるならば、少なからぬ人々にとって、何かしら思い当たるところも有るのではないか。

 

無傷で生きることは難しい。遠い記憶の淵に沈んでいたはずものが抉り出され、ヒリヒリとする胸の痛みを、息苦しさを、忍びながら、休み休み、幾度もページを後戻りさせながら、行きつ戻りつ、何とかやっとの思いで読み終えることが出来た。


煩悩も生きていればこそということか。今ここに生きて在ることの根源的な儚さと、其れゆえの、狂おしいまでの愛おしさを描き切った傑作と読み取った。
 

 

 

と、語ってみたいところですが、結局こういう世界とは、あまり縁のない男でありました。たぶんいろいろと経験のある人ならば、こういったコメントも書けるのでしょうね。残念です。

でも、小説の世界にどっぷりと浸り込んでしまって、「ヒリヒリとする胸の痛みを、息苦しさを、忍びながら、休み休み、幾度もページを後戻りさせながら、行きつ戻りつ、何とかやっとの思いで読み終えることが出来た。」というのは本当です。

島本理生さんの作品はこれが初めてですが、この小説がわずか31歳のときに書かれたことに只々驚きます。作家のイマジネーションまさに畏るべしです。

 

 

映画化もされているようですね。