小説「千年樹」 荻原浩 | フインキーのふんいき レビュー

小説「千年樹」 荻原浩

大樹をめぐる過去と未来をつなぐ人々たちの物語。

千年樹 (集英社文庫)/荻原 浩
¥600
Amazon.co.jp
スコア選択: ★★★★

全8話からなる短篇集。
どの話も現代に生きる人と昔に生きる人が交錯し、非常に質の高い人間ドラマになっています。
過去に生きた人々が現代ではどのように描かれているのか、どの話もおぉ!と驚く仕掛けがしてあるので毎回違った楽しみ方ができます。

個人的に好きだった話は「瓶詰の約束」。
これは現代と過去をまたぎ、人を特徴的に描くことで、直接的には説明せずあえて読者に気づかせる手法をとっています。
それによりラストのおおー!というのが活きてくるわけで、うまいなぁと思うわけです。

今と大昔の対比が素晴らしく、文章がパッと切り替わり読者を全く違う世界に引きこむ筆力はさすが。
時代小説もいいもんだなと感じさせられます。

一話で完結するのですが、実は話をまたいでも登場人物がリンクしていて、いつぞや幼稚園生だった子が違う話で大人になって登場したりします。
こういった遊び心も面白く、気になって巻き戻って読んだりしました。

ちょっとした発見や驚きのある小説は好きです。