アズマイチゲが咲き、キバナノアマナが咲き、キクザキイチゲとカタクリが咲くころに一緒に咲きほこるのはエンゴサクの仲間たちでした。

早いものではまだ雪の残るころに咲いていました。
山の草とか花とか虫とか-エンゴサク 雪と一緒

カタクリの明るい赤紫色。まわりにはキクザキイチゲの白。
そして、その間にエンゴサクの真っ白の花がありました。
山の草とか花とか虫とか-エゾエンゴサクたくさん

カタクリと一緒に、斜面に彩を加えて、ほんとに花畑の様相です。
山の草とか花とか虫とか-カタクリとエゾエンゴサク

あるいは明るい色合いの斜面にポイントのように水色が。
山の草とか花とか虫とか-ヤマエンゴサク 水色

エンゴサクの仲間は、葉の形や花の色に変化が大きいようで、これまでも毎年花の咲くのを、花の間のちいさな葉(苞だそうです)や、葉の形に花の色を、こちらはどうかな?あちらはどんなかな?と観察していました。

図鑑で見ると、エンゴサクと名の付くもので、うちの近くが分布域となっているものが3つほどあり、エゾエンゴサク、ヤマエンゴサク、ミチノクエンゴサクでした。
このうち、ミチノクエンゴサクは花がエゾとヤマよりもずいぶんちいさいようですから、どうにもどちらだかわからないうちの家のまわりのエンゴサクたちは、エゾかヤマエンゴサクだろうかと思いました。

まずは、この純白のものから見てみましょう。
山の草とか花とか虫とか-エゾエンゴサク株

図鑑には根っこを切った際の断面の色だとかそういう点も書いてあるのですが、それだとあちこち掘り返して切り刻まないといけなくなるので、別な点の苞のなどを見てみました。
こちらの白いものでは、苞がまるっこくなっていました。これは葉も丸みを帯びていて、一枚上のものは葉は切れ目がこまかくなっているようです。
山の草とか花とか虫とか-エゾエンゴサク 丸い苞

またこちらだと、苞は切れ込みはありませんが細めにとがった形です。
山の草とか花とか虫とか-エゾエンゴサク 苞
図鑑には、エゾエンゴサクのほうには、「苞はふつう全縁」とありました。
数年前に聞いたはなしでは、エゾエンゴサクとされているもののなかで、変異もいろいろあるものだから、北海道のものをエゾエンゴサク、本州のもので似たような特徴のものをオトメエンゴサクとしてはどうか、なんていう説もあるのですよと聞きました。

次に数が多く目立つのがこの空色のエンゴサクでした。
これは、葉が細長くなっていました。
山の草とか花とか虫とか-ヤマエンゴサクふたつ

こちらの苞を見てみると、ぎざぎざがあり幅広くなっていました。
山の草とか花とか虫とか-ヤマエンゴサク 苞

あるいは、赤みの強い色の花のものでは、かなりのぎざぎざ。
山の草とか花とか虫とか-ヤマエンゴサク ギザギザの苞
こちらはどうやらヤマエンゴサクのようです。図鑑のヤマエンゴサクのところの記載には、別名としてヤブエンゴサク、ササバエンゴサクという名があり、ササバという名もあるのだからこれはこちらのヤマエンゴサクなのだろうと思いました。

ふう、なるほど。だんだんと判ってきたような気がするぞと思っても、まだ安心できません。

こちらのものは、花がツートーンになっていました。
山の草とか花とか虫とか-ツートーンのエンゴサク

これの苞を見てみると、こちらは苞がすいっとして切れ込みが目立ちません。
一番としたのものは、ちょっと切れてはいますが、うえのヤマエンゴサクほどまではいたりません。
山の草とか花とか虫とか-ツートーンエンゴサクの苞

そして、花の色の特徴的なのはこのワインレッドとでも言えるようなものでした。
これは苞を見てみると、すいっと細くなっていてエゾエンゴサクのほうだろうかと思いました。
山の草とか花とか虫とか-ワインレッドのエンゴサク

たとえばスミレの仲間は、たくさんの種類が図鑑に書いてあってたいへん見分けが難しいのです。一方、このエンゴサクたちのこのいろいろなバリエーションに、この場所のものでは二種類ほどしかあてはまるような名前がありません。

草花の名前というのは、あくまで人の決めたことなので草たち自身は、それぞれの地に生きて、あちらと仲良くなり、こちらに移動し、というように連続的に変化しているのだろうと思います。また図鑑は、その図鑑の編纂発行された時点で留まってしまうものです。

スミレの花というのは、これは愛でる人がたくさんおり、そのようなことからたくさん名前がつくのかもしれません。
エンゴサクの仲間もこんなに可憐に春の野原を彩るのですが、里に行くとぱたっと姿を見なくなり、スミレの仲間の街中のコンクリートからすら花を咲かせているのと対照的で、それほど多くのかたの目を楽しませるものでもないようです。

いろいろな花たちをあちこちで観察していると、もしかするとその草に花を眺めるのをよそにして、名前があたっているとか間違っているとか、ぼくもついついそういう気持ちになってしまうこともあるのですが、もしも名前がなくたって春が来て花が咲いたらうれしゅうございます。
その点、虫たちはたいしたもので、名前なんてつけなくたって、どの花に行くと蜜があるのかきちんと知っていて、春先のねぼけたようなときだって間違いなくぶんぶんくるくると花にやってきます。
(なお、このふたつは花の後ろのふくろのところに蜜が入っていて、ぼくが子どものころには、この花を摘んでは蜜を吸ってはおうちに帰りました。ぼくもかつては虫には及ばすともすこしはものごとを知っていたのかしら、なんてな。ちょっと思いますね。)

Plant×50

エゾエンゴサク、ヤマエンゴサク、そしていろいろ・・・2種×50=100円

5月1日から累計1,500円

2012年4月:1,450円
2011年9月~2012年3月:16,700円
2011年4~8月:18,150円