哀しい目つきの漂流者
著者 工藤 美代子
著書の工藤美代子さんはカナダに移住して、日系人移民史を研究している方。
この「哀しい目つきの漂流者」は日本からカナダに渡った娼婦のノンフィクションです。
ノンフィクションと言うのは、正確に事実を辿らなければならないので小説を書くのとは違った大変さがあります。
「哀しい目つきの漂流者」はメープルと呼ばれていた娼婦を辿りながら、明治時代のカナダの様子等を浮き彫りにしていきます。
明治43年に発行された『加奈陀の魔窟』には、娼婦と娼館主の名前が色々と出てきているようで、それを頼りに子孫探しが始まったりします。
私にとっては意外だったんですが、当時、カナダの娼館主は日本人だったようです。
日本から海外に渡った娼婦を使って儲ける日本人のピンフ(娼館主)。
その事実に、なぜかちょっとしたショックを受けました。
記述によると当時は、妻が娼婦として稼いだり、娘を売る人もいたという事なので、現在の日本の常識で見る方が間違いなのかもしれません。
当時の海を渡った日本人は日本で生活できないからと言う人も大勢いました。自分が生きる為には仕方がなかったのかもしれませんしね。
日本人娼婦にしても外国人館主の下で働くよりは日本人館主の方が言葉も通じるし、色々と都合が良かったのかもしれません。
でも、娼館主も娼婦のように同じように哀しい目つきだったのかな?と、それが引っかかったのです。
「哀しい目つきの漂流者」にはカナダで亡くなった日本人の墓の写真が何枚か掲載されています。
ほとんどの日本人が知らない歴史の真実がここにあります。
読んでみてください。