作業の様子の前に見ていただきたいものがあります。
こちらは2~3年前に敷いた緑化ネットの様子です。
ネットは風の強くあたっているであろうところは風化して溶けたようになっていました。
そのなかに、いくつかちいさな芽が出ているところ、割合に大きく育ったところもありました。
これはシラネニンジンの芽でしょうか?ちいさすぎてまだよくわかりません。
ほかには、スゲの仲間やタカネマツムシソウのようなのがありました。
山の草とか花とか虫とか-芽生え
雪田植生や湿原などの植生については、いくつか先行事例もあるようなのですが、風衝地の植生の回復についてはまだ技術、方法が確立していないそうです。
でも、たしかに芽がでておりました。

さて、今回もいくつかのパーティで作業をすすめていきました。
ぼくのパーティは、歩行路の固定(歩くルートをある程度わかりやすくして、いろんなところを歩かないようにする)作業でした。その後に、ネットの敷設などもしました。
現地の石なども使って浮石を動かないようにして、わかりやすい足場にすると、そこを歩くようになるので、ほかの植生のあるところなどの踏みつけ防止になるとのことです。
山の草とか花とか虫とか-歩行路固定
そのへんの石ころひとつにしても、石で風があたらないところにちいさな草が育ちつつあったり、また虫の住処になっていたり、水が流れるのに重要なポイントだったりするのでむやみには動かせません。

ネットを敷いている様子です。
ネットはたしかにここでも効果的なようです。
この場所は、登山道が掘れてしまって、そこを水が流れるようになり、どんどん侵食が進んでいる箇所のようでした。(ガリー侵食部)
山の草とか花とか虫とか-ネット敷設

こちらは、登山道からの砂が流れて植生が埋まってしまったところのようでした。
植物が残っているところはネットで日当たりがよろしくなくなるといけないのでネットがかからないようにしていました。
山の草とか花とか虫とか-草のあるところは開ける

水流が集まってちいさな谷のようになっている箇所は、その流心のところに段々になるようにヤシ繊維の土嚢(なかにもヤシ繊維)などを使ってちいさなダムを作っていきました。
こうすることで、水の勢いを弱めで侵食を防いでいきます。
山の草とか花とか虫とか-ガリー侵食部補修

こちらはヤシ繊維のネットです。緑化ネットは麻ですが、こちらはヤシ。
最初の写真にあったように、数年で麻は溶けるようになってしまうようです。
ヤシはもっと長く持ち、でも水分を保つ効果は薄そうで、場所によっての使い分けの判断がいるのだろうなと思いました。
こちらの使い方は、土嚢の長いもののように使った例で、こないだの飯豊での使い方の続きのようです。(参加メンバーがおなじ方が多い)
山の草とか花とか虫とか-ネットを巻く

ここは三方境の直下のところなのですが、幅が広く裸地になっているのでこんなふうに幅広く施工したのでした。砂の流出防止と足場を兼ねる感じでした。
これからどんなふうに作用するものか気になります。
山の草とか花とか虫とか-ゲンゴロウネット

作業のあとは、こんなふうにそれぞれの場所で、どんなふうに作業したかをみんなで共有しました。これも大事ですね。なるほど、こんなふうにするのか、というのを自分の山岳会での作業に活かすこともできますね。
山の草とか花とか虫とか-振り返り

遠くから見ると、今回使用した資材はあまり目立ちません。
せっかく山に来られるかたはぼくのように景色も眺めたいのだから異様に目だってしまったらずいぶん興ざめだろうと思います。このネットなども、草が生えて地面がおさまったならば役割はおしまいで、そのころにはきっと土に還っていくのでしょう。
山の草とか花とか虫とか-ネットは目立ちません

こちらは、狐穴小屋の上部を大規模に直したところです。
こちらは公共工事として施工したのだと思うのですが、石材はほかの産地からのもので、丸太も同様だろうと思いました。
この石畳の状態を、「よく整備されている」と思うか、「原始の山の風景が残念なことに」と思うか・・・。できたらこういうふうにしなくて済むようできたらと思いました。
山の草とか花とか虫とか-狐穴小屋周辺

三方境の高いところの石の様子。
風化して砂になりつつあります。
三方境付近は、一説によると海からの潮風が届くのだそうです。
小屋の前に夜にでた際にも海の香りがしたような・・・。しないような。
三面川の水に含まれる塩分(微量でしょうけれど)を調べると、海由来のものだとかなんとかいうおはなしもありました。塩分が岩石を風化させる力というのは思った以上に強いそうです。
(というようないろいろのはなしを小屋の夜にしているわけですね)
山の草とか花とか虫とか-風化した岩


作業するのは、あくまでも人が歩いたから裸地になったところで、どこでも緑化しましょう、というのではないだと思います。
ぼくには見分けが困難でしたが、自然に裸地になったりしているところもあるはずで、そういうところは、風と雪と草とが相談してそうなっているわけですから自然の一部でもあるのだとおもいます。

こちらは、グーグルアースというので見ることのできる三方境付近の冬の様子です。
何月ころのものだかわかりませんが、雪の降っている季節ですね。
冬のこの場所は、人が隣の山まで飛んでいくような風だそうで・・・。
そして夏でも結構な距離のところですから、朝日連峰の冬のアプローチの長さ、ラッセルの深さを考えれば、ぼくなどは到底行くことの叶わないところです。こんな画像が見られるのもネットのすごいところですね。

で、冬に、どういうところに雪があり、また風で雪が無いのか気になっていました。
朝日連峰の稜線は、草原になっているところ、ちいさな樹木のところ、ササが茂るところ、雪が遅くまで残って湿めり気の好きな植生のところというようなのがまだらになっています。
山の草とか花とか虫とか-冬の様子
稜線のうえの風で雪のないところは、草原に。
風上だけれど数十センチでも雪がかかるところではササに。
もっと雪が厚く、でもあまり遅い時期まで雪が残らないようなところはちいさな樹木に。
稜線の風下で、雪庇が厚く、いつまでも水分の供給されるようなところは湿原のように。
うん、でも、そうでもないところもありそう。これは何度も現地に行ってみたくなります。

うえの画像となるべく近い感じの写真を選んでみたのですが、う~ん。
結構比較しにくいです。
山の草とか花とか虫とか-三方境遠望

こっちは、国土地理院の空撮の1974年~78年ごろの写真です。
ここの裸地化は、最近になったのではなさそうです。
山の草とか花とか虫とか-空中から1974-78
何度も何度もおなじところに行くうちに、だんだんと見えてくるものだあるのだろうと思いました。そして、違う山域に行くと、どういうように違うものか、また気がつくところがあるのでしょうね。

長くなってしまいましたが、このような感じに作業を行いました。

なお、ここは国立公園になっていて、ボリュームのある資料ですが、こんなふうになっておりました。
磐梯朝日国立公園のHP、資料編のリンク
国立公園内ですから、今回のような作業は、勝手にすることはもちろんできません。
ぼくのような素人が参加させていただけるのはほんとに光栄なことだと思いました。

さて、昼近くになり、紅葉しつつある中を帰りました。