どこをどうしたんだろう。

あの頃、

この世の終わりみたいな毎日の中で、

君は、わたしの光だった。


光。

ただ、闇の中に射す一筋の光。


その存在だけがわたしに生きていていいよと、

生きる理由をくれた。


今思えば君はいつもわたしの隣で陽の光みたいに、

笑っていてくれた。

真っ直ぐにいう君の「好きだよ」という声が好きな声だった。


どんなに遠くにいても、

雑踏の中でも、

すぐに君だとわかった。


「ねぇ、僕のこと好きになった?」って、

夕暮れのあの日覗き込んで聞いた君の顔を今も覚えてる。


神様は、

不公平だ。


あの冬の日。

クリスマスイブ、君の誕生日に、

神様は突然わたしから光を奪ってしまった。


「好き」


「わたしも好き」


そう言いたかったのに、

言わせてもらえなかった。


好きな人と思いが通じることは奇跡だと思う。

好きな人に好きと言ってもらえることは、

そう滅多にない。


なのに、

わたしは素直になれなかった。



事故の知らせを受けて、

どこをどうしたのかわからないまま君のそばに走ったのに、

最期に君はあの好きな声で、


「ねぇ、僕のぶんまで幸せになるんだよ」

と、言った。


泣いて、泣いて、泣いて、

ただ空を見上げて幾年泣いただろう。


どれだけ晴れた空も暗くて、

君に会いたくて、

空に手を伸ばしたら君が手を差し伸べてくれそうで、


何度も後を追った。



「ねぇ、知ってる?」

「うさぎって寂しいと死んじゃうんだって」

「君には僕がずっといるよ」

「そしたら僕は幸せだし、君はもう泣かなくていいでしょ」



あれから年月が過ぎて、

君がわたしの心の片隅に住み着いて、

少しだけあたたかい陽だまりができた。


時々、

星空を見上げて君を想う。今も。