娘の復讐心 | "THE LAST BATTLE" ミリアムの魔術書・外伝

娘の復讐心

ケイティは自分が死んだ瞬間を覚えている。

モンスターに弾き飛ばされ、高く宙に飛ばされた次の瞬間には岩場に全身を叩きつけられ、体中を骨折し、頭部からは脳漿が飛び出す。そんな状態で死んだのだ。


戦死など美しいものではない。都合よく、顔だけが無傷などと誰が言うか。


だからサムソンが…結果自分以外の女を愛し始めたあの男から魂を少しずつ削り、ターシルにあっさり倒されるようにエンジェルの持つ能力のひとつ、《スペシャルパワー》でもって存在の記憶を希薄にしたのは自分だ。


アークエンジェルは生死を司る役割を担っていた。


それくらいは簡単なことだった。


サムソンを楽には死なせられなかった。

それがエンジェルとしての役目からはずされた理由のひとつだが…知るものか。

ケイティにとっての大きな目的のひとつはすでに達成されていたのだ。