裏山からさらに奥の山へ向かったはなしの間に、冬の集落のお祭りの様子を載せたいと思います。
なにせ、雪の山は風景が変わりませんから・・・。ちょっと一息。

1月20日は、山から帰ってから火祭りとお日待ち(おひまち)のお祭りがありました。

まずは火祭り。
火祭りと言っても、おふだを配るだけになっているのでしたが。
冬の間は火をよく使うからでしょうか。火伏せのおふだを集落の当番がおっさま(和尚さん)にもらいにいって各世帯に配ります。
左が火札。家々のかまど(今はコンロですが)の近くに貼って、火事にならないように火伏せをします。
右は魔よけのふだで、家の玄関などに貼り、集落の出入り口にも札に貼って立てます。
う~ん、これはさすがにどちらも読めません。
山の草とか花とか虫とか-おふだ

次にお日待ちです。(かつては、それぞれのお祭りを別々にしていたのでしょうが、今はまとめて同じ日取りでするようになりました)
お日待ちは、みんなで集まって食事をします。
食事には、とうふのすまし汁と納豆ごはんをいただきます。
お日待ちの最初に、掛け軸をかけてみんなでおがもし(お祈り)ました。
この掛け軸は、蚕影山大神と書いてあり、その下には常陸国筑波郡云々と書いてあります。
この掛け軸を、オッシャガミサマと言って一番の上座にかけるのですが、実は書いてある通りに蚕影山大神なのだと思います。
オッシャガミサマは、「オシラサマ」だと思います。オシラサマは東北地方の信仰で、カイコにご利益のある神様ということになっております。ちょっと混じってしまっているんですね。
いずれにしても養蚕が盛んだった名残が感じられます。
山の草とか花とか虫とか-オッシャガミサマ
掛け軸の前には、おどみょ(御燈明、ろうそく)が立てられ、とうちゃんがたの言うことには、おどみょが燃え尽きるまで飲み食いするのだということでした。
(これは多分、今年にそんな気分だからそういうように言ったのであって伝統的にそうだということではないと思います。基本的にテキトウなところがあります)

食事をしていると、当番の世帯がとうふのすまし汁を持ってきます。
山の草とか花とか虫とか-とうふ汁

食事しながら、来年の当番を決めたり、猟師のかたから昔の猟の様子を聞いたり、山であった不思議ないろいろのこと、昔の集落の様子のはなしをします。
宴もたけなわというところでもって、納豆ごはんが登場します。
以前には、納豆も家々で作っていましたが、今は買ってくるようになりました。うちでも、ぼくが小学生のころは、こたつに家で採れた大豆とわらで納豆つくりをしていました。
ごはんの白米は、今でも当番が昼間のうちに家々を訪ねて一合ずつ集めて炊きます。
山の草とか花とか虫とか-なっとうごはん
お日待ちは、本来は1月23日(旧暦のころ)に催されるお祭りで、お日待ちというものの、ほかの地域などである二十三夜待ちと日程が共通するところがあります。
旧暦の二十三夜というのは、月の出が真夜中の12時ごろ。普段は早く寝ていても、この日は夜更かしして飲み食いしてよいという行事であろうかと思います。
で、二十三夜待ち(あるいは二十三夜講)というのは、各地に見られるのですが、納豆ごはんを食べるというのは、あまり例がないそうです。
ぼくはずっと、この風習は冬のこの時期にみんなで集まってマメのたんぱく質を摂取して冬を元気に越そうという意味合いだと思っていたのですが、数ヶ月前に、民俗学の先生とおはなしする機会があって、このことをおはなしする機会に恵まれました。
その方にいただいたほかの事例では、二十三日に長芋をとろろにして、食べるとともに玄関などにまく風習があるのだそうです。
とろろの意味合いとして、悪霊が玄関などから入ろうとしてもとろろで滑って入られないということなのだそうです。
それとおなじように、納豆のねばねばつるつるでもって、悪霊封じということなのではないかということでした。
とろろや納豆ですってんころりん、ねばねばところげる悪霊もなんだか頼りない感じですが、とろろも滋養豊かな食べものですから、冬のやっかいな悪霊の流行り風邪などには効き目がありそうですね。(納豆=栄養摂取説を捨て切れません)

さて、そんなうちにおどみょはすっかり短くなりました。そろそろ解散になります。
家にこもりがちな冬(いえ、実は雪おろしなどで屋根の上でお互いあいさつしたりしますが)に、こんなふうに集って過ごしてお互いの健康を確認するのもお祭りの役割なのでしょう。
山の草とか花とか虫とか-おとみょ

今朝のこと。
魔よけのふだは、雪でにじんでおりましたが集落の出入り口に。
山の草とか花とか虫とか-まよけふだ

その近くには、やんまいおくり(病送り)の形代(かたしろ)の障子紙が木の枝などにくっつけられて雪に刺してあります。
うちのは一番左。今朝に、知り合いから欲しいと言われていたミズキの枝を採った際の端材です。ほかのおうちは、クルミの枝や篠竹など。
山の草とか花とか虫とか-やんまいおくり

やんまいおくりは、二十三夜の翌朝、形代の障子紙で体の具合のよくないところを拭いて、集落の出入り口にこのようにさし、吹雪でさらされて吹き飛ばして送ってやるという風習です。

具合のよくないところ・・・。
ぼくは頭と顔をしっかり拭きました。
毎年のように頭と顔を拭くのですが、なかなか賢くも美男子にもなりません。