先日に試作したウリハダカエデのかんじき。
作ってみて、ひさびさに工作したのと、木を曲げるのが思いのほか上手くいったのでついつい楽しくなり、今度はひいじいさまのかんじきに使われているスギはどうだ?とスギの枝を採りに行きました。
植林しているスギは、幹のしたのほうの枝を枝払いして木をまっすぐ、節の入らないように手入れするので、枝はいくらでも採れます。つまり植林しているスギ林にとっては、下のほうの枝は余分なのですね。

まっすぐなものを探してみるけれど、なかなかありません。
山の草とか花とか虫とか-スギの枝

枝の断面を見てみましょう。
ぼくの小指の先ほどの枝ですが、それでも6年か、7年目のようです。
山の草とか花とか虫とか-スギ 断面

もうちょっと太いものを皮をむこうとしました。
ところがなかなかうまいことはがれません。(その後、ナタではいでみたらうまくいきました)
山の草とか花とか虫とか-スギ 枝 皮

こないだ使ったウリハダカエデの長さ調整のために切ったはじっこの部分。
こちらもなんなか年輪が細かく詰まっていますね。
山の草とか花とか虫とか-ウリハダカエデ 枝 断面

ウリハダカエデのほうは、すいすいっと皮がむけます。
こちらは今から3月ころまでが皮のはぎやすい時期なのでしょう。
知り合いに、木の皮でいろんな細工をする方があって、その人の言うことには、上質な樹皮を採るのにぴったりな時期はほんの一週間ほどだというようなことです。それも木の種類ごとに違うのだとかなんとか。
山の草とか花とか虫とか-皮をむく
その後に調べてみると、スギの場合には6月あたりの初夏がよいようです。

スギの細めのものを一本、曲げてみました。
スギの枝はしなりがあるものの、割合にかたいものです。
ところが、先日のかんじきの要領で曲げてみると、なんとくるくると曲がって、自分でやっているのにまるで手品のよう!
山の草とか花とか虫とか-スギ わっか

それではちょっとスギのはなしを書きましょう。
これは雪のついていない木の上のほうの枝です。
上に向いて反っていますね。
山の草とか花とか虫とか-スギ 上に向いた枝

こちらは雪が積もった幹のなかほどの枝です。
雪がくっつくと、枝は曲がって下を向きました。
スギは雪がくっついても、ある程度の量がたまると、下に曲がっていて雪を落とします。
山の草とか花とか虫とか-スギ 下を向いた枝

もっと下の枝では、雪に引き伸ばされるようになっていました。
なんというしなやかなことでしょう。
枝は一年に幾度も幾度も、こんなふうに下がって、戻ってを繰り返していることでしょう。
山の草とか花とか虫とか-スギ 垂れた枝

1月に大きなスギの木を見に行った際には、こんなふうになっているスギもありました。
こんなになってしまっても折れないのですね。
山の草とか花とか虫とか-スギのアーチ

こういった様子から、昨年の2月12日「スギの木のはなし」という記事で、スギも雪に対応した木なのではないかと思っていると書きました。(昨年のちょうど今の時期にもスギの木のことを考えていたんですね。われながら毎年同じ行動パターンで呆れてしまいました)

葉を見てみましょう。スギの葉は、どこからが枝でどこからが葉そのものなのかよくわかりません。
鎌のような突起が枝からたくさん出ています。
雪のちょっと残っているのを見てみると、その鎌のようになったものの背の部分にはついていますが枝まではくっついていません。
こんなふうに雪、または氷と接触面がちいさく、枝全体には雪がまとわりつかないのと、上の枝全体が下にしなることで雪が着雪したままになりにくいのでしょう。
山の草とか花とか虫とか-スギの葉

今回改めて図鑑を見てみると、スギCryptomeriaには、太平洋側に分布するスギ(オモテスギ)と、その変種Var.radicansアシウスギ(ウラスギ)というのが書いてありました。
アシウスギ(ウラスギ)の特徴としては、下枝が地面につき発根して独立樹となる性質があると書いてあります。先日に会いに行った大きなスギでも、今は地面から元の枝が離れてしまいましたが、以前にはその枝から発根して子孫のスギになったようすが見られたそうです。
このような特徴は、ヤブツバキの積雪地対応型のユキツバキと似ていますね。
ほかにも、マンサクとマルバマンサク、クロモジとオオバクロモジ、ブナとオオバブナ、ほかにもたくさん雪に対応した植物があります。
うちのスギの林は植林なのでどうなのだろう?とも思ったのですが、戦後あたりには近くの集落にスギの苗木を生産していたところがあったそうなので、おそらくは日本海側のものを使っているのだろうと思います。
林の中の枝がすごくしなっている様子を見れば、いずれにしても雪に対応できる種類の木だ、というのは実感としてあります。

なお、スギは生長が速いらしいのですが、枝をもらいに行ったスギの林は母が小学生のころに植えたものでかれこれ50年ほど経過しているようです。それでも、太さは25~30cmほど。植えてあるところは、沢沿いで水分を好むスギには適した地形になっています。ある程度は間伐したりもしているのにその成長度合だと、うちのスギの場合には育つのが速いとは言えないなあと思いました。秋田のスギの場合には、100年ほど経ってようやく用材として使うというようなことも聞きます。本来のスギの植林というのはそういうゆっくりしたものかもしれませんね。(太平洋側の様子はわかりませんけれど)

なお、そろそろスギ花粉の時期です。
今年はすごく飛ぶと聞くのですが、うちの林の木を見ていると雄花のつき方はさほどではありませんでした。
山の草とか花とか虫とか-スギの花粉

ということで、今日は朝からスギの枝の皮をとり、あれこれ眺めたり曲げたりして過ごしていました。(そんなことをしているとあっという間に時間が経ちますね)
で、曲げた結果。かんじきらしくなって来たなあ、と自画自賛です。ええ、まだまだですが。
面白いのは一番最初に載せた曲がった部分が、曲げてみると割合にまっすぐになるのですね。なんとも不思議なことです。
山の草とか花とか虫とか-スギの枝のかんじき

かんじきの外と内側の材をまとめて縛る材料のスギのテープのようなものは、春先に山の手入れをする際にでも、間伐した丸太の一部から採って作ってみたいと思っています。
一日中スギと一緒に過ごしていたら手やあちこちからスギの香りがしてきました。
なんだか満足、な気分です。