伝統を壊した16才の時のお話。

高校に行くようになった事で同じ街の中学を卒業した、隣中学の元頭Mとの付き合いが深くなった。

毎日Mの実家の離れの部屋でたむろしたり、スケボーをしたり遊んでいた。

Mの部屋だけではなく、俺の溜まり場にしていた駅でも溜まっていた。

街で一番目立つ場所でもあり、人の行き来が絶えない事から、人を探したりするのにうってつけなのだ。

俺達が溜まるようになるまで、誰も駅に溜まる事はなかった。


しばらく経った頃、Mが苦い顔をしながら俺達みんなにこう言い出す。

「駅で溜まるなってA君に言われたんだよ」

Aというのは当時の暴走族の頭で、Mの中学の二つ上の先輩だ。

その暴走族は、街の不良少年がある程度の年齢に達すると、必ず圧力がかかり毎年新人暴走族か誕生していた。

俺達にももちろん「入れ」と因縁つけられたが「ダサいから無理」の一言で片付けた。

「暴走族に入りもしないで目立つ真似をするな」という事だったのであろう、もちろん先輩という概念のない俺は「放っておけ」くらいにしか考えていなかった。

Mにとっては中学の時世話になった先輩、少し心苦しそうにはしていたものの、まあそうだよなという感じで先の注意喚起を無視し続ける事となった。

何度もAが来てはMを呼び出すのだが、毎度顔面の筋肉を駆使しては、頭おかしいのかと言われそうなくらい睨み付けていた。

あまりに様子のおかしい俺が何度も何度も睨み付けるせいか、Aは俺達を見て見ぬ振りをし出した。

自分が認めた先輩でもない人間に、とやかく言われるのが許せなかった。


その後Aとは人の紹介により話すようになるのだが「オサム君って当時めちゃめちゃ俺の事嫌いだったでしょ?」と聞かれた事がある。

答えはもちろん「だって俺の先輩でもないのになんやかんや言われたらムカつくでしょ」と返した。


そんな事もあり、地元の何年続いたのか分からない暴走族には、俺達の代だけ不在の代ができてしまった。

今ではMもAも、聞いたところその筋の不良になっているらしい。


この暴走族、しばらくこの後も何度も揉める事となるのだか、それはまたのお話。