予想通り、メディアはルール改正は浅田選手に追い風と報道。
私はそうは考えない。
ISUの改正案文書から
http://isu.sportcentric.net/db//files/serve.php?id=1862
ジャンプについてのみとりあげる。
以下はジャンプの変更点。
_________________________
【基礎点の変更】
2T 1.3 → 1.4
2Lo 1.5 → 1.8
2A 3.5 → 3.3
3T 4.0 → 4.1
3S 4.5 → 4.2
3Lo 5.0 → 5.1
3F 5.5 → 5.3
3Lz 6.0 → 6.0 ※ルッツは基礎点変更なし。
3A 8.2→8.5
4T 9.8→10.3
4S 10.3→10.5
4Lo 10.8→12.0
4F 11.3→12.3
4Lz 11.8→13.6
4A 13.3→15.0
【GOEの加点幅】
・2A 1点単位 → 0.5単位
・3回転 1点単位 → 0.7単位
【中間点とダウングレート】
・ダウングレード
回転が1/2以上足りていないものとする。
プロトコルの表記は「<<」
減点は-2~-3
・中間点
1/4以上1/2以下の回転不足
プロトコルの表記のされ方は「<」
減点は-1~-2
・その他
ジャッジの目に付いた4分の1未満の回転不足は-1
【中間点について】(Under-rotated)
・中間点はそのジャンプのベースバリューの70%の点数を与えられる。
・回転不足ジャンプはジャッジに示される
・GOEの付け方はその意図したジャンプと同じようにつける。例えばトリプルアクセルの回転不足ジャンプには普通のトリプルアクセルとしてのGOEのつけ方をするということ。
【ダウングレードについて】(Downgraded)
・ダウングレードのジャンプとは回転が1/2以上足りていないものとする。
・ダウングレードのジャンプのプロトコルの表記は「<<」
_________________________
浅田の3Aはいつも回転がギリギリ。
常に1/4程度の回転不足がある。ここに目を付けたと思われる。
(これを克服することは非常に難しいだろう。)
どこが落とし穴であるかと、Lacking rotation(no sign)のGOE -1であろう。
浅田の3Aには少なくともGOE-1が付けられることとなろう。
3Aは今までは1/4弱の回転不足があっても+がもらえた。
ルール改正後は、トリプルアクセルの基礎点は8.5点となる。
通常の若干回転が足りない場合は GOE -1。
得点はおそらく 7.5 点がデフォルトに近くなる。
ダウングレードされた際は 6.0のGOE -1 ~ -2 であるので
得点は 4~5点。
従来の2AのGOE-2よりはマシではあるが(3.5点でGOE-で2点程度になることが多かった)、
現在の浅田のトリプルアクセルでは、得点源とすることは難しい。
追い風どころか、逆風だ。
________________________________
キムと浅田のジャンプの基礎点を五輪の構成で比較してみよう。
(加点マジックがあるので無意味なことではあるが・・・。)
※比較の目的は、得点の改定が浅田に有利であるかどうかという意味。
<ショート>
キム 改正前 / 改正後
3Lz+3T 10.00 / 10.10
3F 5.50 / 5.30
2A 3.50 / 3.30
小計 19.00 / 18.70
改正で -0.30
浅田
3A+2T 9.50 / 9.90
3F 5.50 / 5.30
2A 3.50 / 3.30
18.50 / 18.50
改正で 変わりなし。
ショートでは基礎点はキムの方が上。
浅田の3AがGOE-1となるであろうが、
対するキムの3Lz+3TはいつもGOE+2。
ショートはスパイラルがなくなれば、それもダメージとなる。
(スパイラルは浅田の最大の見せ場、ハイライト、である)
スパイラルが減った分、トランジッションが点数の要となるが、
浅田はトランジッションをどれだけいてれも得点は抑えられる傾向にある。
この構成では、ショートではキム有利。
浅田以外の有力選手、特にルッツとDGされない3-3を持つ選手も有利となるであろう。
(長洲未来、レピスト等)
<フリー>
キム 改正前 / 改正後
3Lz+3T 10.00 / 10.10
3F 5.50 / 5.30
2A+2T+2Lo 6.30 / 6.50
2A+3T 7.50 / 7.40
3S x 4.95 / 4.62
3Lz x 6.60 / 6.60
2A x 3.85 / 3.63
小計 44.70 / 44.15
改定で-0.55
なお、後半に2Aの代わりに3Loを入れるとすると、
46.35 / 46.13
改定で-0.22
浅田
3A 8.20 / 8.50
3A+2T 9.50 / 9.90
3F+2Lo 7.00 / 7.10
3Lo x 5.50 / 5.61
3F+2Lo+2Lo x 9.35 / 9.79
3T x 4.40 / 4.51
2A 3.85 / 3.63
小計 47.80 / 49.04
改定で1.24のアップ
ただし、3AはGOE-1が必ずつくと考えられるので、
最低でも -1.0×2 から 最大で -4.5×2 減点となる。
浅田は基礎点がキムより上であるが、
昨年の世界選手権以来、
フリーのジャンプのTESは、浅田はキムに勝ったことはない。
現在はGOEでいかに+を取るかが勝負の分かれ目。
この改正は、現在の浅田のトリプルアクセルの状態では、得点のマイナスとなると私は考える。
この改正は逆風であると考えるが、
良いジャンプコーチが見つかると追い風にも変えることが出来る。
とにかくルッツの修正。
それが何よりも大事だ。
そして完璧な3Aとセカンドの3回転。
次のシーズンを潰してでも、これらの矯正に注力して欲しい。
しかし、東京で世界選手権があるので、無理なことであろう・・・。
いつだって逆風に浅田は立ち向かってきた。
今回も克服するように最大限の努力をしてくれるのは分かっているが・・・。
マスコミを始め、浅田を叩く勢力達には、
次のシーズンは結果を求めず、見守ることをお願いしたい。
=追記=
現在の得点はGOE+をいかにとるかということがポイント。
「不完全」な3回転よりも、「完全」な2回転の方が得点が高くなる。
(世界選手権のコストナーとレピストの得点がその顕著な例となる。)
総会で女子ショートの2Aまたは3Aが通ったとすれば、
トランジッションが大きな問題になる。
ショートのスパイラル削除により、トランジッションの得点に与える影響がが大きくなる。
3Aを入れると、助走が長くなるため、トランジッションが少ないとみなされる。
(どんなに入れても! 浅田選手に限り!!)
その上、3AはGOE-1となる。
得点が伸びる可能性は少ない。
浅田選手の3Aは、異常なテクニカルコントローラー以外は、DGされないレベルにあるので、
中間点については正直、微妙と思う。
次は東京ワールドであるから、浅田選手には多少有利とは思う。
鍵は、キムの引退のみ・・・・。
私はそうは考えない。
ISUの改正案文書から
http://isu.sportcentric.net/db//files/serve.php?id=1862
ジャンプについてのみとりあげる。
以下はジャンプの変更点。
_________________________
【基礎点の変更】
2T 1.3 → 1.4
2Lo 1.5 → 1.8
2A 3.5 → 3.3
3T 4.0 → 4.1
3S 4.5 → 4.2
3Lo 5.0 → 5.1
3F 5.5 → 5.3
3Lz 6.0 → 6.0 ※ルッツは基礎点変更なし。
3A 8.2→8.5
4T 9.8→10.3
4S 10.3→10.5
4Lo 10.8→12.0
4F 11.3→12.3
4Lz 11.8→13.6
4A 13.3→15.0
【GOEの加点幅】
・2A 1点単位 → 0.5単位
・3回転 1点単位 → 0.7単位
【中間点とダウングレート】
・ダウングレード
回転が1/2以上足りていないものとする。
プロトコルの表記は「<<」
減点は-2~-3
・中間点
1/4以上1/2以下の回転不足
プロトコルの表記のされ方は「<」
減点は-1~-2
・その他
ジャッジの目に付いた4分の1未満の回転不足は-1
【中間点について】(Under-rotated)
・中間点はそのジャンプのベースバリューの70%の点数を与えられる。
・回転不足ジャンプはジャッジに示される
・GOEの付け方はその意図したジャンプと同じようにつける。例えばトリプルアクセルの回転不足ジャンプには普通のトリプルアクセルとしてのGOEのつけ方をするということ。
【ダウングレードについて】(Downgraded)
・ダウングレードのジャンプとは回転が1/2以上足りていないものとする。
・ダウングレードのジャンプのプロトコルの表記は「<<」
_________________________
浅田の3Aはいつも回転がギリギリ。
常に1/4程度の回転不足がある。ここに目を付けたと思われる。
(これを克服することは非常に難しいだろう。)
どこが落とし穴であるかと、Lacking rotation(no sign)のGOE -1であろう。
浅田の3Aには少なくともGOE-1が付けられることとなろう。
3Aは今までは1/4弱の回転不足があっても+がもらえた。
ルール改正後は、トリプルアクセルの基礎点は8.5点となる。
通常の若干回転が足りない場合は GOE -1。
得点はおそらく 7.5 点がデフォルトに近くなる。
ダウングレードされた際は 6.0のGOE -1 ~ -2 であるので
得点は 4~5点。
従来の2AのGOE-2よりはマシではあるが(3.5点でGOE-で2点程度になることが多かった)、
現在の浅田のトリプルアクセルでは、得点源とすることは難しい。
追い風どころか、逆風だ。
________________________________
キムと浅田のジャンプの基礎点を五輪の構成で比較してみよう。
(加点マジックがあるので無意味なことではあるが・・・。)
※比較の目的は、得点の改定が浅田に有利であるかどうかという意味。
<ショート>
キム 改正前 / 改正後
3Lz+3T 10.00 / 10.10
3F 5.50 / 5.30
2A 3.50 / 3.30
小計 19.00 / 18.70
改正で -0.30
浅田
3A+2T 9.50 / 9.90
3F 5.50 / 5.30
2A 3.50 / 3.30
18.50 / 18.50
改正で 変わりなし。
ショートでは基礎点はキムの方が上。
浅田の3AがGOE-1となるであろうが、
対するキムの3Lz+3TはいつもGOE+2。
ショートはスパイラルがなくなれば、それもダメージとなる。
(スパイラルは浅田の最大の見せ場、ハイライト、である)
スパイラルが減った分、トランジッションが点数の要となるが、
浅田はトランジッションをどれだけいてれも得点は抑えられる傾向にある。
この構成では、ショートではキム有利。
浅田以外の有力選手、特にルッツとDGされない3-3を持つ選手も有利となるであろう。
(長洲未来、レピスト等)
<フリー>
キム 改正前 / 改正後
3Lz+3T 10.00 / 10.10
3F 5.50 / 5.30
2A+2T+2Lo 6.30 / 6.50
2A+3T 7.50 / 7.40
3S x 4.95 / 4.62
3Lz x 6.60 / 6.60
2A x 3.85 / 3.63
小計 44.70 / 44.15
改定で-0.55
なお、後半に2Aの代わりに3Loを入れるとすると、
46.35 / 46.13
改定で-0.22
浅田
3A 8.20 / 8.50
3A+2T 9.50 / 9.90
3F+2Lo 7.00 / 7.10
3Lo x 5.50 / 5.61
3F+2Lo+2Lo x 9.35 / 9.79
3T x 4.40 / 4.51
2A 3.85 / 3.63
小計 47.80 / 49.04
改定で1.24のアップ
ただし、3AはGOE-1が必ずつくと考えられるので、
最低でも -1.0×2 から 最大で -4.5×2 減点となる。
浅田は基礎点がキムより上であるが、
昨年の世界選手権以来、
フリーのジャンプのTESは、浅田はキムに勝ったことはない。
現在はGOEでいかに+を取るかが勝負の分かれ目。
この改正は、現在の浅田のトリプルアクセルの状態では、得点のマイナスとなると私は考える。
この改正は逆風であると考えるが、
良いジャンプコーチが見つかると追い風にも変えることが出来る。
とにかくルッツの修正。
それが何よりも大事だ。
そして完璧な3Aとセカンドの3回転。
次のシーズンを潰してでも、これらの矯正に注力して欲しい。
しかし、東京で世界選手権があるので、無理なことであろう・・・。
いつだって逆風に浅田は立ち向かってきた。
今回も克服するように最大限の努力をしてくれるのは分かっているが・・・。
マスコミを始め、浅田を叩く勢力達には、
次のシーズンは結果を求めず、見守ることをお願いしたい。
=追記=
現在の得点はGOE+をいかにとるかということがポイント。
「不完全」な3回転よりも、「完全」な2回転の方が得点が高くなる。
(世界選手権のコストナーとレピストの得点がその顕著な例となる。)
総会で女子ショートの2Aまたは3Aが通ったとすれば、
トランジッションが大きな問題になる。
ショートのスパイラル削除により、トランジッションの得点に与える影響がが大きくなる。
3Aを入れると、助走が長くなるため、トランジッションが少ないとみなされる。
(どんなに入れても! 浅田選手に限り!!)
その上、3AはGOE-1となる。
得点が伸びる可能性は少ない。
浅田選手の3Aは、異常なテクニカルコントローラー以外は、DGされないレベルにあるので、
中間点については正直、微妙と思う。
次は東京ワールドであるから、浅田選手には多少有利とは思う。
鍵は、キムの引退のみ・・・・。