Audio Pro 2.27 Mk.II君、とてもいい。メインSP、nOrh 9.0君との相性が良く、IT用語でいえば、シームレスに重低音とその上の音域がつながる。

 

 

 いい買い物をしたなあ、やっぱ天才かも、と自分を褒めちぎったが、好事魔多し。意外なところに、ほころびが見つかって驚いた。

 

 自作トーンアームのニセテンパード君を鳴らしてみたら、2.27君のレベルボリュームを上げても低音が聴こえないではないか。

 

低音の再生にケチがつき、焦りの色を隠せないニセテンパード君

 

 ハイカット周波数は、最小値の50Hzに設定した。75Hzより上にすると、サブウーファーの存在が耳でわかるからだ。つまりメインのステレオSPから2m以上離れた場所から重い低音が聴こえてしまう。いかにも不自然

 

 その50Hz以下の低音(26Hz~)が、ニセテンパード君に装着したDenon DL-301から出ていない。今まで気が付かなかったのは、nOrh 9.0君26Hzを再生できないからだろう。これも今回初めて知った事実だ*。

 

 心当たりはある。レコードの低音は、音溝の大きなうねりとして記録されている。ニセテンパード君はフローティング型なので、アームの回転軸が固定されてない。スライムをダンプ材として、宙に浮いてる状態だ。このスライムが柔らかすぎて、音溝のうねりにアームが引かれ、軸が動いてるのだろう。動いた分、うねりを変化として拾えてないから、低音を再生できないのだ。

 

 そうとなれば、対策はひとつ。スライムをもっと硬くしてフリクションを増やし、軸が音溝に負けないようにすればいい。前から考えとしてはあった改良だが、やるなら今だ。ちょうど、Denon DL-301の針にも疲れを感じてた。カートリッジも交換しよう。

 

 

 当初は某イソーの「ドロネーバ」とかいうスライムのイエローを使ってたが、どうも廃番になったらしく、ピンクとグリーンしか見かけなくなってしまった。今は某リアのスライムで代用してるが、量が少ないだけでモノは変わらない。

 

 この白いぐい飲みも、某イソーで買ったもの。これも最近は店で見かけない。

 

 

 で、ここにスライムを入れて、ピボットとなるピンポン玉を浮かすのだが、底からピンポン玉まで1cmほどあり、すべてをスライムで満たすと柔らかすぎて、アームがプルプルする。なにかで底上げしよう、というのが改良のポイントだ。造形用のパテで埋める、みたいなのは面倒なので、考えた末、メラミンスポンジをカットして入れてみた。

 

 

 スライムの量を最小限に減らせたので、次はカートリッジの交換だ。今回は「YAMAHA MC-9」にしてみよう。こいつも針折れジャンクの再生品だ。平凡な音だったので死蔵してたが、さあ、どうだろう。

 

 

 再生に問題なし。問題ないどころか、過去こいつから聴いたことのないレベルの音がする。上から下まで音が詰まってるし、温度感もある。以前は薄口の寒々しい音だったが、この変化はどうだ。

 

 

 定番、Shureのテストレコードで確認。Bass Drumテストはレベル5まで余裕でクリアした。

 

 

 お次は楽曲で視聴だ。最近のお気に入り、八神純子の「Lonely Girl」をスピンしたら、これが 最 高。ニセテンパード君を最初に鳴らしたときの感動が甦る、エッジの立った、鮮度抜群の音。アルバム自体も、すんばらしい。名曲ぞろいだが、中でもB2の「ジェラス」がいい。これを100円コーナーでさくっと抜ける某レコ屋、最高だ。また行こう。

 

 気になる50Hzの低音だが、改良の効果はてきめん。レベルボリュームを上げると、ちゃんとリニアに音がでかくなる。

 

 低音のリファレンスには、ビョークの「ホモジェニック」がいい。A1の「ハンター」は、我が家にあるアナログ盤で一番強烈な重低音を轟かせる。その容赦ない咆哮には、SPを飛ばしそうでヒヤヒヤする。ビョークじゃなかったら、こんな狂ったミキシングは許されないかも。さあ、試してみよう。

 

 

 驚いた。今まで低音過多バランスが悪いと思ってたが、Audio Pro 2.27 Mk.II君から出る50Hzの音がその印象を覆した。もっと床をビリビリ言わす方向にハンドルを切るかと思いきや、曲全体の見通しがよくなって、ウェルバランスになった。あまり好みでない(ついに書いてしまった💦)ビョークのヴォーカルも、これはこれで悪くない。面白いね。プリアンプのトンコンで、メインSPの低音を少しカットすると、さらに気持ちのいい音になったぞ。感心してるうちに、あっという間にA面が終わってしまった。

 

 Audio Pro 2.27 Mk.II君、とてもいい。いいぞ。

 

* 実はnOrh 9.0君が搭載する「Scan-speak Revelator 15W8530-K00」は5.5インチ径のミッドウーファーであって、周波数特性は80Hz辺りから大きく落ち込む。ユニットの特性からして、50Hzは荷が重いのだ。それでも、中低域の表現力はピカイチだから、その長所を温存したまま、もっと低い音をサブウーファーに任せよう、というのがそもそもの狙いだった。