どうしても「死にたい」などと検索してしまう。

そんなことをしたところで死ねるわけではないし、生きていきたくなるような何かがひょっこり現れるわけではないことはわかっている。


そうやって、意味がないとわかっていても「死にたい」「自殺」「楽に死ねる方法」などと検索していると、必ず1番上に表示されてくる「いのちの電話」。


僕は死にたいだけで、助けて欲しいわけではない。

だいたい、あんなものに電話を掛けたところで、何も助からないのは火を見るより明らかだ。


彼らのできることは、電話をかけてきた相手の聞き手に回って、相手の気が済むまで喋らせてあげると言うくらいで、それ以上の何かは全く期待できない。


僕はいのちの電話へ一度も掛けたことはないが、それくらいの想像はつく。

なにしろ無料だし、電話の向こう側の人もボランティアなのだから、当然と言えば当然。


とはいえ随分前からいのちの電話は続いているから、これで助かっている命もあるのだろう。

実際、10年前に比べて日本の自殺者数は10000人ほど減少しているようだし。


僕はぐうたらだ。

35年生きているが、何も頑張ってはこなかった。

そして数ヶ月前、無職になった。

なんだかあの時の僕は、やめてしまってもすぐに職には就けるだろうと思っていた。

そういった根拠のない自信もあってか、今までやったことのない会計の仕事に就きたいと思って、簿記の資格が取れるハロワの職業訓練を受講することになったのが2ヶ月前。

受講してから暫くは順調だった。特に不安はなかった。

僕の中で問題が起きたのは今月の頭くらい。

毎週水曜日、午後から就職支援の時間があるのだが、その日は個人面談があった。

その面談では相談員と一対一で、今後の就職活動について具体的な話をする。

相談員は僕に早く就職活動をしろと促してきた。

というのも僕は今月ですでに退職から5ヶ月ほどが経過していたので、来月に入ると半年になってしまい、これは採用側からすると大きなブランクがあるとみられてしまうのだと言う。

僕は今月の頭にやっと簿記の三級がとれたばかりだった。

2級をとってから就活をしようと思っていたので、この話は物凄くショッキングで、僕の心をグラグラと揺らした。


相談員の言うことは多分当たっている。

彼もその道のプロなわけで、少なくとも僕なんかよりよっぽど就活についてわかっている。

就職するに当たってはどうしても簿記2級が必要だ。

しかし僕がそれを取得しようと思ったらどうしても来月まで掛かる。

そして来月になったら、社会に僕が座れる席はもう無い。

そんなことを考えていたら、今まで頑張ってこなかった、何も成し遂げていないただの35のオッサンが自分であるということが急に耐え難いものになった。

「35年間なにやってきたの?」

こんな質問を面接官にされたら、僕はまともなことを返せない。

35年何もやってこなかったのに、急に2ヶ月か3ヶ月か簿記やって資格とっただけで、何か成し遂げた気になろうとしていただけなんじゃないか。

もう死ぬしかないのに、そこから目を逸らしたくて何でもいいからやろうとしてただけ。


そんな僕にできるのは、Googleで死にたいと検索をかけるくらい。

そこで出てくるいのちの電話へかけたって、間違いなく「簿記を頑張ってるだけ偉い」だとか、「拾ってくれる企業が見つかりますよ」と言われるだけだとわかる。

返答が容易に想像つく電話にかけたって、僕の気は全然晴れない。

だったらどうすると言われても、答えはない。

死にたい。できるだけ楽に。ほんとただそれだけだ。