所謂、黒歴史

所謂、黒歴史

タイトル、まんまです。
小説、書いてます。

要厨意だったり、気まぐれ起こしたように色んなの書いて上げたりします。

よくネットから消えますが、宜しくお願いします。
m(__)m



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私は目立つのが嫌いだ。
人の目が動いて、こっちを向いたところで静止する。
吐き気がしても、吐いたら目が増えるからひたすら耐えて、目を動かして、逸らす。
その現実を、直視しないように。

車のドアが閉まる音。
それから、付いて来る足音。

「ごめんね……待った? 爺が荷物持つって聞かなくてさ」

「…………いや、そんなに待ってないから」

人の目には苛立ちの色が増していく。
異質なものを排除するための目は、それが異質であればあるだけ鋭く尖る。
平穏を、保つために。
異質は、平穏には入れてもらえない。

「ホント?……良かったぁ。僕もう置いていかれてるかと思ってたし」

逃げ出したくはあったが、さすがに乗せてもらっておいてそれは気が引ける。

「……そう」

ああ……ここでも私は。
また、異質になってしまった。

笑う声。苛立ちと危惧と好奇の混ざったそれは、異質を囲んで逃がさない。
気づいて落ち込んでも、気づかずへらへら笑っても、結果は同じだ。
そう思うとシアンが羨ましくもある。
結果が同じなら、思い知るまでだけでも笑っていられる方が良い。

並んだ目の中から何人か近づいて来る。
最近になって黒に戻したであろう傷んだ髪と絆創膏の貼られた耳。
見た目で判断するのは良くないと誰かが言った気がするが、どう見ても話の通じそうにない中学の時の同級生みたいな人だ。

「なぁ、お前らって一年?」
「てか、どこの坊々だよ、あのく……」

「よぉ!お前ら何やってんだ?」

せせら笑うようなガラの悪い声が引きつる。彼らの後ろ、私から見て正面に立っていたのは、綺麗に染めたこげ茶の髪とピアスの空いた耳のせいで180はあるであろう長身が余計に目立つ青年だ。水色の瞳を閉じそうな位に細めた笑顔は私にしてみれば、こんな爽やかな不良がこの世に存在したのかと驚くばかりなのだか、どういうわけか彼らは怯える。

「え……お、緒宮、轍?」
「いや、落ち着けって……大体、本人なら去年卒業したはず…………」

「ダブった。何か文句あっかコノヤロウ」

彼らはしばらく苦笑いを浮かべ、全速力で逃げて行った。

「……毎年いるんだよ。ああいうなんで紅桜に入れたのか不思議なくらいのバカ」

……助けてくれたんだろうか。

「あと、アイツら偉そうにしてたが一年だぞ。今日、新入生以外は生徒会の奴しか来てないから」

反射的にお礼の言える人間になりたい。
一度飲み込んでしまった言葉はそうそう出てきてくれない。

何か企んでる?
とっさに脳を襲う醜い疑惑が情けなく、この人に関しては見かけで判断したことも恥ずかしい。いっそ裏があれば少しは自己嫌悪が収まるかも知れない。

「……助けてくれてありがとう!お兄さん見た目はワルそうだけど優しんだね」

………………アンタどこのヒロインですか。
えへへー、じゃないわよ。
えへへー、じゃ。
何か企んでる?いや、企んでるんでしょう貴方は。

「お兄さん、オグウ ワダチって言うの?
さっき怖い人が言ってたけど……あ、今日ここにいる人って生徒会の人なんだっけ。もしかして有名人?」

青年はニィッと笑って。

「そ。3-C 1番、緒宮轍。あだ名はワダちゃん、ちなみに会長よろしくね!」

そう、言った。

6。

当然のように、少年と同じ数字が浮かび上がる。
針の跡はやはり消えていた。

「あの……シアン、さん」

「シアンで良いってば」

頬を膨らせた拗ねた子どものような顔。
何度も何度も返り血を浴びてきた悪魔であるはずの顔。

「……これは何ですか」

感情のまま刺した針に毒でも塗られていたら仇を討つ以前に私が死ぬ。

「魔法だよ」

魔法?

「……ふざけてるんですか?」

馬鹿にしたのか、あるいは馬鹿なのか。

「嘘みたいでしょ? でも、ホントなんだ」

チャリ……
針が腕輪にぶつかって小さく音を立てた。
シアンが元の箱にそれらをしまおうとした、ただそれだけの音。

「Nxious自体が特別な力を持ってるわけじゃない。あれはただの隠れ蓑さ」

Nxiousに特別な力はない。
それはそうだろう。
思いの他たくさんいるらしい嗜好のおかしな連中が寄り集まっているだけの組織だ。
特別な力なんて、あってたまるか。

「Nを匿うための城、なんて言い方もできるかな?」

Nは、仇。けれど仇であるということ以外、私は何一つNを知らない。

「…………そのNが、魔法使いだとでも?」

シアンは至って真面目に首を捻り、

「うーん……まぁ、そんな感じ」

と、いい加減な答えを吐いた。
正直、信憑性は微塵も感じられない。
それが現実味の無さからなのか、それとも単に私が疑り深いだけなのか。

わからない。何も。
シアンの言っていることを信用するか、何もわからないゲームに挑むか、私に与えられたのはその二者択一だ。

「…………そう、ですか」

この6とは、何なのか。
シアンは本当にNなのか。
私はどうするべきなのか。

聞きたいことはた山程ある。
けれど、日頃ろくに他人と会話らしい会話をしない私では、絞り出すようにそう言うのがやっとだった。

「あとさ……敬語、やめて」

…………は?

「なんか寂しい、し………………あ、あと、僕あんまり日本語得意じゃないから……」

ああ、なるほど。
急に何を言いだすのかと思えばそういうことか。
赤い瞳に銀髪という見た目のシアンは確かに日本人には見えない。

「わかった」

自分のことながらそっけない返事だ。
普通に話せ、と言われてもそれが難しい。

敬う、というよりは突き放す。どうにかして距離を保とうとする。そういう話し方ばかりしてきた。
無理に群れの中へ押し入って、這いつくばり、見下されて、仲間にしてもらう位なら、できる限り群れから離れたほうが良い。逃げて、逃げて、ぶたれても、ただ、逃げて。

ヘラヘラと、嬉しそうに笑うシアン。
何がそんなに嬉しいの。
私を何だと思っているの。
ただの醜い卑怯者が、そっけなく何か喋ったところで、何がそんなに可笑しいの。

ふいに、ドアが開いて、まだ少し冷たい4月の風が入ってくる。

「……もう着いちゃったの?」

「善処は致しましたが……この距離ではこれが限界ですな」

よくわからない会話をなんとか聞き流し、とりあえず荷物を手に席を立つ。

「んじゃあ……行こっか」

もう機嫌がなおったらしい。
疑い半分呆れ半分で車から降りると、そこは紅桜高校のグラウンドだった。

使用人の運転する高級車に乗って登校した銀髪赤眼のシアンはもちろん目立ち倒していた。

……当然、そんな目立つ人といる私も入学早々悪目立ちしていた。



どうしてこうなった。

注 : 続き短編とは、街中や部屋の中から見つけた文を一文目として書いた短編小説である。(命名、僕)

今回の一文目は、高2の時の英語のワークから、英訳問題の日本語文↓
「メアリーは何を言ったら良いかわからなかったので長い間黙っていた」






メアリーは何を言ったら良いかわからなかったので長い間黙っていた。

「変……かな?」

薄い化粧と清楚なワンピース。
目の前で不安そうに尋ねる親友は、とても美しかった。

「………………綺麗だよ。すごく」

そう言うのが、やっとだった。

「ありがとう……戻って来たら慰めてね?」

親友はこれから、ずっと片思いをしてきた相手に告白をしに行く。

向こうは友達としか思ってない、絶対にフラレる、あんなイケメンが振り向いてくれるわけない……口を開けばこんな感じだった頃と比べれば、かなり前向きになった。

「わかってる……その代わり、OKだったらお祝いさせてよね」

透き通った瞳が揺れて、ありがとう、と。
ただ、囁くようにそう言った。

「……いってきます」

愛らしい、姿。
それはまるで、天使のように。

「いってらっしゃい」

メアリーは、何を言ったら良いかわからなかった。
親友は、あまりに美しく変貌したのだ。

女の自分よりもずっと美しく……