友達の作り方のお話。


もう十年弱も前のお話。

友人が警察署から保釈で出てきた日、そのままの足で俺の元にやってきてくれた事がとても嬉しく、二人で東中野にあるつまみの旨い店で飲んでいた。

高校生の年からの付き合いで一緒に音楽したりなど、とにかくその晩は警察での取り調べの話から昔話まで気を良くしながら酒が進んでいた。


しばらくして同じ居酒屋じゃつまらない、知り合いの店にでも行こうという事でタクシーに乗り込んだ。

その店に着くも店の入口の前には刺青だらけの男と、もう一人体躯のいい男が立っているだけ、とても飲み屋がやっている雰囲気ではなかった。

何となく出鼻を挫かれた気がした俺は不機嫌になり、そこに酔いも手伝ってか刺青だらけの男にぶつかった。

当然そこから揉める。

とりあえず人目に付かない場所へ移動という事になり路地を入った真っ暗な駐車場に入った。

「しまった」忘れてた事に気付く。

同行していた友人は高額な保釈金を払い保釈中の身、ただの喧嘩とは言え地域住民の通報や、もしくはどちらかが大怪我すれば友人に訪れる裁判での情状にも関わり兼ねない。


何とも情けなく感じつつも、近日中に必ず来るからと再戦の申し込みをする俺。

相手も「ああ?」となりつつも、気付いた状況を話すと「いや、別にどんな結果になろうと警察沙汰にしたりはしねえよ」と、そこで「どっちか大怪我すれば話が変わる」と伝えると、何とも腑に落ちない様子ではあったものの「必ず来いよ」と言い了承してくれた。


次の日の午後、約束通りその男の元に向かった。

「本当に来たんだ」「ええ、昨日は変な巻く引きですんません」と、お互い昨晩よりも冷静に挨拶から交わした。

どうせ来ないと思われていたらしく、実際来た事に感心した事や、こちらの都合がどういうものだったのか、そこからは気付けば世間話だったり時間を気にする事もなく話し込んでしまっていた。


数時間くらい話した頃だったか「で、どうする?やるかい?」と言われ「何かもう喧嘩する理由なくないすか?」で互いの敵意の無さを確認し合った気がした。

その後も事ある毎に訪れては色々話し合える友人関係を築ける事ができ、俺は先輩と思うも先輩は友人と言ってくれる間柄になっている。

喧嘩売っておいて自己中心的な理由で中断という情けない結果ではあれ、俺の人生に影響を与えてくれる交友関係が築けたという結果論的に言えばありだと思っている。


その先輩からの紹介だったり、また様々な交友関係の広がりがあったりと、今の自分の構築に関する話は、またのお話。


先輩元気ですか?

俺は元気です。