さて、夜は雨と風の音が続いておりました。
みんなが寝静まったころに、小屋番さんは雨脚の強くなった屋外に出て作業しておりました。
というのも、この小屋のトイレは無放流タイプ(水を排水しない)もので、汚物は酵素で持って分解するのですが、酵素を使用したり、循環させたりするための水は雨水を使用しているのです。この日の前は、ずっと雨が無く小屋番さんは雨を待っておったのです。屋根の雨どいから流れてくる水を、運び出した雨水タンクに集める作業をしておったようです。ぼくも手伝いに、と外に出ましたが、目を覚ました時点でもう作業はおおかた終了していたようでした。起こしてくれれば手伝うのになあ。

翌朝は、雨風ともにやや強めでした。とは言ってもまだ怖いくらいの風ではありませんでしたが。ほかのパーティも早めに目を覚まして、早出するようでした。
予定を30分ほど繰り上げて6時30分に小屋を出発しました。

ガスの中、銀玉水上部の残雪を慎重に下って、銀玉水に到着するころには穏やかな天候になりつつありました。
銀玉水の様子。前の週とは雪の状態がまるっと違っておりますね。
銀玉水

あ、なんだか見晴らしがよくなってきた。
小朝日方向

熊越えと銀玉水の中間くらいにつくと、あらあら、ガスが見る見る晴れていきます。
みなさん、それぞれにカメラを取り出して撮影中。
ガスが晴れていく

すっきり!
ガスの晴れた大朝日

雨にぬれたヒメサユリの後姿。背景には大朝日岳です。
ヒメサユリ

ここから小朝日岳の直下くらいまでは晴れ間が続いてくれました。
ああ、よかった。ここで見られなかったら二日間ずっと山の姿を見られないままでありました。
小朝日のあたりから

ところが、晴れていたのはそんなに長くは無い時間でありました。
小朝日を下り、巻き道との分岐のあたりでは再びガスに包まれました。
巻き道分岐

古寺山へ向かう途中にいたモリアオガエルのペア。美しい緑色でありました。
モリアオガエル
実は、このあたりから、北からごろごろとカミナリの音が聞こえてきておったのです。

古寺山の山頂で休憩を入れ、だんだんはっきりと雷鳴が遠くから聞こえてくるようになったので、とにかく小さな木の尾根にいたままではよろしくありません。
ここからは、ザックをおろしての休憩を無しにして、とにかく低いところへ(つまり下山するのね)。あまり急ぐと、今度は転倒の危険も高くなるので、まあ、ゆっくりいきましょうぜと言いつつ、でありましたが。

周りの木もだんだんと高くなり、とりあえず安心だろうと思った一服清水のあたりで、先行していたほかのパーティの間近に落雷があったようです。ぼくらが追いついて声をかけたときには、そのパーティの女性はもうぶるぶると震えている具合でした。この日のカミナリはそんなには頻度は高くなく、地上に落ちたのはこの一度きりのようでした。それでもやはりカミナリは恐ろしいものですね。無事でなによりでありました。
このあたりから、今度は雨脚が強まり、雨の中の下山となりました。
雨でも、ブナの森の中の様子もなかなか風情があったのでしたが・・・。

というような具合で、古寺鉱泉に到着したのは予定より早まった12時30分くらいのことでした。

そこからバスにゆられて、出発地点近くの街のほうの温泉へ。山の汗を流したあとは、こんなことが・・・。
さくらんぼ狩り

つやつやしておりますね。
これはさくらんぼのうち、受粉に使う品種のさくらんぼで、出荷するわけでなく、食べればそれなりにおいしいのですが、時期が過ぎればそのまま落ちるにまかせるさくらんぼなのだそうでした。会長の知り合いの方の畑のさくらんぼが、ちょうどそんな時期を迎えていて、サプライズのさくらんぼ狩りとなったのでありました。
さくらんぼ

その後、登山は無事に解散しました。二日間おつかれさまでありました。
せっかくなので鉄道で帰られるみなさんをお見送りします。
駅であれこれおはなしをしながら過ごし、こんなものを買ってみたり。
スイカサイダー

ムサママさんの買ったさくらんぼサイダー。果汁10%配合だそうです。10%だと少なめな数字に思えますが、さくらんぼの果汁ですからね。粒にしたら結構入っていそうですね。
さくらんぼサイダー

クルマで来られたブルーロイさんと二人でホームからみなさんをお見送りです。
車窓

さようなら、さようなら。
さようなら

ブルーロイさんとも、再びどこかの山でお会いしましょうね、とさよならをして、帰途につきました。
田んぼに立ち寄ると、水不足で乾きかけひびの入った田んぼにちょうどよいあんばいに水が。
不思議なことに、おたまじゃくしたちもどこかにかくれていきのびておったのでしょう。水の中にたくさん泳いでおり、まわりの草むらにはちびガエルたちがぴょんぴょんと。
水の入った田んぼ
雨は降りすぎると恐ろしいものですが、ちょうどよく降ればまさに命の水であります。

宇宙あさがおも水を得ておりました。本葉が出てきておりますね。
宇宙あさがおのその後

というわけで、たくさんの方と山へ行ったおはなしはこれにておしまいです。

明日からは、すこし時間を巻き戻しての出来事をお伝えします。