部屋を片付けていたら久々に御拝観しました。

 

十数年前に購入して時折使っていましたが、ここ最近は倉庫の奥に仕舞ったままになっていました。

 

PowerCDです。

CDプレイヤーです。

 

 

 

箱はそんなに大きくありません。


箱の左上に皆さんよくご存じApplecomputer社のマークがありますね。

このPowerCDはApple社へのOEM製品です。

つまり、computer用CDROMdriveです。

Apple社の他、Kodak社へもOEM供給されていましたし、フィリップスブランドでも販売を行っていました。

 

因みに、Kodak社向けのみアウターパネルの形状が少し違います。

Apple社とフィリップス社用はレタリングの違いのみです。

 

 

中身です。

残念ながら専用リモコンはありません。

 

本体・電源ドック・ACアダプターと取説があります。

他にSCSIコードとRCAケーブルもあったはずですが、どこかに消えてしまったようです。

 

久々に音楽を聴いてみたくなりました。

 

 

PowerCDを使うためには、先ず本体と電源ドックを組み立てなければなりません。


こんな感じで二つを近付けて固定します。

 

 

カプラーを壊さない様に気を付けて差し込みます。

真っすぐに挿せば問題ありません。

 

 



忘れちゃいけない外れ防止ロックをします。

 

 

電源を入れて起動させます。

電源スイッチは本体の向かって左上にあります。

 

 

無事に起動しました。

古いCDプレイヤーはCDを読み込む部分に経年からくる劣化破損が起きやすいのですが、今回はどうなのだろうか・・・。

 

 

CDを入れるため蓋を開けます。

このPowerCDにはフィリップス社自慢の光学駆動機械であるCDM9が使われています。

上の写真で円弧状に溝が入っている所が四角く別部品になっていますが、これがCDM9です。

円弧状に光学機械が動くのでスイングアーム式と呼ばれていますが、この構造はフィリップス社の独自構造で、CD黎明期から採用された機械です。

 

スイング式といえばレコードプレイヤー(ターンテーブルとも言いますが)の針をアームが支えながらレコード盤の外側から時間軸に沿って内側へ移動していく様子と似ています。

レコード盤とCDは同じ円盤形状で外側から内側へ時間軸移動する(内側から外側でした)ので、CDM9の光学機械の読み取りもレコード針の送りかたと同じにした構造ですね。
 

ちなにみにSONY社他などのメーカーは直線的に光学機械が作動する構造を採用しているので、リニアスケーティング式とかで呼ばれています。
一般的に出回っている商品の殆どはリニアスケーティング式ですね。
 

 

つまり、CDM9はちょっと稀有な機械です。

PowerCD以外でCDM9などのスイングアーム式を採用した機械は、大きい箱型の本格的なオーディオ専用品になるため、PowerCDの様な小さな機械にCDM9を採用したことは音や機械に拘りを持つオーディオマニアの方々にはちょっと特別な商品です。

少なくとも私には・・・・ね。

 

さらに、このPowerCDにはデジタル信号をアナログ信号に変換するためのICに”ビットストリームコンバージョン”のDAC7(だったはず)を使用しています。

このDAC7の評判は概ね良いものが多く、フィリップス社製のCD機は生産終了から月日を経た現在でも未だに高評価になっています。
 

 

前置きが長くなりました。

CDをセットします。

CDは“蓋”側に置きます。

本体側には置けません。

 

 

蓋を締めると自動でCDの読み込みを始めます。

トラック(曲)量と総再生時間が表示されれば読み込みが出来た事になります。

この状態なら、プレイボタンを押せば演奏が始まるはずです。

 

この機械にはスピーカーが無いので、別途イヤホン使用しなければなりません。

今回は古いSONY製のヘッドホンを使います。

「MDR-005」という製品です。

盛大に音漏れします。

見た目のレトロ感も含めて時代通りの音が出ます。

このモデルの音の感想を簡単に言えばシャカシャカした音で今時の重低音は期待できませんが、「あーあの時聞いた音だなぁー」ってノスタルジックに浸れます。

 

イヤホンジャックは側面にあります。


イヤホンジャックの穴の下にアナログ式のボリュームダイヤルがあります。

ボリュームの下にある穴はラインアウト出力で、他の機器に接続するときに使います。

 

 

ちょっと逸れますが、電源ドックの背面にはApple社のPCに接続するためのインターフェイスであるSCSIコネクターがあります。
SCSIコネクターの隣にあるカウンターはPCと連携時の順番を設定するものだったと思います。

 

 

このPowerCDはCDM9とDAC7を採用した機械として良い音を出すことで一部の方々には有名なのですが、もう一つポータブル機器である事が特徴です。


お外に持ち運べて使えるのです。

 

 

証拠を見せましょう。

電源ドックの側面蓋を開けると乾電池8本を収納するスペースが出てきます。

 

 

そう、ACアダプターが無くてもCDが聞けるのです。


今までそんな使い方をしなかったのですが、今回は実際に試してみました。


ネット情報を見ると、乾電池駆動にはアルカリよりもマンガンの方が良い音が出るとの記述を見かけるので、マンガン電池を用意して外出することにします。

 

その前に、先程の音出し時に使用したSONY製ヘッドホンのMDR005に替えてEtymoticResearch” エティモティック リサーチ”製の「ER-4S」を使用します。

エティモティックリサーチ社は補聴器製造メーカーですが、ヘッドホンブーム到来前に補聴器開発のノウハウを生かしてオーディオ用イヤホンを作りました。

”カナル型イヤホン”の先駆け的な製品で、耳の奥に差し込む独特なイヤーパッドを使用することで耳に入る外音をシャットアウトし、音楽のみを聴かせる仕組みです。

 

ポータブル化したPowerCDとの相性は良いはず。
 

 

出先で購入した”マンガン乾電池”を持って公園へ行きました。

 

 

電源ドックへ乾電池をビルトイン!

 

 

電源を入れました。

ACアダプター駆動の時には無かった電池残量セグが液晶パネル右上に出ました。
動くぞ!

 

ER-4Sを繋いで音楽を再生します。

うーん、いい音が聞こえてくる。

(自己満足です)

 

 

せっかくのポータブル機器ですから、持って移動しながら聞きましょう。

でかいな・・・・。

重いな・・・・。

周囲にはそこそこ人が居る中でしたので、周囲の人から見たらあの人何やってるんだろうとチラ見されているのが良く分かります。

悪目立ちしているような気がする。

 

 

なので持ち運びはやめて地面に置きます。

いやこれはこれでなんか違和感あるなぁ。

 

でも音は良いぞ!低音もそれなりに出ている。

ER-4Sは低音の出にくい製品と言われていますが、PowerCDの駆動電圧はACアダプターで10V1.2A、乾電池駆動で15Vの供給源電圧がER-4Sをパワフルにしている様に感じます。
今時の高抵抗ヘッドフォンでもヘッドフォンアンプを使わずに聞けるくらいのアンプ能力があります。
 

一方でPowerCDは高音が出ないというか再生周波数帯が狭いようなイメージもありましたが、ことER-4Sを使用するかぎりでは高域帯は充分に出てると感じました。

 

このまま暫くの間、PowerCDを作業机に置いて使ってみようかな。