あるときから、レコードでしか新譜を買わなくなった。CDの音に我慢できなくなったからだ。

 

あるときから、世のアーチストは新譜をレコードで発売しなくなった。CDの方が売れるからだ。

 

さあ、困った。ずっと追いかけてるバンドがあるのに、レコード縛りだと新曲を聴けないじゃないか。

 

仕方ない。本当に気になるアーチストはCDを買おう。幸い、まだ使えるCDプレーヤーは家にあった。でも、そんな後ろ向きな姿勢でCDを聴いて楽しいか?

 

レコードなら、もっといい音で聴けるんじゃないか?」などと、ついつい思ってしまう。

 

プリファブ・スプラウトも、この縛りで新作を追えなくなったバンドだ。1990年の"Jordan: The Comeback"を最後に、ついにアナログ盤が出なくなった。

 

といっても、この人たちは次の"Andromeda Heights"まで、実に7年も沈黙した。てっきり解散したと信じるには、十分な時間だろう。だから、1997年にこの変なタイトルのアルバムが出たときは、ビックリして変な声が出たね。これは絶対に聴かないといけないアルバムだ、そう感じた。でも、アナログ盤は出ない。

 

選択肢はない。CDを買ったよ。

 

これでCDの音が酷かったら話にオチが付くが、逆だった。今度は音の良さにビックリする番。初期のCDがこのレベルで聴かせてくれたら、安心してアナログからフェードアウトできたのにねえ。

 

その頃はまだピュアオーディオ用のCDPを持ってたが、今は無い。"Andromeda Heights"のCDを最後に聴いたのは10年前だろうか。たまに聴きたくなるが、まずCD自体がクローゼットの段ボール箱で眠ってる。

 

だから、去年、2019年に、プリファブ・スプラウトの過去アルバムがまとめてアナログ化されると聴いたときは、もう全身でガッツポーズである。こんなに待たせやがって、チクショー!

 

なぜか2001年リリースの名作"The Gunman And Other Stories"だけはラインナップを外れたが、たぶんレーベルが違うからだろう。なるべく早く、これもレコードで出して欲しい。

 

 

このアートワークをLPサイズで見たかった。このジャケだけで、値段の半分の価値はある。

 

アナログ化にあたってリマスタリングされたサウンドは、記憶の中にあるCDの音に近い。新しい発見があるわけではなかったが、違和感のようなものはなく、アナログ・リイシューとしては成功だろう。

 

前作"Jordan: The Comeback"で頂点を極めたパワーポップ路線からは、やや後退した様子はある。プロデューサーもトーマス・ドルビーから、パディ・マッカルーンのセルフ・プロデュースに変わった。ゲストを最低限にした結果、プリファブのコアな部分、つまりソングライティングのクオリティがよく分かるアルバムになったと思う。

 

残りのリイシュー盤も、あまり相場が高騰しないうちに買わないとね。

 

 

Prefab Sprout ‎– Andromeda Heights

Kitchenware Records ‎– KWLP30-22

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Prefab Sprout ‎– Andromeda Heights