コテージの前にはいくつも木が生えていました。
カシワの大きな立派な葉。
山の草とか花とか虫とか-カシワ

クリの葉も大きいです。
山の草とか花とか虫とか-クリの葉

夕食は焼肉でした。
普段はあまり肉を食べませんが、あればあったで美味しくいただきます。
それでもちょっと数枚くらいで充分なんですが、並んでいるとついつい食べ過ぎてしまいます。(肉をたくさん食べると翌日に体が重く体調がよろしくなくなるんです)
山の草とか花とか虫とか-焼肉

先生を囲んで先生のおはなしを聞いたりしてすごしておりました。
先生のおはなしを一つ。

先生は美術の大学に進まれたそうです。
進学前には元々絵の上手なこともあって授業も順調に行くんだろうとたかをくくっていたそうです。大学に入られてから最初の授業で、課題として動物園で鳥の絵を描く課題があり、先生はクジャクを火の鳥のように描いたそうです。(想像するに見事な絵であったことでしょう)
当時の美術の大学というのはたいへんに厳しいところだそうで、課題で提出された絵をずらっと並べ、担当の教授は助手を引き連れて歩き、「うむ」「これはよい」というようなことだけ絵の前で言いながら歩くようなものであったそうです。
先生の絵の前に来たときに、その担当の教授は汚らしいものを見るような目でちらりと一瞥しそのまま通り過ぎたとか。
その品評のなかでもっとも評価のあったのは、ウズラを描いたもので指で絵の具をトントンと押すように描いたものであったようなことです。
先生のおっしゃるには「おれの描いた絵は上っ面だけのもので、鳥の本質は見えていなかった」というようなことです。以来何度も挫折があり、今でもおれはにせものなんだ、というようにおっしゃっておりました。
(このはなしを聞いたのは4度か5度目くらいでしょうか。大事なことだから繰り返しおっしゃるのです)

そんなふうにして時間は過ぎていきました。
立派なコナラの木が二本並んでいました。
山の草とか花とか虫とか-コナラ

翌朝の川。
テトラポッドが転がっているのがちょっと残念ですが、住むならこういうところが良いですね。
山の草とか花とか虫とか-川

コテージの横には道が奥に続いています。
山の草とか花とか虫とか-道

先生は早起きされて、その道の奥に散歩に出られました。
先生のあれこれおはなしされるのは、たいへんに示唆に富んでおります。
汲みせど尽きぬ想像力の泉、というような具合でありましょうか。
山の草とか花とか虫とか-先生
汲みせど尽きぬ泉は、先生が持っているのではありません。
師弟、師匠と弟子、その関係性の中にあるのでしょう。
例えば、北海道に昔々いらっしゃった方に、クラーク博士という方があります。
「Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)」というような有名な言葉を残されて、この言葉今でもたくさんの方が勇気付けられていることでしょうけれど、その当時にこの言葉を聞いた方の残した文にはいろんな解釈があるようです。ある方は、このあとにも言葉が続いていて講義の一部のようなものであるというようなことですし、ある方は、「まあ、きみたち元気でやりなさい」くらいの挨拶だ、というようなこともあるようです。
師の教えというのはありがたいもので、同じことを言っても、弟子ごとにあれこれ解釈しそれぞれに「なるほどそうか」と思うようなものですね。
どなたかを師と仰ぐ者には、師の一挙手一投足、一言一言が「きっと深い意味のあることに違いない」というように思われ、実に学びをもたらすものであるのでしょう。

先生は散歩に行かれて、ぼくはコテージの周りの草たちをあれこれ観察していたのでしたが、先生が帰ってこられて、
「ロッキーチャックくん、この道の先の行き止まりまで行ってごらん」
というので、行ってみることにしました。
途中にあったオカトラノオ。
山の草とか花とか虫とか-オカトラノオ

サンショウ。
葉をちいさくつまんでみると山椒の香りがしました。
山の草とか花とか虫とか-サンショウ

タケニグサの茂みがあり、前の日の雨が付いていました。
山の草とか花とか虫とか-タケニグサに雨粒

クリの木には、もわっと甘い香りのする雄花が咲いていて、枝先の雄花の穂の根元にはちいさな雌花がありました。クリのイガの赤ちゃんですね。
山の草とか花とか虫とか-クリの赤ちゃん

道端には見慣れないササがたくさん生えていました。
以前に関東に来た際にもよく見かけたササです。
これはアズマネザサというものでしょうか?葉はちいさく背丈はさほどでないものの林床を埋めるように茂っているとこも多く見受けられました。
山の草とか花とか虫とか-ササ

道を行くと、流速の早い堰があり、その水辺に見慣れない草があり花が咲いておりました。
う~ん、これはなんだろう?
山の草とか花とか虫とか-水辺の見慣れない草

紫色のちいさな花が穂のようについておりました。
葉にはちょっと芳香があり、茎の様子などからもシソ科の草のなにかであるなと思いました。
(帰って調べてみると、ナツノタムラソウという草のようでした)
山の草とか花とか虫とか-ナツノタムラソウ

この先にもずんずん進んでいくとやがて川原に出て、そこには砂防堰堤がありました。
砂防堰堤はブロックを並べたような構造になっており、その隙間から川が流れていました。
河畔にはヤナギやハンノキやヤシャブシなどが茂っており、川の対岸には崖の崩れたようなところがあり地質を見られる露頭となっていました。
先生の「行ってみてごらん」というのはなにを見せたかったのでしょう?植生でしょうか?地質でしょうか?川の流れをコントロールしたいという人の営みであったでしょうか?