ケイティとエヴァンはいつも一緒に眠る。お互いに夜が怖い。真っ暗な闇は死を思い出させる。
共に”死んだ”経験があるからこそ共有できる思いがある。
どちらともなく手を握って、やがて朝を迎る。そんな生活は続く。
ケイティはたまにサムソンを思い出す。恋慕ではなく「そんな人もいたんだわ」と。
今夜の夢はこの世界の終わる破滅のときが舞台だった。
エヴァンはどんな夢の中にいるのか。
「きっと正夢だわ」
ケイティはそう思ったがどうということはなかった。一度は死んだのだ。
そういえば、と思う。
これ以上に怖いものなど今更ないのだ。
そう、なにも。