昔、「暮しの手帖」編集部には花森安治という怪物がいた。
すごく厳しい人で、それでいて細やかな気遣いのできる人だったらしい。
その花森の影で、実は大橋鎭子という大ボスがいて、
彼女が花森亡き後も「暮しの手帖」を支えている。

この雑誌の生活に密着した強いポリシーと、
なぜか少し浮世離れした感じの混ざった所がすごく好きで、
中学の時から図書館で眺めていた。

何万枚もパンを焼いてトースターを調べたり、
ミシンで延々縫い続けたり、
ストーブを倒してみたりする「商品テスト」の厳しさと、
フランスでの生活を記事にしたり、
ちょっと変わったデザートをこしらえたりする「すてきなあなたに」の、
生活に豊かさを与える内容の、
妙なバランスがすごく好きだ。
そのバランスは大橋さんそのものなのだろう。

大橋さんは、この時代にはめずらしい職業婦人だ。
女性はみんな女学校を出たら、お嫁さんになるといっていた時代だ。
めずらしいからこそ、職業婦人には強い意志がある。
とにかく働きたい、人の役に立ちたいという気持ち。
確かに、大橋さんの環境はすごく恵まれているのかもしれないけど、
それは、彼女自身が工夫を凝らしたりして、
得た環境なのだろう。

大橋さんは、今も元気に編集部に出勤されているらしい。
最近の「暮しの手帖」、
ほんとうは大橋さんはどう思っているのかしら?

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