予兆
洗濯や掃除を済ませた頃には、すっかり日は高く昇っていた。
マリアには女性としてこなすべき炊事や洗濯、掃除などがあり。
まあそれも女だから昔からだからと何の抵抗もなく受け入れた。
リューゲンの「俺、卵は半熟が好いんだよ」にはむっとしたが。
内心「ガキ!」と毒づいたあと、仲間たちの食べ汚しの食器を片付け洗濯となった。
他の男どもは礼のひとつも言ってくれるから、かろうじて溜飲も下がるというものだ。
その日、洗濯をあらかたすませ、ようやく自分の朝食にありつけるかと思ったマリアも。
「あっは」
つい、そんな風に笑った。
いやだわ、これだけお日様に当たっていたというのに。
今日の太陽、西から昇ってるわよ。
あはは、あはは。マリアの笑い声が空に響いた。