ロシア大会終了後、ミーシンコーチが「これで目が覚めただろう」とコメントしたらしいが、
GPファイナルを見る限り、ジャッジ達の目は覚めてなさそうであった。

しかし、欧州選手権を終えて、全世界の目が覚めたことだろう。

一部、関係者は新たな策略を練っている最中かもしれないが、
どんな手をつかっても、
プルシェンコの技術とランビエールの芸術性を
否定することも、超えることも、
誰にも出来ない。


新採点方式に活を入れるかのように、現れたプルシェンコとランビエールという救いの騎士。
これで現行の歪んだシステムの運用の疑問が明らかになることだろう。

あやしい新採点の運用が(敢えて「運用」と言おう。トリノでも新採点方式は使用されていたのだから。)
否定された欧州選手権だった。


新採点方式は、アイスショーなのだと思う。北米向きの。
難しいジャンプを飛んで転倒するよりも、キレイにダブルアクセルを降りることが求められる。
難しいジャンプを飛ぶためには、どうしても助走が必要だが(プルシェンコを除く ! )、
助走を待って、難しいジャンプを見るよりは、ひっきりなしに動いてくれている方が
観客は嬉しいのだろう。

氷上のミュージカルと呼ばれるアイスショー。
アイスショー化した、現行の新採点システムでは、音楽との調和がやたら求められる。
(スピンまで、音楽に合わせろとか、意味が分からない。
難しいポジションを取るより8回回る方が大事なんてもっと意味が分からない)

ショー化した競技として、より「踊れる」選手が求められた。
難しさではなく見た目のにぎやかさ。

そして、その影で、特定の選手を上げて、特定の選手を潰すルールが作られていく。

誰でも知っている回転不足とエッヂの問題。
ダブルアクセルの得点を高くした。
つなぎさえいれれば高得。
(但し、特定の選手のみ。)

簡単なジャンプの前後に要素を入れて、GOEてんこ盛りマジックは、もう出来まい。
(これはPCSだけの上げに限界を感じて考え出された手口のように思える。)

チャンは、ジャンプの前に要素をたくさん入れる。
それで3A+3Tや4回転以上の得点を貰っているのだが、
彼は3A+3Tや4回転はできない。
出来ない代わりにやっていることが、出来ないことより高得点なのはおかしなことだ。
(トリプルアクセルが不調だから4回転に磨きをかけるランビエールと、
ルッツの矯正が出来なかったのでトリプルアクセルに磨きをかける浅田真央と偉い違いだ。)

最近は特定の選手がジャンプ前のステップの数が少し少なかったり、
少しでも助走が長いとプラスが貰えないどころか、一部ジャッジは減点すらするようだ。
本当におかしなことだ。

トリノで絶賛された、プルシェンコの早い超絶技巧のレベル4のステップは今はレベル1や2だ。
ヤグディンステップもレベル1だろう。
(ヤグディンステップぱくりのジュベールも)

ジャンプだけではない。
ステップもスピンも、難しいもの、美しいものが否定されている。

とにかく、つなぎ。
挙句、つなぎのために要素を減らす始末。
本末転倒にもほどがある。
そして、そのつなぎが素晴らしいとされるのが、カナダの振付師だ。



プルシェンコとランビエールの参戦で、ジャッジは目が覚めただろうか?
男子に革命が起きたことが確実だが、他の競技ではどうだろうか?
五輪でも大丈夫だろうか?

五輪でも、男子は大丈夫であろう。
アイスダンスはダメであろう。(アイスダンスもショー化の要素が大きい)
ペアはどうであろう。若干不安が残る。

女子は?
基本的に性別が異なるのみで、男子と女子は同じはず。

女子でも、プルシェンコ越の技術点、ランビエールを超える演技・構成点は出せないはずだ。
ダブルアクセル三昧のスカスカプロでの五輪女王はあり得ないはずだ。
そう期待したい。


4回転を飛び続けるものが王者に、
3回転半に果敢に挑み続け、成功したものが女王になるべきだ。