深い森の中に若い緑の苗木が一つ


上は深い海、周りは幾重の足が並ぶ


ともにあった苗木たちは伸び育ち、枝を伸ばしても届かない


暗い海から射す光は、暖かく、苦しく、どことなく優しい


光を目指して進むだけ、それなのにとても難しい


霧が立ち込め光を遮る、風が運んできたのか鳥の唄が聞こえてくる


どこか楽しげで、愉快な唄は木霊のように反響する


聞き惚れば、霧が増す、光がさらに薄く


光を目指さば、唄は消え、獣の唸りが低く響く


あたりは霧と闇、一寸先さえわからない


不安が、恐怖が、孤が襲う


逃れることは決してできない、いっそのことなら戻ってしまおうか


それでは意味がない、その場所には何もない


目指すは光、望むのはその先


たとえ見えなくても上に進めば、枝と枝が絡み合う


木は一本ではただの木だ、だが多くが寄せれば森となる


一では無、孤は森でこそ意味がある。