今回は、南條竹則氏による編訳ラヴクラフトの「クトゥルー神話傑作選」の3冊目、『アウトサイダー』(新潮文庫、2022年8月、pp.312.)を読みました。
本冊に収録されているのは、20世紀前半のアメリカ合衆国で、幻想小説・恐怖小説・科学小説・評論・詩などを「ウィアード・テイルズ」誌などの雑誌に発表していた作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(1890~1937)の作品のうち以下の15編です。
①アウトサイダー(1926)
②無名都市(1921)
③ヒュプノス(1923)
④セレファイス(1922)
⑤アザトホート(1938)
⑥ポラリス(1920)
⑦ウルタルの猫(1920)
⑧べつの神々(1933)
⑨恐ろしき老人(1921)
⑩霧の高見の奇妙な家(1931)
⑪銀の鍵(1929)
⑫名状しがたいもの(1925)
⑬家の中の絵(1921)
⑭忌まれた家(1928)
⑮魔女屋敷で見た夢(1933)
1920年から1938年にかけて発表されたこれらの作品を「クトウルー神話傑作選」という言葉で括ること妥当なのかどうかどうかについては疑問の余地が残りますし、「ランドルフ・カーターもの」とよばれる作品群のうち、1926年から1927年にかけて執筆されたものの没後の1948年になって発表された「未知なるカダスを夢に求めて」が収録されていないことには物足りなさが残るように思えます。しかし、「科学は最高に発達した時、魔術と区別になくなる」という言葉を地でいくようなラヴクラフトの作品群を明快な日本語による新訳で読むことができることを私たちは喜ぶべきだと思えます。ポー・ダンセイニ卿・ウェルズなどの影響を考えるのにも、この訳は役立つように思えます。
なお、初出誌とそこでの挿絵などの書誌的なことについては、大瀧啓裕氏による訳が創元推理文庫に収められている作品はそちらが役に立ちます。
今回は、ここまで!