なんとなく目が覚めると、カーテンの隙間から見える外はまだ暗かった。
6時ちょっと過ぎ。
起きないといけないようだ。
7時過ぎのバスで入院先の病院に行くバスに乗る為には、家を6時30分には出たいところなのだ。
1階では奥さんが起きてすでに準備してる物音がしていた。
僕の歩く音も聞こえる。
まだはっきりしない頭を無理に起こして携帯を充電器ごとプラグから引き抜き、置時計をつかんで一階への階段を降りていくと、台所から僕がやってきて柵にしがみついてこちらを見ている。
いつもより早い寝起きである。
奥さんが起こさなくても、5時ごろから何回も目が覚めていたらしい。
僕の頭を手に置きながら横を通り過ぎると奥さんはすでに準備た終わったらしく急かしてきた。
嫁「もうお父さん待ってるよ」
外には父親、母親、姉の声がして待っているようである。
まとわりついてくる僕をかわしながら服を着替え、残りの荷物を車に積んであったカバンに入れる。
おいら「じゃあ、先にいってるから」
母「はいはい」
先日交通事故にあった母は、杖をいたままで見送ってくれた。
ドナーの母は二日遅れてに入院する予定だ。
嫁の運転する車の助手席に乗り込み、バス亭まで向かう。
後部座席には父と僕が乗せられ、眠そうにしていた。
奥さんと抱かれた僕に見送られバスに乗る。
こちらから手を振るが、僕は何もまだ何もわかっていない様子。
きょとんとしている。
バスのドアが閉まり、車が発車した。
今度会うのはいつだろう?
移植を決めて3カ月長いと思っていたが、過ぎてみればあっという間だった。
考えないようにしているが、手術のことを考えると怖くなる。
移植しても、何年もつのか。
不安ばかり募るので、考えない。
目先のことに没頭することで考えないようにする。
バスの中には自分と父親を含めて四人しか乗客がいなかった。
指定席だったが、あまりにおいらと親父の話し声がうるさいために少し後ろにいた若者が、運転手に席を動いてよいか尋ねてから席を移動していた。
しかし、おかまいなしに二人はしゃべる。
1人だったらいろいろと考えていたに違いない。
そういう意味では親父の存在はありがたかったが、その後のタクシーの乗りつぎやら看護士さんとのやりとりにしゃしゃり出てこられて、ややこしくしたり、面倒なことを言い出したりしてくれなければ良かったのだが。
バスを降り、タクシーを乗り継いで入院先の病院に着く。
手続きをすませ、病棟に上がると担当の看護師さんが呼ばれ、病室に案内された。
150㎝あるだろうか。
割とはっきりとものは言うが、愛そうが悪いというわけではない。どちらかといえばいい方だ。
年は24、5といったところだろうか。
この病棟は割と若い人が多いようだ。
ありきたりの入院の説明が行われ、はいはいと頷く。
少しするとお昼ご飯が病室に配られてきた。
メニューは
ごはん200グラム。
ほうれんそうのお浸し。
白身魚の煮魚。
茹でなすの甘味噌かけ。
ミカン缶。
ゆめせんべい。
けっこうなボリュームだし、味付けもわりと食べれる。
完食。
食事をたべたら摂取量をシートに記入。
これは今までになく、新鮮だ。
もっとも仕事でもやってることだが。
昼食をとりに親父は1階の食堂に降り、その間1人で病室で寛ぐ。
改めて部屋を見回すと、建物自体は割ときれいだった。
ベットは少し小さめ。床頭台は引き出しが結構あるが、衣類ケースはない。
服かけが床頭台についているのがありがたいが。
洗面所とトイレは部屋についている。
シャワー室がトイレについているが、入浴は共同を使うらしい。
二人部屋。
不満があるとすれば、隣のベッドとの間隔が狭いことだろう。