島から大陸へ
両親共に巨漢だったってばあさんは言っていた。
俺は知らん。親の顔は知らん。
大陸に渡ったきりだという。ひと稼ぎしてくるってそれっきりだそうな。
たぶん。生きてない。
勘だな、あくまで。
ここはさ、俺が生まれたところのことだよな。
流刑の地なんて呼ばれる島。
船でせいぜい一日らしい、大陸に渡れるんだ。俺もそうしたからさ。
ばあさんどうしてるかな。
巨漢らしい両親は生きてるのかなんてどうでもいいんだ。島を出てみたかったんだよ。
島でもひたすら「でかい」と言われてはいたが、今じゃ「大陸一の大男」だよ。
マリアはどうなんだろうな。昔の恋人はどんな奴だったかなんてわからん、知らん。
ああ俺知らないことばっかりだ。
どうして大陸に渡ったのかも自分でもよくわからないんだ。
何かに呼ばれた気はする。
運命か? 信じねえよ。
流刑の地から来た大男は、大陸で女に出会ったってことだよな。
まあそれだけじゃすまなくなってきたんだが。