不快感の少ない大会であった。

そう、少なかった。
全くなかったわけではない。

長洲未来は初めてのメダルを手にしたが、
金メダルに相応しいのは彼女であったと思う。
(レイバックスピンが本当に残念であった。)

コルピは3T+3Tを確実なものとし、
新しい表現を開拓し、
良い演技をしたとも思う。

ただ違和感を感じるのだ。


解説で、コルピとファヌフのスピンを絶賛するのも耳障りで、
不快なものであった。
2人とも「スピンに定評がある」とは初耳である。
コルピのシットスピンに対する絶賛は耳を疑うような言葉であった。

初戦で明るみになった、
ジャンプに続いて、スピンまで点数コントロールに使用されるという疑惑は
シリーズが進むに連れて確信に変わった。

私にはそれを裏打ちする解説に聞こえたのであった・・・。



男子は不快感はなく、
若い力を感じた素晴らしい大会だったと思う。


小塚の演技は圧巻であった。
アモーディオほどの盛り上がりではなかったが、
そのアモーディオの後で、スタオベがあったのは嬉しいこと。
観客に多くの日本人がいたとは言え、フランスの方も評価してくれたのだ。


高い得点が出たが、
それは、スケーティング至上主義で辻褄を合わせようとする意図を感じているので、
手放しでは喜べないが、
それでも嬉しいことであった。


初めて見た時に思った「完成したら」という期待度はますます高まった。

今までは、身体に一体感がなかったというか、腕は腕で存在しているように感じたが、
その感じが気にならなくなった。
もっと体が一体になってしなるようになると更に素晴らしくなるとは思うが、
上体の動きのエレガントさは非常に増した。
上体を激しく動かして、軸を外しても、安定して難しいステップを踏んでいる。

技術に裏打ちされた美しさを彼も手に入れたと思う。

このプログラムの振付はズエワ。
アイスダンスのトップチームの振付師かつコーチである。
これは彼女も振付していて楽しかったであろう。

彼の滑りの技術を前面に出した振付。
アイスダンスが得手な彼女ならではだ。

彼の個性も活きている。
非常にノーブルでエレガント。

殻を破ったと思う。

どんどん良くなっているこのプログラムはもっと化けると思う。
期待したい。

唯一、気になるのは、ピークが早くきてしまうこと。

それ以外は、とにかく楽しみである。





こちらは、カシスさんに教えていただいた観客撮影動画。
リンクが狭く感じる。

【小塚崇彦(Takahiko Kozuka) 2010 TEB FP LP ホームビデオ撮影 】
http://www.youtube.com/watch?v=xDrvvzPgg30




アモーディオも素晴らしかった。
体全体が音楽となったフリー。
「俺を見ろ」という気迫。
はちきれそうな若さとパワー。

これが「踊れる」ということだろう?


テクニックは素晴らしいが、
いま一つ足りないと感じてしまうムロズとレイノルズに対して、
上位2選手は大きな差をつけた。


フランスのベセリエもショートで素晴らしい4回転を見せて世界に名前を売った。
(地元枠はこうやって使うものだよっっ!!! 日本スケート連盟よ!!!)
フリーでの4Tはパンク。
3T+3Tを入れているのでザヤックに注意して欲しい。

=訂正=
フリーではルッツ入れていました。
サボテンさん、ご指摘ありがとうございました。m(_ _)m


ジュベールは非常に残念な結果であった。
近年は怪我と病気が多く、気の毒である。

昨季の世界選手権で長い闇から抜け出たかのように感じたが、
また出口の見えないトンネルに入ったようだ。

ジュベールはエッヂワークは非常に良くなったが、
エッヂワークや振付にパワーを割いている。

ジュベールはジュベールのよさで勝負して欲しい。
まずはジャンプあってのジュベールだ。

以前の彼のプログラムの方が私は好きだ。
彼の良さが出ていたように思う。


同じく暗いトンネルにいたと思われるトマシュは
4回転を捨てて、ロシア大会で優勝し、トンネルから脱出した。
彼は滑りが美しいという点がジュベールとは違うが、
自分の持ち味を前面に出したのはよかったと思う。


昨季、トマシュのあまりに酷い状態に、GPFに出場せず、調整すべきだと思った。
GPFでは公式練習ですら、ジャンプが入らない。
しかし、試合でしか、つかめないものを得るために出場していたのだろう。


同じ時期、不振であったはずの浅田真央は、彼らとは異なり、
短期間で復活し、五輪では素晴らしい演技を見せた。

これは驚異的なことであったと思う。

だから、私達は期待してしまう。
彼女はすぐに復活すると。


フランス大会では、NHK杯より全体的にかなり良くなっていた。
アナウンサーが「半歩進んだ」と表現したが、そのような感じであろう。

ジャンプは、自分の跳び方を見つけて、それで固定すれば、よいのであろう。
これは多くの時間をかけても出来ないかもしれないし、
ふとしたきっかけであっという間に手に出来るかもしれない。

ショートは確かに非常に短くなっていた。
あのツイズルが短くなったは非常に残念であるが、
ディダクションを取られることが多いので苦渋の決断であろう。

フリーのステップは素晴らしかった。
片足ステップで軸をずらして、全くそれを感じさせない。
(足を高くあげるなんて化け物だと思った。)
難しい技巧を難しいと感じさせないテクニック。
これもなまなかなものでは出来ないことである。


ステップは浅田選手の魅力を引き出していると思う。
ジャンプが決まればもっともっと良くなる。

まだまだこれからだ。


こちらもカシスさんに教えていただいた動画である。

【浅田真央(Mao Asada) 2010 TEB FP LP ホームビデオ撮影】
http://www.youtube.com/watch?v=_J6JNnsNWdQ



スケーティングがよくなり、
イーグルも深く距離が出ているのは公式練習の動画で分かったが、
スパイラルもスピードが出ているのが分かる。

(コレオスパイラルは加点を貰おうと、インサイドエッヂばかりで、スピードがなく非常につまらないものになっていると思う。)


全体的な技術の底上げは出来ている。

後は試合で出せるかどうかだけなのだ。



個人的には牧野さんが帯同してくれれば、
もっと体の状態を良くして試合に臨めるのではないかと思う。
体の状態は心の状態にも直結するので、
少しでもよい状態にして欲しいのだが・・・。

ウィダー側の事情も、
佐藤コーチの考えもあるのであろうから、
何が正しいかは分からないが・・・。