小説「被告A」 折原一 | フインキーのふんいき レビュー

小説「被告A」 折原一

今回も叙述トリックもの。

被告A (ハヤカワ文庫JA)/折原 一
スコア選択: ★★★

東京で起きた連続誘拐殺人事件の犯人として田宮亮太が逮捕された。彼は自供により被告として法廷 に出たが、一転して無罪を主張し、逆転の秘策を練る。
一方では新たな誘拐事件が発生し、その被害者の母親が息子を探し、奮闘していた。
この2つの話はどう繋がるのか、驚くべき真相に終着する。


大きく分けて3つのパートに分かれます。

一つは逮捕された田宮少年のパート。
ここはひたすら彼が無実を主張する場面が続く。

二つは殺人事件の被害者たちのパート。
ここは田宮少年に恨みを抱いてる人たちが想いを語っている。

三つは誘拐された息子の母親のパート。
ここは息子を救うために一人で突っ走る母親の狂気のシーン。

これら3つがラスト10ページくらいで一気に繋がる。
どうなることかと思ったけど、この真相は分かりやすくて良い。

それまで、二つ目の被害者たちの描写がコロコロ変わりすぎて、誰が誰だか全く理解できない状態だったので、正直結末も期待してなかった。
でも、そんなの分からなくても理解できるようにしてある。

残念なのは、途中状況の分かりにくさと、ご都合主義。
状況の分かりにくさは前述した通り、ご都合主義はちょっと運に頼りすぎてる感があること。
誘拐犯から母親へ指示の出し方の妙、そしてそれを打率10割で見つける母親の巧打者ぷり。
そこまでやらなくても話は成立しそうだし、あえてそうした意味が知りたい。

もっと途中をシンプル(二つのパートだけ)にして、分かりやすくしても良かったのでは。
あー、でもそうなるとこのトリックは成立しないや。
うん、よく考えて作られてる。