剣士ウォレス | "THE LAST BATTLE" ミリアムの魔術書・外伝

剣士ウォレス


"THE LAST BATTLE"   ミリアムの魔術書・外伝


「フェルナンドだ。お前でいい。俺を倒せ、先へ進むために」


曇天の下で、黒馬が不気味なまでの鮮やかさで主を乗せ、そこにいる。


一枚の絵画のように、暗い空は剣士とその僕を現実の視界に描きだす。


名を呼ばれたのは、フェルナンド。



なんの遺恨もない相手に向かって剣を抜く。


生きるために。


元の自分に戻るために。


なんの怨みもない者同士が闘う理不尽さ。それを超えて戦士は生き、成長する。


黒馬が嘶き、フェルナンドに向かってくる。


フェルナンドの剣裁きは一瞬にしてウォレスから僕を奪った。首を刎ねられた巨体の馬は大地に転がり、ウォレスは両の足で土を踏んだ。


もうすぐ雨の予感がした。