
内容的にはありがちな死ぬ間際に起きた四日間を描いたもので主人公(吉岡秀隆)の連れの女の子とヒロイン役の石田ゆり子が事故にあい身体が入れ替わる古典的なもの
しかし描写が独特というか死に際の描き方が「私死ぬの、こんなつらいの、さぁ泣いて」みたいな同情をさそうものだろうなと思って見ると、見事に裏切られる
そして最後も奇跡が起きて助かりました!みたいなハッピーエンドなんだろうなと思うとこれも裏切られてしまう
ハッピーエンドじゃないものは、ちょっとという人には受け入れにくいエンディングだがバッドエンディング的な最後なのにポジティブな雰囲気で終わる異色のラスト

日本映画 2005年 118分
のどかな田舎の雰囲気、景色で語られる物語も都会から離れ、忘れかけていた何かを思い出させてくれるし、何よりキャストが素晴らしい
何か過去に傷をおい引きずりながら苦悩する男を演じさせたら吉岡秀隆ほどハマる役もないという位この役にハマっている
ヒロインの石田ゆり子も役者が前に出過ぎない程度に控えめでありながら、自分の信念に従い行動力ある女性を見事に演じているし連れの女の子役の尾高杏奈がとても素晴らしい
劇中では自閉症の少女と身体が入れ替わった真理子役の石田ゆり子の大人の女性を見事に演じきっている
所々で身体が入れ替わった時に石田ゆり子が本人の姿で話す場面が出てくるが、少女の姿のままで心が真理子になった演技をする千織役の尾高杏奈が違和感なく石田ゆり子の真理子を演じている

後半は涙腺を刺激する描写が多く、そこにあの吉岡秀隆の表情で語られる物語は涙もろい人は最後まで号泣というか涙が溢れる場面が多いだろう
ちょっとマイナーな作品で泣ける映画を探してる人、王道パターンじゃないものを探してる人には意外な発見の映画になるかも知れない
ピアニストとしての才能溢れる如月敬輔(吉岡秀隆)はオーストリアに留学中に強盗事件に巻き込まれてしまう
銃を乱射する犯人に悲鳴をあげる少女、とっさにかばい助けに入るが左手を撃たれて薬指を失いピアニストとしての道をたたれてしまう

助けた少女千織(尾高杏奈)は両親が事件で殺されてしまい身寄りもないため施設に送られそうになるが敬輔が引き取り育てる事となる
千織は自閉症を患っていて満足に話す事や意思の疎通も難しかったが敬輔がピアノをひくとすぐさまそのメロディを口にしサヴァン症候群によるピアノの才能をみせ敬輔を驚かせた
敬輔は千織にピアノを教え、二人は各地を演奏しながら旅をする生活を始め、とある療養センターに呼ばれ演奏する事になった
その夜真理子は千織の入浴を手伝い、敬輔の元へ帰ってくると上機嫌の千織は「敬パパの手になりたい」と意味不明な言葉を発する


真理子の話しによると敬輔とは12年ぶりの再会で高校時代の先輩後輩で憧れの先輩で初恋だったと告げられ和やかな再会を果たすのだった
真理子の事を覚えていなかった敬輔は申し訳なさそうに再会の握手をして、手の掛かる千織の身の回りのことをしてくれる真理子に感謝していた

翌日真理子は死の淵にいる自分の姿をみて自分がいつ死ぬかもわからないと不安になり朝から取り乱していた

やっと信じた未来は真理子に必ず元気になって元通りになるんだよね?と話すが真理子がもう先がない事を未来に告げる


療養センターの医師(西田敏行)からも千織は典型的なサヴァン症候群だと言われるが素晴らしいピアノの演奏にセンターの患者やスタッフたちも喜び演奏会は成功に終わった
普段人見知りが激しい自閉症の少女にしては珍しく千織は真理子になつき、二人は帰る前に一緒に遊ぼうとはしゃぎながら外であそんでいたが突然天気が崩れて雷が近くの建物に落雷し二人は倒れ集中治療室に運ばれてしまう
幸い千織は軽い怪我で済んだが真理子が生死をさ迷う重症をおってしまう

目が覚めた千織は敬輔に向かい「私は真理子です」と突然話し出すが流暢に話をする千織の姿に驚き黙って話を聞くのだった
翌日センターの医師や看護師で仲の良い未来(中越典子)らが部屋に入ってきた時にとっさに真理子である事を隠す二人
真理子は信じてもらえないから言わないでおこうと言うと先輩である敬輔が「真理子さん」と呼ぶのは変だからと自分の事を真理子と呼んで欲しいと言い、先輩である敬輔を如月さんではなく「敬輔さん」と呼ぶ事にした
真理子は外に散歩に連れて行って欲しいと敬輔に頼むと、今までの身の上話を始めた
大学を卒業して大家族に憧れた真理子は田舎の老舗旅館の跡取りと結婚したと言う
旅館の息子の嫁は大変だからと父親に反対されるも嫁入りし、がむしゃらに頑張っていくのだった
旦那は優しく、家族からも愛され理想的な家族を手に入れて夢がかなったと思っていたが幸せは長く続かなかった
それまでは優しく接してきた旦那の家族だったが、真理子に跡取りの子供が出来ないと態度を変え真理子を追い出しにかかった
息子は跡取りのために結婚したんじゃないと反論するが家族を説得する事が出来ず真理子は出戻りの身となってしまう
そして帰り道の駅で現在の療養センターの医師夫妻に会いセンターに来るといいと言われ現在にいたるという
外で話を聞いてしまった看護師の未来は流暢に話す千織の姿をみて、実は自閉症じゃなくふりをしてあたかも自閉症の少女が天才的なピアノを演奏するように見せていると思って敬輔を非難するのだった
敬輔が事情を説明すると言い部屋に戻ると千織の姿がなく、千織は自分がいる集中治療室にたてこもり入って来たら真理子に繋がれてる医療機器を外すと脅した

何とか取り押さえて落ち着かせるが千織を真理子と呼び押さえつける敬輔を見た未来は更に嘘の上塗りをして誤魔化してると言い、自分のピアニストとしての夢をたつ原因の千織に対する復讐かと非難を続けた
もう隠し通せないと思った敬輔は医師にありのままを話し、真理子しか知り得ない事を知っていると言うと現在は死の淵にいる自分の妻(松坂慶子)が脳死の状態だが時に自分の手を握る事を引き合いに出し、説明のつかない奇跡はあるのかも知れないと敬輔に話した
一方全く信じない未来に真理子は二人しか知らないランチの待ち合わせ場所に来てと言い、訪れた未来に次々に真理子じゃなきゃ知り得ない事を話し始めると涙ながらにやっと真理子だと信じるのだった
どうして?納得がいかない未来だったが真理子が説明を続けた
今の自分があるのは、あの落雷事故で即死だったはずの自分の身体に千織の魂が入り込み踏み留まって踏ん張り四日間という時間を作ってくれたのだと・・

だがもう今夜でその時間もなくなり自分の寿命が尽きてしまう事を未来に告げた
帰り道、眠ってしまった真理子は敬輔の背中でふと目が覚めてつかの間の幸せな時間を過ごす
そして未来に最後のお願いを聞いて欲しいと言い、自分が死んでしまう最後病室で看取って欲しいと言うのだった
他に頼み事があれば何でも言って欲しいと未来がいうと、真理子は最後にセンターの中を一回りさせてとお願いした
周りからは千織がセンターの中を見学してるように見えたが真理子は今まで携わった患者やスタッフ、そして職場にお別れをしていたのだ

別れが済んだ真理子は最後にこの時間を作ってくれた千織と敬輔にちゃんとお礼が言いたいと話すが敬輔は自分は何もしていないと言う
もっと自分の価値を認めなよ?と真理子は敬輔に言い、この何日かの時間で今まで気付いていなかった幸せ、自分の価値を気付かせてくれた事を感謝してると話した
「もう思い残す事はないってこと?」と敬輔が聞くと、そんなのいっぱいあるよと真理子が続け、一番の後悔は敬輔と話せなくなること、敬輔のピアノが聴けなくなる事だと言い、今でもやっぱり敬輔の事が好きだと告げる
やるせない思いを浮かべる敬輔がピアノの前に座ると、再会した夜の事を覚えてる?と真理子が話し最後の祈りを始めた
「敬パパの手になりたい」
千織の発した言葉を思い出す敬輔、左手は動かずピアノを弾く事は出来ないはずだが、真理子が祈りを信じてと言う
敬輔はゆっくりと椅子に座ると真理子の言葉を信じて静かにピアノを弾き始めるのだった・・・
