ついつい買ってしまう10インチ盤

 

 プレーヤーのオート再生機能を惑わす魔性のレコードだが、我が家はマニュアル操作のプレーヤーしかないので、まったく問題ない。エッヘン。

 

 こまどり姉妹のファンでも何でもないけど、このジャケは見逃すには素晴らしすぎた。この古い映画のような独特の発色。飴細工のようだ。動画アプリのカラーグレーディングだと、どれを使えば再現できるんだろう。

 

 

 タイトル曲「浅草姉妹」に始まる全8曲。この時代の曲はどれも4分に満たないが、このサイズで8曲はお得感がある。

 

 1960年発売。この時期のコロンビア盤RIAAではない独自のカーブでカッティングされてるので、これもそうかと思ったが、判断が難しい。日本の「コロムビアレコード」は、RIAAをさっさと採用した可能性がある。

 

 どうなんだろうねえ、とジャケをひっくり返したら「録音特性 RIAA」と書いてあるではないか。これを信じることにしよう。

 

 というのも、アメリカだと「このレコードはRIAAカーブで記録されています」と書いてあるくせに、どう聴いても別のカーブで再生した方がナチュラルなサウンドになる、というケースが多いのだ。その双璧がコロンビア、アトランティックだろう。

 

 話は変わるが、このチャーミングなレコードが「LP」、「LONG PLAYING」と表記されるのも面白い。センターレーベルを見ていただこう。

 

 

 僕らは「EP」が7インチ、「LP」が12インチ(30センチ)だと学校で習うが、これは正しくない。あくまで、再生できる時間が長いのがLPであって、サイズは関係ないのである(といっても、ドーナツ盤でLPを名乗るトンデモ盤は見たことないが)。

 

 色々と御託を並べたが、スピーカーの前ではそんなことは忘れ、ただ姉妹の唄と三味線の音色にうっとりと浸る僕だ。こうして自分が生まれる前の名曲に濃厚接触できるのも、音楽メディアのありがたいところだね。

 

 意外に音がいい。決してラジオっぽい音ではない(ああいう音はどんな機材で再生してるんだろう?)

 

浅草姉妹 / こまどり姉妹 コロムビアレコード AL-223 1960年8月 定価\1,000