小屋で昼ごはんを食べ、小屋から一番近い水場の金玉水(きんぎょくすい、と読みます。訓読みするとだめです)付近が崩れているところの補修した現場を見に行きました。
こちらはボランティアの保全箇所でなく、環境省の公共工事として施工したところです。
粗朶やヤシや麻の繊維の資材を使って施工したとのこと。プロの職人さんがどんなふうに施工するのか興味深いのでここを見るのも今回の目的でございました。

小屋から金玉水に向かう途中の鞍部の道からの、最もえぐれてしまっている部分の様子。
粗朶の上に四角にわくのように太めに木を置いて、石を重石のようにしているようでした。
山の草とか花とか虫とか-金玉水下部ガリー侵食部

大朝日岳と中岳の間の一番低いところから金玉水に分岐します。
分岐から水場へ向かう歩行路のステップの様子。
山の草とか花とか虫とか-歩行路

ちいさな枝をまとめて縛ってあります。これは連柴と言うのだったかな?
これくらいみっちりまとめてあると強度も出そうです。
古寺山から小朝日へ向かうところ付近が、丸太が現場近くになくて作業できない箇所があるのですが、そのあたりはこういう施工をすると資材に困らないかもと思いました。
山の草とか花とか虫とか-歩行路粗朶の使い方

水場の手前の谷間になっているところをわたるところは、下層にこまかく枝を入れて行き、一番上に大きめなくいのような丸太でした。
山の草とか花とか虫とか-谷間の粗朶

その下流方向。
山の草とか花とか虫とか-中岳からの侵食部 粗朶

その上流(中岳の方向)。
付近の裸地は麻繊維のネットが敷かれていました。
山の草とか花とか虫とか-中岳方向からの侵食部

水場。小屋からは10分ほどのところです。
この周辺は、過去にテント場に使われたことがあり、その際に植生などが荒れて裸地化し、水も綺麗でなくなったと聞きます。
今は、植生が回復し、水は大腸菌も検出されないほど綺麗になりました。(小屋番さんは、夏の常駐期間は毎日この水を飲むことになるので、会長が心配して検査をしたのです)
山の草とか花とか虫とか-金玉水

金玉水の谷方向。ヤシ繊維の土嚢の使い方。こういう使い方もあるのですね。
写真の上が、下流側です。
山の草とか花とか虫とか-ヤシ土嚢の使い方

金玉水の近くの平坦なところは麻のネットが敷いてありました。
山の草とか花とか虫とか-金玉水近くの平坦地

水場から小屋に戻る途中。
歩行路の側面にも粗朶が使ってあるところ。
歩行路がえぐれている側面に、崩れてこないように粗朶をまとめたものを長く施工してあります。これは谷側のもの。
山の草とか花とか虫とか-歩行路脇の処置 谷側

こちらは山側のもの。
山の草とか花とか虫とか-歩行路脇の処置 山側
なるほど、この方法は、うちの田んぼの崩れたところにも応用してみたいと思いました。
ぐるっと見てみての感想としては、これまでの公共工事というイメージとはかなり違いがあるなということでした。これなら効果を果たしたあとには資材は土に還って目立たなくなっていくことだろうと思いました。そして、施工が丁寧で仕上げが綺麗。(保全の活動だと時間がどうしても短くなるので作業量の差が大きいのでしょうけれど)

金玉水の中岳方向の斜面です。
現在は、ネバリノギラン、キンコウカ、イワショウブ、スゲのちいさいものなど湿気のあるところが好きな草が生えそろってきました。
ここもすこし前までは裸地になっていて、ネットを張ったところ植生が回復したそうです。
今はネットはよくわからなくなっていました。
山の草とか花とか虫とか-金玉水 中岳方向斜面

小屋に戻りましょう。
分岐から小屋へすこし進んだところから金玉水のさらに下流方向の様子。
大朝日岳と中岳鞍部の東側の雨や雪はここに集中するのでしょうね。
山の草とか花とか虫とか-鞍部から

さて、昨年に作業した金玉水分岐から西方向の風衝部のネットの様子。
ネットを張る前から生えていたいくつかの草くらいしか目立ちません。
飯豊や三方境では2年前のネットから芽生えていたのを見ていましたから、ここも来年は?
山の草とか花とか虫とか-金玉水2011年作業箇所

おっと、日帰りなのだった・・・。
小屋にいたのと金玉水付近を見るのにのんびりしてしまいました。記事も長くなってしまいましたけれど。
さて、小屋番さんと短い再会だったのにまたさよならをして帰ります。

大朝日岳山頂に戻りました。
ここで12時50分ほど。
先ほどまではたくさんのかたがかわるがわる記念撮影していましたが、このときは数人になっていました。
山の草とか花とか虫とか-山頂

下山は、ちょっと遠回りして平岩山、御影森を経由していきます。
写真の左の平らな台形の山が平岩山。
写真の中央、左上がりのとんがった山は祝瓶山。
祝瓶山の奥の雲の中にほんのちょこっとだけ飯豊連峰が見えました。
山の草とか花とか虫とか-祝瓶方向

山頂からはしばらく、ちょっと急なざれた斜面をくだります。
そこから見た大朝日岳の西斜面はなかなか良い発色の紅葉になっておりました。