啖呵のお話。
揉め事の多かった少年時代から、どんな見せ方がその周りに印象を与えるのか、日々実践を兼ね考えていたと思う。
如何に興奮状態でも噛まずに相手の心を折るのか、これはとても大事な事。
特別体が大きい訳でもなく、気の小さい俺には如何に気持ちで負けない事の大事さは身にしみて分かっている事。
ただ殴り付けても相手の心を折る事が出来なければ、やがて買った恨みを晴らされるだけとなる。
「たまたま負けた」とは思わせない事がとても重要だった。
今思うと頭がおかしいとしか思えないが、二十代中盤までは必要な事だった。
歌舞伎町の生活を謳歌していた頃の話を少しだけ書いてみようと思う。
刺青が入っていても入れてくれるサウナに、度々酔っ払ってはお世話になっていた。
酔ったままサウナに行き、スナックルームでつまみと酒を飲み、中国の女性スタッフのマッサージを受け眠りにつく。
夢の桃源郷に仲間を付き合わせる事も多々あった。
歌舞伎町を根城にする不良や、どこか訳のありそうな人間も目に付くそのサウナは、俺にとって楽しい遊技場でもあった。
ある朝眠りから醒め、スナックルームに朝食を取りに行くと、食べ盛りだった俺はラーメンと半ライスに冷奴のついた「ラーメンセット」を中国人男性スタッフに注文する。
「さあ食うぞ」と言う時、不良風な中年男性が少し酔った様子で入ってきた。
その男が怒鳴る「おい、この店はお冷やもすぐに出さねえのか」と。
その男がいちいち「くそが」やら言うので段々飯の不味くなっていた俺も苛立ってきていたが、取り敢えず我慢を重ねる。
男が頼んだモーニングセットが男の元に届く。
納豆、生卵、白飯、お新香、味のり、味噌汁、冷奴のセットだ。
男が卵を割ろうと備え付けの皿に卵を落とす、角度が悪かった。
卵は皿の円形を伝い皿ごとテーブルの下に滑り落ちていった。
中国人男性スタッフに急に怒鳴る男「おい!この店は床に食いもん落ちても掃除もしねえのか!」と。
はい、我慢の限界がやってきました。
「おい、手前えさっきからうるせぇんだよ。飯が不味くなるだろうが」突発的に大声で言ってしまう俺。
男が近付きながら言う「ああ?俺は○○会のもんだけどよ、なんか文句あるんかこらあ」と息巻く。
やれやれだぜ…と思い「おう、手前えは手前えの食う卵の始末まで組の看板に頼るのか、んなもんいくらでも相手したったんぞこらあ」と返した。
急に縮こまった男は急に落ち着き払い「まあまあ兄さん、酒奢りますから少し話しましょう」と妙な提案を言い出したので、こう断りを入れる「悪いが知らねえ人間に奢られる筋合いはないんだわ」と伝えた。
「どこの組の兄さんなのか教えてもらえませんか?」と聞かれるも「んな事聞くのも答えるのも野暮でしょう」と返した。
その後もそのサウナに通い男と何度も会ったが、会釈をされるようになっていた。
この男との話はこれでおしまい。
何も続きません「自分はどこの者です」とか「どこの人ですか?」なんてのは、格好のいい啖呵ではないというお話。
他にもまだまだ歌舞伎町で色々あったが、それはまたのお話。
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夢の桃源郷に仲間を付き合わせる事も多々あった。
歌舞伎町を根城にする不良や、どこか訳のありそうな人間も目に付くそのサウナは、俺にとって楽しい遊技場でもあった。
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「さあ食うぞ」と言う時、不良風な中年男性が少し酔った様子で入ってきた。
その男が怒鳴る「おい、この店はお冷やもすぐに出さねえのか」と。
その男がいちいち「くそが」やら言うので段々飯の不味くなっていた俺も苛立ってきていたが、取り敢えず我慢を重ねる。
男が頼んだモーニングセットが男の元に届く。
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男が卵を割ろうと備え付けの皿に卵を落とす、角度が悪かった。
卵は皿の円形を伝い皿ごとテーブルの下に滑り落ちていった。
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「どこの組の兄さんなのか教えてもらえませんか?」と聞かれるも「んな事聞くのも答えるのも野暮でしょう」と返した。
その後もそのサウナに通い男と何度も会ったが、会釈をされるようになっていた。
この男との話はこれでおしまい。
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他にもまだまだ歌舞伎町で色々あったが、それはまたのお話。