中学三年生の初夏の話。

不良が多い街と聞けば色々な街に繰り出しては、ちょこちょこ目立つ少年に絡んでは喧嘩ばかりしていた。

制服の改造を受け付ける店のある街に行ってみたり、中学や高校同士の喧嘩の絶えない街に行ったり。

当時の隣街は中学が五校全て不良校というとても刺激的な街だった。

不良少年が多く、街の中では均衡が保たれ、そのまた隣街との喧嘩の絶えない街。

刺したや刺されたの話題真っ盛りの地に、意気揚々乗り込み、目立つ四人組の少年達を呼び止める。

四人組の内、一人だけ目が死んでいなかった。


隣街同士の喧嘩の中、突然横っ腹突かれたその中学の少年達は、俺の事を躍起に探していた。

俺の暮らす街の少年達に少しずつ被害が出ていると耳にした頃、数人の不良少年達に囲まれる事となった。

「顔貸せ、こっちだ」

人気のない道のりをついていくと、待機していた不良少年が公園を埋めていた。

冷静に数えてみると27,8人、各々が俺に向かって怒声を浴びせる。

隣街で一番不良少年の多い中学、今では元世界チャンプの少年もその中にいた。

おかしなもので最初囲まれた瞬間に感じた恐怖はなくなっていた。

イケイケな特攻隊長みたいな印象の目立った奴が近づいて吠える。

「手前えかこら、タイマン張れタイマン」

何だか可笑しくなってしまった俺も答える。

「手前えら一人に対してこんな人数で来やがって、タイマンもクソもあるかこら」

それまで怒声を浴びせていた少年達が一瞬ひるんだ(ちょっと安心した)

少年達の頭らしき一回り大きい奴が近づき、特攻隊長らしきと周り少年達を制して言う。

「あんたの言い分は確かに分かる。中学同士の抗争のつもりでこの人数で来た。実害はこっちが受けたんだ。詫びだけはもらわない事には帰れない。だろ?」

怒声を浴びせていた少年の中から四人が前に出る、頭が続けた。

「中学同士の抗争じゃないなら後は個人間のいざこざ。こいつらが納得すれば俺含め他の奴も関係ない」

頭の配慮が響き、四人組に詫びを入れた。


その出来事をきっかけに、隣街との友好関係が生まれる事になった。

その時の少年達の中には、今現在でも付き合いのある友人がいる。

安易に揉め事を増やさない、人の上に立つ人間の配慮を知った中学三年生の初夏だった。


配慮を学んだにも関わらず、なかなかその配慮の使えなかった十代、安易に揉めに揉めたその後の事は、またのお話。