2月のはじめから暖かい日が多く、このままに春になるのかしらん?と思っていましたが、やはり冬に戻りました。

「最上川逆白波のたつまでにふぶくゆふべとなりにけるかも」斎藤 茂吉
山の草とか花とか虫とか-冬の最上川

なるほど、これが吹雪くゆふべ、なのですね。
山の草とか花とか虫とか-吹雪くゆふべ

さてさてさて、ひさびさの「作ってみたもの」のテーマの記事です。
昨日までの記事数は782となっており、テーマ別に最も数の少ないのは「作ってみたもの」の8件。これで9件めになるのでしょう。

これが山から柴刈りしてきたウリハダカエデの枝です。
曲げ木の要領で曲げてかんじきにしていきます。
たけひごやそういうものは曲げたことがありますが、こういった枝を曲げてなにか作ったことはありませんでした。どのくらいの太さで、どのくらいに熱したらよいものだかいまいちピンときていません。また、材は一年のうちにどんな時期に、どんな太さで、どのくらいの乾燥の度合いでよいのか?というのもわかりません。
山の草とか花とか虫とか-枝

まあ、なんというか、なんでもやってみないとわからないものです。
登山用のストーブ(暖房用でなくて調理用ね)で、採ってきてすぐに曲げてみました。
じっくりあぶって曲げると、なるほど、これは生のままとは明らかに違う感じに曲がってきます。
曲げ木の場合には、治具(じぐ)という固定するものが重要です。
う~ん、かんじきのような形に曲げたのを固定しておけるちょうどよいのはないかしら?と思いついたのはこれですね。
ええと、かんじきです。曲げた木は、手を放すと半分以上戻ってしまうので麻紐で固定しました。
山の草とか花とか虫とか-かんじきに固定

3本くらい曲げてみたらちょっと慣れてきたぞ、と。
そんなふうにしていたら、一番良さそうな材が折れてしまいました。
きちんと熱が加わっていなかったようです。無念ですね。
山の草とか花とか虫とか-折れちゃった
このあと、細めの材では曲げやすいけれど折れやすく、太いものは熱が加わりにくく。ちょっとずつわかってきました。
とりあえずこの日はここまで。

曲げ木は、曲げたい材料を水に浸したり煮たり蒸したりして水分を含ませ、熱を加えて曲げるのだそうです。以前にかんじきつくりの風景で、大きな鍋に材を入れて煮ながら曲げているのを見たことがあります。工場などでは電子レンジの親分のような大きなものを使ったりもするようです。
曲げた後に、熱と水分が飛ぶと、ある程度固定されるそうなので、かんじきにかんじきを固定したまま数日様子を見ました。
山の草とか花とか虫とか-麻紐で固定

で、今夜。ふぶくゆふべには家の中でなにか作るのがよろしいですね。
枝同士の接するところをナイフで平らにして、ナイロンの紐で固定しました。
固定するのもほんとうは山で採れる別な素材を使うのですが、とりあえず。
これで本体のかたちは完成しました。
使えるかどうか、強度はどうかはとりあえず置いておいてかたちにはなりました。
山の草とか花とか虫とか-とりあえず出来た

足紐をかけて、これでおしまい。
今回は試作なので、ツメはつけていません。反りもありません。
とりあえずこれで歩いてみたいと思います。
山の草とか花とか虫とか-足紐を通した

ちなみに、うちにあるかんじきをいくつか載せておきます。
これは市販のものです。材は籐を使っているようです。縛るのにも籐の細いのなのでしょうか。
籐細工とおなじ素材でした。(ちょっとほどけたままのところがあります)
全体に反りがあり、ツメがついています。
山の草とか花とか虫とか-市販のもの

こちらは、登山用のアルミワカンです。山道具やさんで売っていますね。
これもツメがついています。反りはありません。
足をかけるところが広くナイロンベルトで作ってあり、登山靴にびしっと固定できます。
木のものは、前のわっかがふらふらしますが、これはより固定されるので、前のわっかでもって蹴りこんで使うと急斜面にも効きます。
山の草とか花とか虫とか-アルミ製

そしてこれがひいじいさま作のかんじき。
これはぼくが子どものころに使っていたもので、子ども用にちいさく作ってあります。
反りがあり、前後ふたつの材をあわせて作ってあります。
かんじきは、地域ごとにいろんなパターンがあります。北海道では、イタヤやヤマグワの幹を縦にひいたものを曲げて、前後に長く、足先が大きく反ったものがあるそうです。もうちょっと南の福島のあたりには、竹を一本使ってわっかにして、編み目のように足紐をかけた雪ふみのかんじき、雪の深い山岳部に多いのはこれと似たようなものが主流のようです。
山のなかをトラバースするには、ツメがあるもの、猟師さんのように走る必要があるなら反りのあるもの、逆に平らなところで雪を踏んで道を作るならフラットで面積のあるもの、そういった違いもあると思います。
山の草とか花とか虫とか-ひいじいさまのもの

材を縛ってあるのは、スギを縦に裂いて帯のようにしたもののようでした。
スギは縦に細くこういったふうに使えるのが便利なので、昔から用材として大事だったのですね。
山の草とか花とか虫とか-かんじき 固定部 スギ

ひいじいさまのかんじきは、材そのものもスギの枝のようでした。
見てください。この枝の年輪の細かいこと。これなら強度も出ますね。
スギは、意外に思われるかもしれませんが、雪の深いところに適応している木でもあります。
雪を落としやすい葉、しなやかな枝。幹そのものも割合にしなやかです。
山の草とか花とか虫とか-スギの枝の密なこと

子どものころから使っていてしばっているところなどは傷んだり、ほどけたりして針金で応急処置したままでちょっとね、だめですね。そのうちに手入れして直したいと思います。
しかし、このかんじき。フォルムが美しい・・・。
山の草とか花とか虫とか-かんじきの反り

今回の試作は、アルミのワカンに固定したためにアルミのワカンのかたちのまんまになってしまいました(そりゃあそうです)。
また、ウリハダカエデの樹皮を今回はそのまま使いました。曲げ木は水分が多いほうがよいというので、採ってきてそのままでもありました。(三月の泣きイタヤというように、これから春に向けて木の材に水分が多くなっていきます)
樹皮が残っているのも、雪がつきにくくてよいかなと思ったのですが、生のままではちょっと曲げにくいのと、乾燥した材を水にひたして曲げるのとの違いも感じたいので、これからいろんな組み合わせでためしてみたいと思います。曲げ方も、煮たり蒸したり、縛るのもそうですね。
わくわくしますね。