2時間ぼんやりと天井やら周囲の様子やら観察していて気が付いたことに、看護師さんは3人いて、マスクをした目の大きな看護師さんは美人だということだ。 見えるのがその看護師さんでないのが少し残念には思うが、まあどうでもよいことだった。
そういえば、針の刺さっている右足の付け根が、ドクンドクンと脈拍打っていて変な感じがしていることに気が付いた。動脈に針を刺しているからだろう。あと2時間、さっきより3分ほど進んだみたいだから1時間57分くらいか。まあそこは我慢できることだろう。右手の肘の内側にも同じ針が刺さっているが、こちらは静脈に刺さっている。
足の付け根の動脈に刺さっている針にはチューブがついてチューブの中は耳元で規則正しく動いているダイアライザーという電子機器が制御する通りに血液が、ぶら下がっている空の状態だとビニール製かシリコン製だかの透明だった、試験管みたいな容器や、筒状の中が透けて見えるよくみると光ファイバーのような細い透明な糸状のものが筒と平行に何本も走っていて、糸状の中だか外だかを伝い、またチューブを通って右手の挿した針から静脈に戻るというような状態である。少しくらい大きな声を出して訴えたところで、妥当な気はする。
人工透析という治療方法で体のいらなくなった老廃物を機械でこすらしいのだが、初めてのことである。事前にある程度説明を受けたり母親が看護師だったので見たり聞いたりしたことを教えてくれていたのだが、実際行ってみると、こんなものかという感じだ。もっと苦痛をイメージしていたのだが。 もっとも、透析を行う前は体に溜まった老廃物のせいで、昼と言わず夜と言わず襲って来ていた吐き気や悪寒からぬけだせるのなら、多少のことは我慢出来るつもりだ。生半可ではあるがあんな苦痛が続き、酷くなるのなら別の選択をしていたかもしれない、等と考えるのは不謹慎だろうか。