7月の中旬のとある日(7月19日、21日)のこと、田んぼのヒエ取りをしていました。
※ヒエ取り後は、穂肥えをしました。(自分用の田んぼ日記の記載、読者のみなさまは置きになさらずにどうぞ)

「ヒエ」とはなにか、と言いますと、田んぼの中に生えるイネに似たイネ科の草なのです。
田んぼの穂がなんだか不ぞろいな感じになっている部分が見えますでしょうか。あれがヒエです。
下の田んぼのヒエ

上の写真の目立っている葉っぱは、イヌビエかケイヌビエと思われるヒエです。
イヌビエとケイヌビエは、普段の年なら田んぼの中にはそんなには生えないように思います。
今年は、6月まで雨が少なく、田んぼの用水が足らずに水が浅かったのでたくさん出てきてしまったように思っています。でも、うちの田んぼだけでなく、水のたくさんあるはずのほかの田んぼでも同じような状況なので、ほかにもヒエが元気になる要因がなにかしらあったのでしょうね。
早いものではもう穂を出しているものがありました。
イヌビエっぽい

上の穂のヒエの根元です。
ヒエには、こういった横に広がる赤みを帯びた根元のヒエと、広がらずにイネにほんとにそっくりなヒエとがあるようです。
イヌビエ 茎

写真中央に大きく写っている茎もヒエです。こちらがイネにそっくりなタイプのヒエ。
こちらはどうも、タイヌビエというもののようです。(図鑑によっては、イヌビエのおまけのように記載されていたりします。
タイヌビエ 根元

根元が広がって赤みを帯びたほうのイヌビエ、ケイヌビエはわかりやすいのですが、根元が丈夫で固く刈り取るのに一苦労です。
イネにそっくりなタイヌビエのほうは、どうしても見落としてしまって、後日に、大きくなってきて、あらら、あそこにもあったか・・・。という具合です。
今の時期には、抜くのにはちょっと大きくなりすぎましたので、鎌を使ってなるべく根元から、再生しにくいように刈り取り作業をしておりました。
ヒエ 根元

タイヌビエがたくさん生えてしまったところは、わかりにくいし、数は多いし、半日作業をしての奮闘の跡です。田んぼの横に田んぼの中から、刈り取ったヒエを矢のようにぽいっと投げ、刈っては投げ。
ヒエを取った後

数年前に一本買い求め、気に入って使っていたちいさな鎌です。以前に買ったものは使いすぎてだめにしてしまったので、こないだ新調しました。田んぼの中で使うのに、普通の草刈り鎌ですと、刃が長すぎて、イネまで刈ってしまったりすることがあるのでした(ぼくが不器用なだけですが)。これだとヒエだけ刈るのに都合がよいです。それと、砥石が効いて研ぎやすい鎌でした。安いけれど研いで使うには具合のよい品物のようです。
剪定ノコなども、安い品物のほうが、アサリを付けて目立てしながら使うにはよかったりするような感じでしょうか。
だるま鎌

突然のヒエク~イズ、です。

ヒエクイズその1。
この写真の中に、ヒエ(タイヌビエのほう)が生えています。どこでしょう?
ヒエクイズ1

ヒエクイズその2。
この写真中央の茎は、イネとヒエが合わさっています。どこからどちらがヒエで、どこからどちらがイネでしょう?
ヒエクイズ2

答えは、記事の一番最後ですよ。

その前に、イネとヒエの見分けのポイントです。

まずは、葉の付け根です。
こちらはイネの葉の付け根です。この部分の様子は、イネ科の見分けをするのに大事な箇所ですから、写真を撮っておいて後で確認しようとする場合は、ここももらさず撮っておきましょう。
イネ 葉の付け根

こちらがヒエの葉の付け根。ここをよく見るとわかりやすいです。
ヒエ 葉の付け根

次は、葉っぱの様子です。
これは、イネの葉。なんとなく全体がザラッとしております。
イネ 葉

こちらはヒエ(タイヌビエ)の葉です。葉脈のうち、真ん中の太目のもの(中肋と言います)が目立っていますね。ぼくが田んぼを歩きながらヒエ取りする際、高い目線から眺めて目印にするのはこの目立つ真ん中の葉脈でした。
タイヌビエ 葉

というわけで、ヒエクイズの答えです。

その1の答え。
白の矢印がヒエの葉、白く囲んだあたりの根元のほうにヒエの根っこがあるので、そこまで行って、サクッと刈り取ります。
ヒエクイズ答え

その2の答え。
写真の右側の半分ほどがヒエの茎でした。右側のイネの茎に比べるとなんとなく色が明るくしっとりした表面の雰囲気です。かがんで刈りつつ進む際には、この茎の雰囲気で見分けていました。
ヒエクイズ2答え

イヌビエ、ケイヌビエ、タイヌビエ(ほかにもヒメとつくヒエがいくつか)をまとめてノビエと呼んだりもしますが、イヌビエとケイヌビエは、畑にも生えたりして、田んぼが好きと言うわけでもなさそうです。タイヌビエは一見するとイネにほんとにそっくりです。
擬態をしているというのか、それとも稲作の歴史のうちに、イネにより似ているものが刈り残され、それが世代を重ねていって、人の作業を経ることでますますイネに似るようになったのか、想像するとたいへんに面白いものです。