夏目漱石は、あの当時に官費留学するくらいだからものすごく優秀な英文学者であったのですが、学生時代にふつうに漢詩を作るくらいの漢文的素養はあったわけで、というか今から見ればものすごい量の漢籍に親しんでいたわけで、あの時代はそういったものが少なくとも知識階級には基礎的に求められたのだと思います。
小田嶋隆の対談だかを読んでたら、最近の若い人の文学観はは漱石鴎外の次は芥川、太宰ときて、そのあといきなり村上春樹になるらしい、とあって、いくらなんでもそんな、と思ったのだが、別の文学関係のページを見ていたら、講演会みたいな会場で「学校の先生が『今生きている作家は村上春樹以外は読まなくてもいい』と言っているんですが、どうなんでしょう」と今まさに生きている作家である川上未映子に質問した高校生がいた、というクダリがあって笑ったんだが、事態は教師のレベルでもそんなところに至っていたわけです。
これを「いまどきの若い者は…」で済ませることもできるわけだが、しかし本当にその程度の問題なのか。
おそらく大正期の若者は、漱石世代からは「漢文の素養もないくせに」と思われていたはずです。
私の若い時も「最近の学生は本も読まない」と言われいていました。
でもなあ、今の状態はどうなんだろう。
なんかものすごく深い断層が横たわっている気がし ます。