行き先は地獄でも
ハ・ティムとリヒターの会話より
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「私たちはいつになったら解放されるのですか・・・」
「デーモンを倒せたらな。たぶん戻れるさ。”寿命”を取り戻せばいいことだ」
「あなたはこの先。百年以上の時をこのままで過ごすことに耐えられますか?」
「フェルナンドは耐えているよ」
あまりに冷静。さすがは領主の生まれ・・・それは違うかな・・・。
「あの男は異常です。孤独のあまりこんな生活が普通になっている」
ハ・ティムの声が力を失ってゆく。
日が傾きかけていた、そんな黄昏時だから、感傷的になりやすくなるなんて、リヒターはそう思っていた。
ハ・ティムの抱える不安や恐怖は理解できても、それを解決するのは自分自身だとわかっていたからこそ、リヒターはあえて冷たく。
「マリアにでもさ、頼んでもらえ。いっそデーモンが早く甦ってくれるようにと。そんな奴に俺の護衛は務まらない」
「申し訳・・・」
「もういい。そろそろマリアが食事の支度をする頃だ。腹減ったな? そうだよ、俺もだ」
「はい・・・」
その晩、彼らがパーティはマリアの作ったチーズマカロニを中央に置いて、ベーグルとロールパンとたっぷりのサラダで夕餉を楽しんだ・・・はずよね? ハ・ティム?
このままでいけば、特定の女性に主を奪われることなく暮らしてゆけるのに。
今、ハ・ティムを困惑させているのは何かしら?